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転生カエルの災難  作者: ゲコール
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ヘビには慣れました。

『うーん、うーーーむ……』


翌日、目を覚ました僕はまた頭を抱えていた。

何故前世の話になるとビーさんは語りたがらないのか。

何故、前世の話になった途端に鈴ちゃんは哀しそうな雰囲気を出したのか。


『まーた考え事ー?』


水槽越しにビーさんが僕の方を見て話しかけてくる。


『あ、ビーさんおはよう。うん、なんだかモヤモヤしちゃってさ』


ビーさんに返しつつ、学校へ行く準備をしている鈴ちゃんに目をやる。

昨日の哀しげな雰囲気は何処へやら。いつも通り……と言ってもまだ鈴ちゃんの事を良くは知らないからハッキリとは言えないけど。

昨日の事など無かったような感じで鈴ちゃんはテキパキと支度を終えていた。


「学校に行くから、二人とも大人しくしていてね。脱走なんかして建君やお母さんに捕まったら私帰ってくるまでフォロー出来ないから」


そう軽い口調で言うと、部屋を出ていった。


確かに、僕達は水槽に入れられてはいるものの、蓋のようなモノは無く、やろうと思えば簡単に抜け出すことが出来る。


だけど……うん。鈴ちゃん一家のお母様と建君の怖さは身をもって体感しているので

注意などされなくても家をうろつこうとは思えない。


僕は鈴ちゃんの言いつけに苦笑いで応えながら、行ってらっしゃいと背中に向けて声をかけた。


『あたしの前世の話は置いといてさー、エルちゃんは前世ではどんな感じだったのー?』


鈴ちゃんが居なくなるのを見計らったように、ビーさんがニョロリと水槽から這い出て、僕の水槽内に顔を入れる。


あ、多分ビーさんが何度もこう言うことしてるからそう言う注意するんだな。

外出際、鈴ちゃんが発した言葉の意味を理解して、呆れつつ僕もビーさんに近付いた。


昨日のやりとりで多少、いやもう殆ど彼女への恐怖心は無くなっていた。

目の前に顔があっても、なんなら彼女の頭に乗っても平気でいられる。


なんと言うか、そりゃ多分本気出したら普通に負けるんだろうけど

彼女が本気を出す姿が全く想像できないせいなのかもしれない。

ある意味、安心感に近いものまであるから不思議なものだ。


野生じゃ有り得ない光景だろう。


全く自分の事は話さないくせに、と心で少し悪態をついてから、僕は思い出せる範囲で前世の記憶を話して行く。


一応打算もあって、これで僕に同情や共感をしてくれて

ビーさんが前世の話をしてくれるのを期待してはいるけど。


それに僕の前世の生き様なんて取るに足りないものだ。隠すような事もない。


『昨日、聞いてた通りだよ。僕は高校を卒業したあと小さな工場で仕事をしてた。

そこで運悪くプレスの機械に潰されて……って感じかな』


『まさに潰れたカエルーって感じだーねー』

『言わないでよ、結構気にしてるんだからね?』


ビーさんが少し悪戯に笑う。

なんの因果か、その通りカエルに転生したせいで結構気にしているのは事実。


少し頭を抱えて、なんとなくそれでもそう言うビーさんは憎めないから

呆れたように返した。


ーーって、あれ?


何か、その言葉にヒントを獲られたような気がした。


死因と現世の生まれ変わりが、何処かで繋がっている……?


ケラケラと笑うビーさんを横目に、少し考えを纏めてみる。


確かビーさんの死因は自殺。そして転生先がヘビ。

そして元人間のヘビは多数存在した。

今の日本の自殺率を考えたらこれは多分不思議じゃない。


次に僕。作業中にプレス機に潰される間抜けな死。そして転生先はカエル。

……自分で間抜けってあまり言いたくなくて悔しいけど、

正直第三者の視点から見ればこのケースの死は決して多くは無いだろう。

だから僕の同胞には元人間が見当たらなかった。


鈴ちゃんに関しては死因を聞いていないので断言は出来ないが

ニホンオオカミが絶滅した原因の一つに人間が上げられる。

そう思うとニホンオオカミから人間への転生も考えられるのでは無いだろうか。


『いや、でも、それだったらもっと大多数の記憶持ちがいてもおかしくないことになっちゃうか……』


少し答えが見えたような気がしたけれど、それにしたって記憶持ちの人間が少なすぎる。


鈴ちゃんが十二歳。……あ、学年見ただけだから、場合によっては十一の可能性もあるけど、そこは無視して。

とにかく、十年と少しの間で記憶持ちに出会ったのは僕とビーさんだけ。


僕が今考えた仮説なら、その辺の動物達にもきっと当てはまる。

まして人間に殺された動物なんてそれこそ数えきれないくらいだ。

彼らが全員、記憶持ちで転生している訳がない。

それなら鈴ちゃんがもっと沢山の記憶持ちの動物と出会っているはずだし。

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