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<ウサうさネコかみ>もふけも装備のおれたちは妹たちを助けるためにVR学園闘技場で成り上がります!~ティアブラ・オンライン~  作者: 日向 るきあ
Stage_84 森コン、グルメ、そして観劇! 新生魔王軍始動、前夜祭!

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998/1358

Bonus Track_84-3 虚栄の都、雁首揃えて! 『みずおと』第二話第三幕!~アスカの場合~

998部分!!

 当然僕たちも、雁首揃えてそれを見ていた。

 セレネさん、エクセリオン。ミソラちゃん先生、のぞみん先生、エルエル。

 各党の代表格。町の偉いさんでもある、高天原学園の評議会メンバー。

 その他、いろいろ活躍した人。

 もちろん、『ティアブラ』運営本社分社の社長に役員も。

 みんなしゃれめかして、ほとんどが笑った顔をして。


『魔王軍』にまつわるあれこれは、月萌の一般国民向けには『ティアブラ』のリアル連動イベント。

 すなわち、国が作り、運営し、配信するVRMMOのお祭りだ。

 運営側(たかまがはら)の人間としては、エンジョイする顔を見せないわけにはいかないのだ。

 もっとも僕や数人は、純粋に楽しんでいたのだけれど。


 謎なのは伯父リュウジ。どこか、演技でなく楽し気に感じるのは気のせいか。

 余裕かましてるのか。それともついにブッ壊れたか。

 愛すべき金銀の番犬たちの様子を見るにつけ、そうも思えない。

 やはり、ドMなのか。いや、その方向については深く考えたくない。

 彼の息子(レイン)が飛ばしてくるウインクをなまぬるくスルーし、じろっとけん制するハヤトをどうどうとなだめ、僕はふたたび大型スクリーンに視線を向けた。



 画面の中幕が上がれば、明るく照らされた舞台の奥から半ばを、城の人々がてきぱき忙しそうに行き交っていた。

 舞台手前、両端では、噂をする人々。

 すべて、ミュージカル調にコミカルに。


『ねえねえ、いったいどうしたの?』

『ほんとにいったいどうなった?』

『すっごくすっごくはかどるよ!』

『とってもとってもまわってる!』

『なにが?』『しごと!』『おしごとよ!』


 噂をしあう人たちが声をそろえると、行き交う人々が全員ぴょんっとはねる。

 

『いったいぜんたいどうしたの?』

『クレハ様よ、クレハさま!』

『城のみんなの、得意不得意』

『まるっと把握で仕事振る!』

『急に覚醒しちゃったね!』

『いったい何があったやら!』


 舞台両袖に展開する花道部分にスポットライトが落ち、働く職人たちの姿がひとつひとつ浮かび上がる。

 料理をし、庭を整え、お城の壁を修理する。

 トンテンカンと鉄を打つ職人。弓を張り、矢を作る職人。

 剣の素振りをする騎士。槍の練習をする兵士。

 騎士と兵士が『これはいいや!』というようにうなずくと、下働きたちが剣と槍を回収していく。

 職人たちが剣を作り、槍をこしらえ、弓矢を束ねて持ってゆく。

 いつしか舞台の上にも、武具を作る職人たちが並んでいた。


 舞台中央に、せりあがってくるベッド。

 その上に、クレハが半身を起こしている。というか、でっかいクッションにでれんと背中を預けている。

 疲労を押して働く男のりりしさは消え、ダボダボのパジャマ姿とめんどくさげな表情。まるっきり別人だ。というか僕もここまでダレダレなクレハは見たことがない。あきらかにグリードが中にいた。


『クレっちゃーん! でーけたでけたー!

 剣と鎧、盾と槍、それに弓矢が1ダースー!』


 ちゃかちゃかと走ってきたチナツが報告すれば、グリクレハはダルそうにあくびする。


『じゃア、行くか。

 これだけは俺がカオ出さなきゃだからな……ふぁ……』

『アイアイ!

 それじゃあお着換えしましょうねー!』


 グリハがダラダラバンザイすると、チナツがぽーんとパジャマをすっぽぬく。

 周りのみんなが『キャッ』と一斉に顔を覆い、指の間からはずかしそーに注目するが、残念、出てきたのはりっぱなスーツ。

 そのままひょいっと輿に乗せられたグリハ、『れっつらごー!』と楽し気に先を行くチナツが舞台下手に消えていくと、ミズキのナレーションが入った。


『あれから数日。『強欲』に取りつかれた大臣クレハは、恐るべき計画を進めていました。

 城の仕事を効率化して、できた余裕で武器を作り、よその国に売りに行こうとしていたのです。

 それだけではありません。

 その国や、周りの国をけしかけて、お互いに戦わせ、どんどん武器を買わせようとしていたのです!』


 明るくはねるライトはいつしか落ちて、人々を照らすのは青白い、冷たい地明かりに。

 たのしげだった舞台は、薄気味悪いものにかわっていた。


『もちろん、みんなにそんなことは言っていません。

 あくまで、いま世界のあちこちで起きている争いから、仲良くしている国々を守ってあげられるように。

 ひいてはそれが、自分の国を守ることでもあるからと、あまくやさしい、嘘をついていたのです』


 淡々と流れるナレーション、薄暗い舞台。

 その中を、飛ぶ鳥の速さで駆ける人影一つ。御庭番役のユキさんだ。

 上手側、ほのかにともるサスペンションライトをくぐるように、舞台袖へと消えてゆく。

 ゆっくりと落ちていく照明とともに、ひそやかに幕が下りた。



 童話や児童文学を愛するシオン。彼の書くシナリオは、その色合いが強い。

 すなわち、やさしい語り口ながら、まぎれもない悪も描く。

 シオン個人はどこまで行っても、悪だくみさえしない子なのに、まったくふしぎなものだ。

 もしかしたら逆に僕も、ピュアで清らかなポエムなんか書けたりして。

 いや、ない。ありえない。ぶっちゃけむり。

 ぶるぶると頭を振ると、ハヤトが不気味そうに僕を見た。

 とりあえず、うさみみパンチをくらわした。

ほんと投稿しようとすると重くなる^^;


次回、続き。ソリステラス組がゲスト出演の予定です。

どうぞ、お楽しみに!

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