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クラフト素材を採取しよう!

「あったあった、結構沢山生えてるな」


 中央付近にたどり着くと、そこはまさにセベリアの畑と言っても良いほどの状況だった。

 もしこのセベリアがテリーヌが描いたものと同じ姿形をしていたら絶対近寄りたくは無かっただろうが、そこに生えているのは丸っこい可愛らしい葉を茂らせた膝丈ほどの植物である。


「とりあえず一本……素材化!」


 目の前からゆったりと風に揺れていたセベリア草が一本消えると、同時に僕の脳内の素材リストにセベリア草が追加されたのを確認した。


「よし、それじゃあ必要な分だけ採取しますかね。なるべく景観を守る様にっと」


 僕は脳内のリストからセベリア草を意識して目の前の景色と重ねる。

 正直言えば根こそぎ『素材化』してしまえば楽ではあるのだけど、それだと聖獣様がやったようにこの美しい景観を破壊して仕舞うことになる。

 なので僕は素材化の力を操作してそれを回避することにした。


「えっと、大体一本おきにしてっと、固まってる所からなるべく抜く様に……よし、行ける」


 準備を完了した僕は、手のひらをセベリアの群に向け、いつもの様に「素材化」の力を発動した。

 すると、目の前のセベリア草が次々と消えていき、その代わりに僕の素材リストへ追加されていく。

 そして大体五十本ほど素材化した所で僕は力を止めた。


「よし、思った通りこれなら大丈夫だ」


 狙い通り目の前のセベリアは畑は、五十本も抜かれたというのに最初とあまり変わらない景観を保っている。

 たしかに五十本分の隙間は空いているが、それは言われなければわからないだろう。


「領主さまー!」


 僕が成果に満足してそれを眺めていると、コリトコが一本の花を持って走ってくるのが見えた。

 あの手に持っているのがロマリーの花だろう。


「はい、これ」


 少し黄色がかった花びらのその花を受け取ると、早速臭いを嗅いでみると、鼻の奥に柑橘系の爽やかな香りが広がった。

 確かに良い匂いだ。

 心が安まるような優しい香りを感じながら、僕はロマリーを素材化する。


「レスト様、こちらがミトミ草ですぞ」


 同時に今度はキエダが一本の草を持ってやって来た。

 僕はそれを受け取ると、同じように鼻を近づけ――


「うっ……これはきつい」


 先ほどの優しい香りと違い、ミトミ草の臭いはかなり強烈なもので、僕はツーンとする鼻を押さえて顔からミトミ草を離した。


「ミトミ草の香りはかなり強くて、思いっきり吸い込むとそうなってしまいますわ」


 コリトコの後をゆっくり追ってきたテリーヌが僕のそんな状況を見て、少し笑いながら言った。

 人にとっては臭いがきついだけで悪影響は無いという。

 ミトミ草の汁はそのままだとかなりきつい臭いを放つため、害虫や害獣避けなどにも使われているらしい。


「ですのでそのまま使うのでは無く、他のものと混ぜ合わせたり薄めたりして使うのです。そうすることで、そのままだときついその香りが和らいで素晴らしい爽快感を感じる香りとなるのですわ」

「そ、そうか。そういうことは先に言っておいて欲しかったよ」


 僕はミトミ草を素材化しながら、涙目でテリーヌにそう訴えたのだった。


読了ありがとうございます。

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