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聖獣様の希望を退けたい!

 この家で僕たちと一緒に?


 僕は家の入り口と聖獣様を交互に見る。

 しかし、聖獣様の大きな体は入り口から入るにはいささか窮屈だろう。

 もちろん中もさらに窮屈だ。


「村長、ここじゃ無くて別の大きな入り口のある家とかないかな? これだと聖獣様も一緒となるとかなりきつそうだし」

「それが、村を見渡して貰えばわかると思いますが、この村の中ではこの家が一番大きいのです」


 僕は村長の返事を聞いて、聖獣様の顔を見上げる。


『なんだ?』

「馬小屋クラフトするんでそこじゃだめ……かな?」

『だめだ。我はお主たちと一緒に語らい合って眠りたい』


 長話して女の子たちに逃げられたから反省してるのかと思ったらこれだ。

 聖獣様って馬だけど鳥頭なのだろうか。

 三歩歩いたら忘れるとか?


 正直言えば僕のクラフトがあれば、新たな家を作ることは可能だ。

 だけど、コリトコというブレーキ役がいない状況で一晩聖獣様の長話に付き合うのもまっぴらごめんなわけで。


『嫌なのか?』

「ソンナコトナイデスヨ」


 僕はそう答えながらゆっくり後ろを振り向く。

 そして、テリーヌを手招きすると「睡眠薬のレシピとか知ってる?」と小声で聞いてみた。


「知ってはいますけど、聖獣様に効くかどうかは……」

『何をこそこそ話しておるのだ?』

「い、いえ。唯一の女性であるテリーヌがいいと言うなら僕が聖獣様も入れるようにこの家を作り直そうかなと」

『おお、そうであった。お主のあの不思議な力であれば我が入っても窮屈でない家が作れるではないか。村長、この家を作り変えてもよいか?』


 聖獣様に睡眠薬を盛る話を聞かれたかと思い、僕は慌てて言わなければ良いことを言ってしまった。

 これで村長が良いと言えば僕は素直にこの家をクラフトで作り直さなければいけなく成る。

 たのむ村長。

 断ってくれ……。


「作り変えるとは一体どういうことなのでしょうか?」

『お主もこやつが村の前で不思議な力を使って診療所や薬を作ったのを見ただろう?』

「……記憶にないですが、あれはレスト様がお作りになられたので?」


 どうやら僕が診療所をクラフトした時、村長は聖獣様の長話の相手で手一杯でクラフトしているところを見ていなかったようだ。

 しかしここでとぼけても全く意味はない。


「え、ええ。僕の力――ギフトは『クラフトスキル』と言いまして、素材と作り方さえわかれば大抵のものを作り出すことが出来るのです」

「おおっ、それで皆のための薬も作っていただけたわけですな。しかし薬だけで無く建物まで作れるとは」


 村長は大仰に頷くと「良いでしょう。私も是非レスト様のその力を見たいですし、この家を作り替えを許可しますぞ」と目を子供のように燦めかせて言った。


『ということだレスト。さっさと我のためにこの家を作り替えてくれ。たのんだぞ』

「は、はぁ……わかりました……ふぅ……」


 僕は力なくそう返事を返すと、聖獣様の長話からどうやって逃れようかと考えながら両手を家に向けて突き出しながら素材化を発動させたのだった。




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