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第2章 6 ぼっちは嫌?

 セレナとその2人の友人は楽しそうにおしゃべりをしながら私の前を歩きつつ、時折後からついてきている私の方を振り返ると、意味深に視線を戻して3人で話の続きをしている。恐らくセレナたちは・・私を仲間外れにして孤独感を味わわせてやろうと言う魂胆があるかもしれないが・・・あいにく、そんな事は私にはちっとも通用しない。いや、むしろ放っておいて貰いたい位なのでこっちの方が気楽で良かった。今私がやるべきことはおしゃべりよりも、一刻も早くこの学校のつくりを覚えて、移動教室やランチで場所が分からなくならないように把握することが第一優先なのだから。でも、私は天才。一発で記憶することが出来るのだから。



「ほら、ここよ。パストリス。」


長い渡り廊下を歩いていたセレナたちが不意に足を止めると、セレナが私を振り返った。見ると、そこは木枠がはめられたガラス扉になっていた。そしてドアプレートには『学生食堂A』と書かれている。


「ふ~ん・・・。」


ドアプレートに『学生食堂A』と書かれていると言う事は、他にもBやCの食堂もあるのかもしれない。


「それじゃ、私たちはこれで失礼するわね。悪いけど、ここには案内をしにつれてきてあげただけ。貴女と一緒に食事を取るために来たわけじゃないからね。」


セレナは腕組みをしながら言う。


「うん。そんな事分かってるから。それじゃ、案内してくれてありがとう。」


ヒラヒラ手を振ると、セレナと友人たちは意外そうな顔をした。


「え・・?ちょっと待ってよ・・・」


友人Aが言う。


「ええ、そうよ。いつもなら学食で1人で食事を取るのが嫌だと言って。私たちに一緒に食事を取ってくれって泣きついてきていたのに・・・。」


友人Bも言う。


「ええ。そうね・・・。仕方ないから、今日も1人で食べるのが嫌だって言うなら、私たちと同じテーブルで食べる許可をあげるけど?」


「え・・・?」


その話を聞いた時、私は思わず自分の耳を疑った。

まさか・・・ロザリアって・・虐められていてもボッチは嫌だったの?そこまでプライドが低かったの?いや、それとも高すぎるプライドが、周囲から寂しい人間として見られるのを恐れて・・たとえ、虐められていても、ボッチ飯は嫌だったのかっ?!

だけど・・私から言わせると・・そんなの冗談ではない。何が悲しくて嫌われているのが分かっている相手と一緒に食事をしなければならないのだ?私には一生かかっても理解することが出来そうにない。


その時の私は相当露骨に嫌そうな顔をしていたのだろう・・・。セレナが不機嫌そうに私に言った。


「あら・・何よ。その顔は・・・。それとも私たちと一緒に食事をするのは嫌だって事?1人で食事がしたいのかしら?」


「ええ、そうね。食堂の場所も分かったし・・・、案内してくれてどうもありがとう。後は1人で平気だから。」


すると彼女たちは全員呆気にとられた顔をする。


「それじゃあね。」


そして私はメニューを見る為に、さっさとその場を後にしてカウンターへと向かった。

カウンターには大勢の学生たちが並んでいて、思い思いの好きなメニューを注文している。しかし、さすがは学生食堂。かなりボリュームが多い料理が並んでいる。実は私も先ほどからお腹が鳴りそうなほど空いていて、デブの本能で高カロリーな食事が並んでいる列に並びかけ・・・我に返った。だめだ、いけない、いけない。私は何としてもこの肉体をスリムな体形に生まれ変わらせると言う使命をもっているのだ。


そこで私は涙を呑んでサラダの列へと並ぶのだった―。



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