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ヴァンと話そう!

 ヴァンがテリーヌの作ったスープを全て飲み終えるまで時間は掛からなかった。


 最初こそどうやら女性慣れしていないらしい彼は、近くでお替わりを注ぐために控えているテリーヌを意識しすぎて、ギクシャクとしながらスープを飲んでいた。

 だが、だんだんそれにも慣れてきたのか胃腸が働き始めたのか、鍋の半分ほど飲み終えたあたりからお替わりを貰った途端に一口でスープを飲み込むようになり、あっという間に鍋を空っぽにしてしまったのである。


 極度の飢餓状態の後、いくら胃腸に優しくテリーヌが気を遣って作ったものであっても、流石にあれだけの量を一気に摂取するのは危険ではないかと心配したが、どうやら大丈夫だったらしい。


 後に聞けば、獣人という生き物は総じて体が強靱で、その胃腸も人族とは作りが違うらしく、飢餓状態からでも普通に固形物ですら消化が出来るとか。

 ただし、獣族はその獣度が高いほど先祖の獣が苦手だったものに対する耐性が低く、よほどの毒でも無ければ食べる事の出来る人族よりはその点では劣っている。


「さて、それじゃあそろそろ話をしましょうか?」


 食事を終え、テリーヌが後片付けに去ってから僕は満足そうにお腹をさすっているヴァンに声を掛ける。


 強靱な獣人族でもなければ数日は体力回復を待つ所だが、僕が見る限りヴァンは既に話をする位は問題ないほどに回復しているように見える。

 毛艶も最初に家の前で見た時よりは随分と良くなっていた。


「……話? 何が聞きたいんだ」

「まずは貴方様がどうしてこの島に辿り着いたのかですかね」

「島だと! それは本当かっ!」


 僕の言葉を聞いたヴァンは、突然目を見開くとベッドを飛び降りてそう叫ぶ。

 そしてこう続けた。


「まさかここは魔の島なのか?」

「魔の島?」

「ああ、魔の島だ」


 魔の島というものを僕は知らない。


「その魔の島というのが何なのかわかりませんけど、ここはエルドバ島という島です」

「エルドバ……やはり魔の島であったか」


 ヴァンはそう言って僕から離れるとベッドに戻って腰掛けた。


「ですから、その魔の島って何のことなんですか?」


 何が何やらわからない。


 一人で勝手に納得している様なヴァンに、今度は僕が問いかける。

 話の流れからすると、このエルドバ島はヴァンたちガウラウ帝国からは『魔の島』と呼ばれているということだけはわかった。

 そして、エルドバ島がその魔の島と同じものだということも。


 しかし『魔』の島とはまた物騒な呼ばれ方だ。


「王国には伝わっていないのか。この島のことが……なるほど。だからこの島を領地に出来ると思っているわけか」


 呆れたようにヴァンはそう口にする。

 そして一呼吸置いてから僕たちが知らない、かれら獣人族の中でだけ伝わっている話を語り出したのだった。



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