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転生カエルの災難  作者: ゲコール
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私はエルです

『うーん……』


『ところでカエル君?カエル君の名前ってなーにー?』


あーでもない、こーでもないと思考を巡らせていると、ヘビさんから逆に質問をされた。


『名前?』

『あたし前世の名前忘れててさー、ヘビだからビーちゃんってオオカミ娘ちゃんにつけられたんだけどー』


そう言えば生き抜くことに必死でそんな事も思い出していなかった。


僕の名前、名前……


『えっと僕は、僕は……えっと、あれ……?』


そして改めて自分の間抜けさに気付くのでした。

なんと、僕、記憶喪失です。……いや言い方おかしいな。

前世の記憶喪失? ん? あれ?

頭がこんがらがる。


『うっわ! 思い出せない……』


この姿になってから、特に名前と言う名前で呼ばれる事など無く、カエルとしての名前すらない。

うわ、なにこれ悲しい。全国のカエル達に名前つけて回りたくなってきた。


『不思議よねー。人間だった頃の記憶はあるのに、名前は覚えてない。みんなそうだったんだよねー』


オオカミ娘ちゃんはそもそもオオカミの頃の名前なんて無さそうだから聞いてないけどー。

と付け足してビーさんが言う。


ビーさん曰く、ヘビ仲間の仲間……うん、説明ややこしい!

前世の記憶を持つヘビの仲間達も一同、名前を覚えていたヘビは居なかったらしい。


にしても名前かぁ……確かに呼び方が無くては困りそうだ。

同じような記憶持ちのカエルが、もしここに現れたらそれこそ面倒臭い。

カエル君一号、カエル君二号とか呼ばれそうだし。


『カーチャンでいいんじゃなーい?カエルだしー』


ビーさんがそう言った所で、部屋の扉の開く音が聞こえた。


「カーチャン……カーチャンって」


そして、そこには笑いをこらえている鈴ちゃんの姿があった。

片手には土と池と登り木がセットになっているビーさんのより一回りくらい小さな水槽を持っていた。


『なんかそれ人間のお母さんみたいな感じだし、嫌だよ……』


「私も流石にカエル君をカーチャンって呼ぶ勇気はないかな」


ビーさんの水槽の隣に空の水槽を置き、鈴ちゃんは椅子に腰掛けて少し笑いを堪えたように言った。


「とりあえずこれがカエル君のお部屋ね。カエル君なに食べるの? ハエ?」


呼び方が無いと喋りにくいじゃないー

とうねうね悶えているビーさんの水槽の上からピョンと隣の水槽へジャンプ。


おお、やっぱりジャンプ力すっげーよ僕。これ幅跳び世界一なれるよ。

人間じゃないけど


跳ぶのには慣れていたけど、とりあえずここで自分を褒めておかないと少し立ち直れそうになかったんです。はい。


ちなみにハエは意外と捕まえにくくて、今まで食べてきたものと言えば、アリやまだ小さなコオロギ等である。


あとついでにハエってなんか汚くて美味しくなさそうだし……

味覚なんて立派なものついてないの知っていてもなんとなく、ね。


『僕より小さな生き物ならなんでも食べられるよ……あ、毒さえ無ければね』


なんでもって言ったよね。とか言って変な猛毒の生き物持ってこられたら困るので一応補足しておく。


鈴ちゃんは多少冗談きついだけでそこまでしない子だとは信じてるけど……

サイコパスお母様の子供だから油断できない。


「はい了解。小さなコオロギでも建君に捕まえてきてもらうよ。それにしてもカエル君の名前か……どうしよっか」


うーん、鈴ちゃんって結構あごで弟使ってるお姉さんなのかな。

ヤンチャ坊主な印象の建君とは相性良さそうだけど……。

一人っ子の僕にはあまり姉弟関係とか理解できない。


『エルでいいよ……変にちゃんとか付けられても無難そうな呼び方だし、あまり凝った名前にしても面倒だし』


自分の名前が思い出せないのも含めてそう思う。

万が一思い出すような事があれば、そっちの名前で呼んで貰いたいし、ここは適当で良いだろう。


『カーチャンダメならフーちゃんにしようと思ったのにー』


ビーさんが少し不満そうにウネウネしてるけど無視。


「じゃあエル君だね」


『そう言えば人間の鈴ちゃんはともかく、どうして僕とビーさんも会話が出来るんだろう?』


僕の名前が決まったところで、ふと湧いた疑問。

元人間だから僕は人の言葉がわかって当然だけど……


『それを言ったらめんどくさいじゃないー。人間だったからでいいじゃないー』


ビーさんがそう言って面倒臭そうに鈴ちゃんから食料を貰っていた。

マウスとかそう言うのかと思ったらドッグフードみたいな固形のヤツでちょっと安心した。


いやまぁ、それを言ったらそうなんだけど……なんと言うか


『上手く言えないけど、理由があるような気がして……』


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