神様? 妖怪?
「着いたよ。ビーちゃん、出る?」
『んー』
鈴ちゃんはとある大きな木の近くで、足を止めた。
数メートル先、木々に覆われ、隠されているかのように小さな社が僕の目でも目視できる。
ビーさんはのそのそとケースから這い出ると、
僕とは反対側の鈴ちゃんの肩にダラリとぶら下がった。
『僕、霊感と言うかそう言うの一切ないけど、これは不気味だね』
社の目の前まで鈴ちゃんが運んでくれて、そこから僕は鈴ちゃんから降りて
社に置かれている小さな像を見ながら呟いた。
『いつの時代のモノなんだろうねぇー』
ビーさんも、僕の隣で興味深そうに像を眺めている。
「朽ち果てた感じからすると、何十年、下手したら百年とかそれくらいまでありそうな気はするけど」
鈴ちゃんも、僕達と同じ視線までしゃがみこんで、呟く。
『うーん、ここに来れば元凶の何かに会えると思ったんだけど、それらしき気配は僕にはわからないかなぁ』
『エルちゃんは鈍いなー。社の上。ご神木なのかなこれ。そこからずーっと私達見てる子がいるよ?』
ビーさんの言葉に、驚き上を見上げる。
そしてようやくその存在に気付いた。
それは、真っ黒な翼を持ち、真っ白な装束を纏った異形の存在。
姿形は人間に良く似ている。天狗を連想してしまう風貌だが、その姿は……服と翼を失くせば、僕達がよく知る人物そのものだった。
『えっ、鈴ちゃん……?』
「ありゃ、気付かれた」
鈴ちゃんがもうちょっと成長して、高校生か、その辺りになったらこんな感じだろう。と言った容姿。
僕の言葉に、彼女は小さく返すと、翼を羽ばたかせ、地上に降り立ち
僕達を静かに見つめていた。
『ドッペルゲンガーさんかなー?』
ビーさんは臆した様子も無く、口にする。
鈴ちゃんは何も言わず、彼女を見つめていた。
「遠路はるばる、ご苦労様。君たちスゴいね」
少しふざけたような口調。
でも、最初に鈴ちゃんと出会ったときのような、少しミステリアスな雰囲気が彼女にもあった。
「あなたは誰?」
鈴ちゃんが問いかける。
彼女が、黒幕なのだろうか。僕は彼女の雰囲気に呑まれ、まだ上手く言葉が出てこない。
「誰って言われても困るんだよね。ボク自身、自分が何者なのかなんてもうわからなくなってるんだ」
見た目は女性だが、口調は少年のような、それがまた一層不思議な存在だと思わせる。
……まぁ世の中にはボクっ娘なんてモノも存在するけど、とりあえず僕が前世含め、生きてきた中では初めて出会う存在だった。
『あ、えっと……僕達は』
ようやく声が出た。僕は彼女……彼女なのかな? とりあえず彼女でいいか。
その子に、経緯を説明しようと口に出したが、
その口を人差し指で止められてしまう。
「うん。わかってるから大丈夫! 君達みたいな存在が何故かたまに生まれちゃうんだ」
やはり、神様の堕ちた姿なのだろうか。
言わんとしていることはわかる。と言った感じで、彼女は言葉を続けた。
「正直ね、ボクにもなんでこんな現象が起きるのかはわからない。自分自身の事すらよく分からないんだし、その辺は許して欲しいかな?」




