第1章 17 アレが・・・無いっ!
「ふう~・・・疲れる夕食だった・・・。」
ため息をつきながら自室へ戻った私は落ち着かない部屋のソファに座った。時計を見ると時刻はもう午後9時を過ぎていた。
「全く・・・こんな遅い時間にあんな重たい量の食事なんか出来るかってーの。」
結局私は父?が必死になって食事を勧めるも、サラダにスープにローストビーフだけを頂いた。そして残りの食事はどうぞ使用人の方たちに分けて下さいと丁重にお願いして部屋を出たのだった。
「ふう・・・それにしても・・・デブの本能ってすごいわ・・・あれだけの誘惑に打ち勝つのは容易じゃなかった・・・。」
あの大量の夕食を前に、この身体はお腹が鳴るし、勝手に手が伸びそうになったりと欲望と戦いながらの食事はまさに地獄だった。
「・・・お風呂に入りたいなあ・・・。」
立ち上がり、着がえを出そうと目の前にある大きな6段の引き出しがついたクローゼットを眺めた。
「しっかし・・・これもまるでお姫様のような家具ね・・・。」
薔薇模様のクローゼットには4本脚がついていて、引き出しの持ち手は淡いピンク色になっている。
「・・・疲れる部屋だわ・・・。」
ため息をつきながら、引き出しを開けて中を拝見。
「これは・・・下着だけね。よし、次の段は・・・・これは普段着かしら?ど派手なワンピースばかりじゃないの・・・。よし、次の段は・・・。」
しかし、結局このクローゼットには寝間着らしきものは見当たらなかった。
「それじゃ、こっちのクローゼットかな?」
今調べた隣にも同じデザインの今度は少し幅が狭いクローゼットが並んでいる。早速私は引き出しを開けて見ると、そこにはパジャマらしきものがぎっしりと入っていたのだが、それらはいわゆる『ネグリジェ』というものばかりであった。
「全く・・・少女趣味もいいところね・・・。」
私は中を漁り、比較的落ちついた無地のすとんとしたシルエットのネグリジェを探し出した。
「うん。これが・・一番無難なデザインかもね。」
用意した着がえをベッドの上に置くと、今度はバスルームを探すのだが・・・。
「そうだ、よく小説の世界とかじゃ、部屋の中にバスルームが付いているパターンが多いけど・・・・ロザリアの部屋にはついているのかな?」
私は部屋をグルリと見渡した。部屋には廊下へ出る扉とは別に、部屋の東側にも扉が付いているのが目に留まった。
「おや・・・あの扉は・・・?」
近付いて扉を開けて見ると・・・。
「おお!やはり・・・バスルームだっ!」
その部屋は床がタイル張りになっていて、壁際には排水溝らしき穴が付いている。
大きな真っ白な金の猫足バスタブの端には金色にピカピカ輝く蛇口とシャワーが床の上から伸びている。
「すっご~いっ!さっすがお嬢様っ!」
意気揚々とバスルームへ入り、タオルや石鹸類が無いか探してみる。
「う~ん・・・やっぱりタオルや石鹸はあるけど・・身体を洗う道具が無いのね・・。」
いや、確かにタオルに石鹸をこすりつければいいだけの話だけど、私はそれでは何だか洗った気がちっともしない。
「やっぱりスポンジか、ネットのようなものが欲しいな・・。明日何か代用品になりそうなものが無いかメイドさんにでも聞いてみようかな?まあ、今日はいいか。それより今夜は疲れたから早く休みたいわ。」
こうして私はバスタイムを開始した―。
「ふう~・・・さっぱりしたあ・・・。」
長い髪をタオルでぐるぐる巻きにして自室に戻った私は・・。
「ああ~っ!ビール飲みたいっ!」
ベッドにゴロンと大の字に寝っ転がった。
「全く・・この身体が未成年て言うのが困るよ。これじゃ私の大好きなお酒が飲めないじゃ・・・な・・・い・・・。」
あれ・・・おかしいな・・・何だか急激に眠気が・・・・。
ぐう・・・・。
そして私はそのまま眠ってしまった―。




