曖昧な存在なのです
鈴ちゃんもビーさんもその返答に、黙り込んでしまう。
なので、ここは僕が言葉を紡ぐべきだろう。
可能な限り、それっぽい答え言ってくれと心に願いながら。
『意思の疎通は出来なくなるって僕は考えてるけど、それは間違いないかな?』
「うん。間違いないね。そもそも意思疎通出来るのが間違った摂理だから。ボクみたいな存在は、間違った摂理を、正しく元通りにする存在だと思ってくれれば話が早いんじゃない?」
まぁ予想してた通りの返答だった。
続けていくつかの質問を投げ掛ける。
『あなたは、正しく元通りにする存在って言ってたけど、それだと僕達が回れ右するのは良くない事なんじゃないかな?』
意外と口達者にこういう方便が出ることに自分で驚いている。
そう、それくらい僕は、鈴ちゃんを普通の人間にしてあげたいと願っているんだ。
「あー、そう言われるとそうだね。困っちゃったな……」
多分話ながら僕の心を読んでいるのだろう。困ったと言う割には、悪戯な笑みを浮かべている。
まぁ、合わせてくれているのだ。ありがたく思うことにしよう。
『まぁ、多分記憶消すから大丈夫だよ。それと僕達の、前世の魂ってどういう風になるのかな?』
フォローを入れつつ、問い掛けを続ける。
「カエルと蛇に対しては、新しい人間に生まれ変わるよ。君達はまだこの世を全うせずに死んじゃった人だから。オオカミは、魂の格が高いから、これも人間になる可能性高いかな? こればっかりはボクの決めることじゃないから憶測だけどね」
神様と言っても色々な種類やジャンルがあるのだろう。
肝心な所は結構曖昧な返答になってしまっている。
「結局、神様ってなんなの……? 前世って?」
黙り込んでいた鈴ちゃんが、小さく呟いた。
それはこの世に、この姿で生まれてしまった不条理と
僕達と出会えたのにお別れをしなければならない理不尽さを
訴えかけるような、小さな少女の叫びに聞こえた。
「それぞれが感じるもの。としか言えないよ。神様だって、いるのかもしれないし、居ないのかも知れない。
君たちの前世の記憶だって、本当なのかもしれないし、作られた記憶なのかもしれない。それくらい曖昧な存在なんだよ? 神もヒトも魂も、そしてこの世界そのものも、ね」
とても曖昧で、だけど神様が言ったその言葉は、とても的を射ているような言葉だった。




