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第1章 1 見知らぬ少女

「う・・・。」


目の前の可憐な美少女の目に見る見るうちに涙が溜まる。


「あ、あの・・・そ、その・・・。」


私には全くこの少女に対して何をしたのか覚えがない。覚えが無いが・・・このジンジンと痛む右手のひらが雄弁に私がこの美少女を引っ叩いた張本人だと訴えている!


するとそこへ目の前の美少女と同じ服装をした数名の女子学生たちが美少女の後ろを通りかかった。


「見て・・・あの2人。」


「ええ。まただわ・・。」


「本当に懲りない2人よね・・?」


そして彼女たちはクスクス笑いながら通り過ぎていく・・・。



「あ、あの・・・・。」


どうしよう、何と声を掛ければいいのだろう?大丈夫ですか?はおかしいし・・痛いですか?はもっとおかしい。こうなれば全く記憶がないけれどもとりあえず、ごめんなさいって謝っておく?だってどう考えてもこの状況・・・私が目の前の美少女を引っ叩いたとしか思えないからっ!


「あの、ごめんなさ・・・。」


言いかけたところで、突如目の前の少女は怒りの眼差しを向けてきた。


「あ・・・貴女・・・よくもこの私を叩いたわねっ?!パストリスのくせにっ!」


え?何だかこの少女・・・態度が豹変した!いたいけな可愛らしい少女だと思っていたのに・・どう言う事?!でも・・・パストリス・・エ?パストリスって誰の事よ?


「何よ?その間抜け面は・・。そんなに大事なものなら返してやるわよ!」


ヒュッ!


そしていきなり少女は私に何かを投げつけてきた。


「危なっ!」


とっさに私は右手でそれをキャッチした。すると美少女はその様を見て目を丸くする。フフン、さぞかし驚いたに違いない。何せ私は中学、高校とソフトボール部に所属していたのだから、これくらい片手キャッチなんて造作もない。

所で何を投げつけてきたのだろう・・・?不思議に思い、手のひらを開けてみるとそこには美しいバラのブローチが握りしめられていた。

全く・・・・。

私は溜息をつくと言った。


「あのねえ・・いくら何でもこんなとんがったブローチを投げると危ないでしょう?全く・・・。」


そこまで言いかけて、今私は肝心な事に気が付いた。


え・・・?何?目の前に立っている美少女は・・・どう考えても外国人に見えるんですけどっ!それだけじゃない。先程私の後ろを通り過ぎて行った女子学生たちも・・・どう見ても外国人に見える。大体そもそも私は外国語なんてしゃべれない。

英会話スクールだって過去に3回挫折している過去を持つ。

いや、そもそも問題なのは何故今、自分がこの場所に立っているか・・なのだけど・


 目の前の美少女の背後には大きな噴水を前に、美しく整えられた芝生の庭らしき場所に立っているのだから。いや・・もちろん私も立っているのだけど・・も・・・?

そこでまた私は衝撃を受けた。な、何・・・この服装。私は確かに白いシャツにストライプ柄の上下おそろいのスーツを着ていたはずなのに、今の私は赤いチェック柄のひざ丈のフリルたっぷりのジャンパースカートにおそろいの柄の大きなネクタイ、そして上着は真っ白なブレザーにカラーとラペル部分はスカート柄と同じ赤いチェック柄・・・という何とも奇抜?な衣裳を身に着けているのだ。ちなみに先程の少女たちも、今目の前にいる美少女も同じ服装をしている・・・と言う事は、これは制服・・・?しかし、私にはもはやこの格好はコスプレにしか見えない!


「何よ・・・さっきから挙動不審な真似をして・・・。いつもなら辛気臭い顔をしてしっぽ巻いて逃げ出す癖に・・・。」


私は目の前の少女を見た。しかし、この少女・・・見たところ年齢は唯とほぼ同世代だろう。こんな生意気な口を年上に対して聞くのはいかがなものだろうか?


「いい加減にしなさいよ・・・・。」


私は笑みを浮かべながら言う。何故、自分がこんな立場にいるのかさっぱり理解できないけれども、今私はこの状況を痛みも感じるリアルな夢の世界と認識した。なので好きにさせてもらいますっ!


私は笑みを浮かべながらズカズカと少女に近づくと、ネクタイをつまんでグイッと自分の方へ引き寄せた―。


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