僕たちはお留守番
「場所はわかったけど、樹海までは距離があるし、エル君とビーちゃんを連れて歩くケースも欲しいよね」
鈴ちゃんがテレビを付け、外出の準備をしながら僕達に声をかけてくる。
今日は土曜日。上手いこと鈴ちゃんが家族を言いくるめたらしく、富士の樹海へとまずは一人で下見として行ってくると告げた日だ。
正確には家族旅行で富士山近郊巡りらしいけど、多分隙を見て抜け出すつもりだろう。
ちなみに家族旅行と知ったのは、お母様が部屋に掃除をしに来たときに少し嬉しそうに
「鈴から何処か行きたいなんて言い出したんだもの、雨でも降るんじゃないかしら」
と僕達に語りかけてくれたから。
「本日の天気は曇り、時々雨ーー」
ニュースキャスターの男性の声が、部屋に響く。
まさか、本当に雨降らなきゃいいけど……。
『エルちゃんが潰れないような箱ならなんでも大丈夫だよー』
ビーさんは相変わらず、気だるそうに返事をする。
『あまり無理はしなくていいから、気を付けてね』
道中で虫かごか何かを購入するつもりなのだろう。
その気遣いに感謝しつつ、樹海に深入りして怪我なんてしないように僕も返した。
「うん。私も人間の体で樹海は始めてだから、無茶はしないよ」
ヒラヒラと手を降り、鈴ちゃんが部屋から姿を消す。




