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転生カエルの災難  作者: ゲコール
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やっぱりヘビは天敵です

『まーた、考え込んでるー』


ビーさんが僕の頭にアゴを乗せた。


『少しはあたしと遊べー暇なんだよー』


なんだか、ビーさんの独特な雰囲気は、一気に自分をバカらしくしてくれる。

無駄に考えすぎているだけなのかも知れない。


『はいはい。でもそこに頭乗せられると僕動けないからね?』


小さな両手でビーさんのアゴを退けるようにすると、ビーさんは僕から頭を下ろして

相変わらず眠たそうな眼で、僕を見た。


『考えるのは悪いことじゃないけどねー、せっかく女の子と二人きりなんだよー?』


そう言って悪戯にビーさんが僕にすり寄ってくる。

えっと、確かにそうなんだけど……異種間だし。そもそも一応天敵だし。

サイズもかなり違う上、この性格だ。

ビーさんを女性として意識しろと言われても、かなり困る。


『今は見た目がお互い違うから友情くらいしか感じられないよ』


『それなのよねー』


ビーさんは珍しく本当に残念そうにガックリと頭を下げていた。


『せめて来世はいい男と付き合いたかったのにさー』


『そ、そうなんだ』


当たり障りのない返事をビーさんに返す。

なんとなく嫌な予感がした。

前世でも覚えがある。この手の話は間違いなく……


『聞いてよー前世の彼氏はホントダメダメだったんだからー』


はい、予想通り。彼氏の愚痴モード突入。

前世の頃よく居酒屋で酔っぱらいのおねーちゃんに絡まれていたので

僕はこれが凄くキツいことを知っている。

この手の話の切り上げかたがわからなくて、場合によっては一時間以上話に付き合わされることも。


……でも、前世の事を話したがらないビーさんから少しでも話を聞けるチャンスなのかも知れない。

僕は前世の頃のように、はい。そうですか。大変ですね。のコンボを利用して話を聞いていくことにした。


曰く、暴力を振るうくそ野郎。

自分の事しか考えない馬鹿野郎。

浮気をして逃げたゴミ野郎。

等々


普段やる気のない彼女とは一変して、前世の彼氏の愚痴は続いた。


『うわーん! こんなのずっと聞いてくれるのエルちゃんだけだよー!』


そして最後にはそう言って僕の水槽に入ってきて僕を囲うようにグルグルと回り続ける始末。


聞いていると言うか、聞かされているの方が合っているんだけれど

流石に今のビーさんにそんな事を言えるわけも無く

どうどう、となだめるように頭に手を乗せてあげるしか僕には出来なかった。


『オオカミ娘ちゃんってば、この話になるとすぐお風呂ーとかご飯ーとか言って部屋から居なくなるんだからー!』


『そ、そうなんだ……』


乾いた笑いで僕はビーさんに返す。


鈴ちゃんもビーさんのペースには勝てないらしい。

現世ではまだ若いのに苦労されていますね……。

と言うか、鈴ちゃん、現世では一応小学生なのだから、あまりドロドロした話はしない方がいいですよビーさん。


口調とか雰囲気からして前世でもそれなりに生きてきたオオカミだとは思うけど、それでもなんと言うか、マナー的に、ね。


『なんか久々に話したら疲れたー』


ビーさんはビーさんでどうやら気が済んだのか、のそのそとゆっくり僕の水槽から這い出て、自分の水槽に戻っていた。

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