雨と蛇とそれからカエルと
『やまない雨はない。なんて良く言うけどさー……あたしの心の雨は前世の時も、今この姿になってもやまないよ』
例の彼氏の話なのだろうか。それとも、自殺を選んでしまった本当の理由と繋がっているのだろうか。
悲しそうなビーさんの声色に、僕はそれが気休めだとわかっていても言葉を返した。
『もし、僕たちのこの記憶が消えたらさ、魂ってどうなるのかな?』
そう切り出して。
『んー、まぁオカルトとかだと輪廻転生になるだろうから記憶を引き継がない状態で、別の生き物に転生するんじゃないかなー?』
『そしたら、記憶は無くても僕達はまたきっと会えるんだよね?』
遠い異国同士の人間にならなければ、その可能性は充分にありえるだろう。
『僕は恋人なんて居たこと無いし、励ましかたなんてわからないけど、雨の日に濡れてる女性がいたら、傘を差し出すことくらいは出来るよ』
『……エルちゃんは誰にでも優しいから、ちょっとだけずるいよ』
クスリとビーさんが笑って答えた。
『よーし、来世でエルちゃんと出会ったら口説くぞー!』
そして一転、明るく少しふざけた口調で言うと僕に退くように促して、にょろにょろとテレビの前でとぐろを巻いて、テレビを見始めた。
『あはは、口説かれてみたいものだよ』
僕もその言葉に笑って返すと、降りだした雨を見て、少しうとうととしていた。
雨の音は心地いい。天敵がいない状態だと油断しやすくなっしてまうのだろうか。
その睡魔に任せるように、僕は夢うつつの状態でボーッとしていた。
鈴ちゃん、雨の樹海で迷子になったり怪我したりしなきゃ良いけどなぁ。なんて事を考えながら。




