84-1 前夜祭開始!『あそべる森のコンサート』!
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『卯王の薬園』で生やした森のなかは、いつも以上のお祭り騒ぎ。
それもそのはず。だって今日は、新生魔王軍の旗揚げ前夜祭。
このコンサートは、その最初をかざるイベントという扱いとなったのだ。
いつものとおり、イツカとレモンさんはまるっきり大きな子供そのもののはしゃぎっぷり。こどもたちはもちろん、おとなたちも童心に帰ったようすで遊んでる。
おれとライムは、ふたりでそれを見守った。
こうしていると、まるで時が戻ったかのようだ。
だれも、おれたちを『世界の敵』としてみてこない。
ここベータ居住域は、原則としてティアブラネットが敷設されていない。つまりスキルも使えないから『大神意』の影響もうけないのだ。
もちろん『卯王の薬園』を使うに当たっては、『神域展開』で一時的にティアブラネット敷設ゾーンを生み出す。
このときにみんなが『大神意』にやられないよう、おれはあらかじめエンブレムの効果範囲を拡張しておいた。
大丈夫、もしなんらかの原因でおれのつけたエンブレムが壊れたとしても、イツカやユッカさん、レナさん、ライムのつけている分だってあるので安心だ。
「なんだか、時間が戻ったみたいですわね」
そんなことを考えていると、ライムが言った。
「こうして、子供たちのために、元気になれる森をつくって。歌を歌って……
エンブレムなしでも、こうできる日が来てくれるとよいですわ。一日でも、早く」
「そうだね。
……がんばるよ。イツカたちのためにもさ」
予想通り、セレネさんはエンブレムを受け取らなかった。
ルカとルナも、けじめのためにと断ったという。
そうして結果、おれとライムだけがこうなってしまって、ちょっと申し訳ない気もする。
それでも。
愛する女性とただ、こうして隣に立っていられる時間は、本当にかけがえのないものだといま、心から感じている。
なんだか今なら、恋のバラードも作れそうな気がした。
「カナタ――!」
「かなぴょーん!」
「つりーあーまー! つりーあーまーやってー!」
もちろん、そんな時間はない。イツカたちが呼んでいる。
おれはライムと笑みを交わすと、森のなかへと跳ねていった。
いっそのこと、みんなのせちゃえ。大きな森のようになったツリーアーマーに搭乗希望者みんなを載せて、おれはふわりと浮かび上がった。
そのまま、町内をぐるっと一周。そうしながら、歌い始めた。
青空の下みんなで、声を合わせて歌って。
立ち上がるのはちょっと危ないので、今回は座ったままで踊って。
一通り楽しんだら終わりの時間。もとの集会所まえ広場に舞い降りて、最後の曲をみんなで歌ってフィナーレ。
空中に浮かんだ大型モニターの向こうで、白リボンを蝶ネクタイとして結んだおれたちが、みんなといっしょに拍手してくれている。
さて、ここからすこしCM休憩をはさんで、『みずおと』第二話放送だ。
おれたちは帰宅する人たちを笑顔で送り、集会所の控室へ。
コンサート後懇親会の会場に移動するため、一息ついて身なりを整えるのだった。
鎮まれ俺の左目。
昨日は何をしても頭痛(目痛?)が収まらず、心が折れかけましたorz
Σ(゜□゜;)熱中症かもしれないと今気づきました。皆様もどうぞお気を付けくださいませ。
次回いよいよ『みずおと』第二話始まります!
どうぞ、お楽しみにー!!




