第2回「下野紘・巽悠衣子の小説家になろうラジオ」大賞 への投稿作品
偽物にされた元家宝と見る夢
名のある鑑定人とやらが、『コレは、なんちゃらかんちゃらを模した偽物ですな』と言って以来、庭の片隅にある犬小屋で使う皿として、野ざらしにされてきた。
飼い犬が居た頃は、まだよかった。犬小屋が空き家なって、もう幾年か。
神棚に祀られていた間に付喪神となっていた皿の末路としては、あまりにも口惜しい。
だがしかし、時は無情に流れていった。
いつしか皿の付喪神は、毎朝、拝みながら皿を磨いてくれていた家主の夢を見るようになっていた。
ある日。
ゲリラ豪雨に見舞われて全力疾走して帰宅してきた 長女ゆいこ。
縁側に吹き込む雨水を防ぐべく、雨戸を急いで閉めていった。
半分閉めて、残りを閉めに縁側の反対側の端っこに行った。
ゆいこは、庭の片隅に青年が倒れているのが見えた。
ナゾだらけだったけれども、慌てて飛び出して、縁側に青年を引き上げた。