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<ウサうさネコかみ>もふけも装備のおれたちは妹たちを助けるためにVR学園闘技場で成り上がります!~ティアブラ・オンライン~  作者: 日向 るきあ
Stage_83 整備・ざ・魔王島!

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83-5 別次元! 空の民のスゴ技錬成!!

 まずは食堂へ。ソリス、ステラからいらしたみなさんにウェルカムティーをさしあげ、自己紹介をしてもらった。

 当然、はじめましての人たちはお互いに覚えきれないのは明らか。

 ということで、魔王軍エンブレム初アップデート。エンブレムにかぶさるように、名前が表示されるようにした。


「おお、これは!」

「すごーい! 名前出てる!」

「うむ、助かるのー」

「歳をとるとどうも名前が覚えられなくってなあ」

「これならまちがわないよー。ありがとうカナタさん!」


 大丈夫、まちがっている人はいないよう。そして大好評。我ながらいい仕事をした。

 しかし、思わぬ事態が発生した。

 チナツが笑いをこらえた顔で言うには。


「なんかこうしてみると、……幼稚園のおなまえワッペンみたいなっ!」

「ぶふっ!」


 何人もが噴き出す。おれは頭を抱えた。

 やらかした。素人が思い付きで手を加えちゃいけなかったのだ。

 ニノとイズミは本日、打ち合わせのためイーパラに行っている。おそるおそるコールしてお伺いを立てた。

 すると、ニノはまさかのバカウケ。画面の向こう、ひーひー笑いながらこうおっしゃった。


『それっ……それいい! すげえいい!

 ちょっそれも企画案あげてみるっ! まおうぐんお名前ワッペンー!!』

「ええええ?!」


 しまった、うっかりしごとを増やしてしまった。

 となりのイズミは致し方ないというように首を振り『素案ができたらすぐ信頼できる人間に回させる。明日にはそっち入れるようにベストを尽くすから。』とできる男なお言葉を。

 申し訳ない半分、ありがたい半分で手を合わせた。



 そんなこともあったりしたが、その後は事件もなく、オリエンテーションは無事に終わった。

 仮設寝室のロッカーに手荷物を置いたら、布団と水着とアメニティ一式がそろっているのを確認してもらう。

 しかるのち、お風呂や食堂などをざっとご案内。

 スポンサーズをエルメスさんに任せ、いよいよおれたちは、持ち場に散った。



 本日のおれとおれの持ち場は、海上警備フロート・本バージョンの作成、配備。

 一緒にやるのはレン、ご指導くださるのは空の民のひとりアークさん――そう、リンさんのお父上である。

 リンさんそっくりの赤毛に、やわらかなハシバミ色の翼、ユーモラスな丸眼鏡のお兄さん、といったかんじのそのひとは、もうひとりのおれとは既に知った間柄。気楽にごあいさつして、おれたちを紹介してくれた。

 クラフター同士の気楽さでさくっと握手して、すぐに技術指導が始まった。


「こうした、フロートはですね。原則浮きっぱなしでないとならないので、最初から空中で作るのが理想的なんです。

 そういうわけで、まずはフローティングユニットからつくっていきましょう。ひとつ、お見本を見せますね。

 まずは……」


 そしてアークさんは、空の民ならではの異次元のクラフトを披露した。

 スキル『空気固化』を使ってその場の空気を錬成台タブローとし、おなじく『空気固化』で作った魔石筆マジックチョークで陣を描いて錬成。コアとなる『浮遊石』を作り出した。


「え……」

「マジか!」

「そのはっそうはなかった――!!」


『浮遊石』の錬成そのものは、おれたちでもできる。しかし、それを空中でとは。

 ふだん錬成台タブローや紙や地面、百歩譲って壁面や木の梢なんかに陣を描いていたおれたちからすれば目からうろこだ。

 まあ一度だけ雪煙に陣を描いたりしたけれど、『まったく空気しかなかったとこに、空気を加工して描く』なんて考えたこともなかった。


「これがレベル1です。レベル2はこうなります♪」


 いや、こんなのは手始めでしかなかった。

 次は空気の錬成版を浮遊石の周りを囲う八面に展開。

 外側から裏向きに錬成陣を描いて、同時発動。

 浮遊石を浮かばせたまま、その全周を覆う制御籠を一発で作り上げた。


「いやこれレベル2かよ?!」

「レベル3はこれを曲面でやります。歪みの補正はちょびっと面倒ですが、慣れるとササッとこうなります☆」

「はあああ?!」


 次は浮き輪状の錬成版で制御籠を囲み、その外側に丸いフレームを追加。ちょっとオシャレなUFO状のものが出来上がる。


「レベル4は立体多重配置です。適宜ジェネレーター役の陣を挟んでいくと発動連鎖でエコにいけますね♪♪」

「べつじげんすぎだろおおお!!」


 おれとおれとレンは三人で叫んでいた。ちょっとまて。ちょっとまて。このひと完全に別次元じゃないか。いったいどうしてこうなった。

 アークさんは照れ笑ってこうおっしゃる。


「空の民は立体的な空間利用に長けているんです。

『天空島』ももともと、ご先祖様たちがコツコツ作った人口の浮島なんですよ。

 そのうち大きくなってきたので、外壁補修とかめんどーだからってこういうのが発達したんです♪」

「なっとくだ!」

「わかります!」

「ですよね!」


 そう、『面倒』。これはかなり重要だ。

 コツコツ一つずつ作る、これはクラフトのだいご味だ。

 しかし、それだけでは作りこなせぬものにそのうちぶち当たる。

 そこから、たのしいアレンジのみちが始まるのだ。

 共通要素を一つにまとめ、いらないものをそぎ落とし、より強力で効率的な方法や錬成陣を模索する。

 そのとき、『面倒』という感覚は、大切なセンサーとなるものなのだ。


 このところはプラチナムーンのチカラで、大体のものを力技で作っていた。

 でも、それだけじゃ、もったいないのだ。

 なんだかちょっと、初心に帰れた気持になった。

 そんなおれの胸の内を察してだろう、アークさんは優しく笑ってくれた。


「まあ、こんなかんじですが、これだけにとらわれる必要はありませんよ。

 ひらめいたら、ドンドン試してみましょう。

 合言葉は、ラクして丁寧に、そして楽しくです!」

「はい!」


 そうしておれたちは時間を忘れて、わいわいと作業をした。

 アークさんが作ったようにして、いくつかの浮遊ユニットをつくり、通信ユニットとともに連結。

 全周をコーティングし、保護材として土をかぶせて出来上がり。

 これを、操作用アプリで大きく浮上、飛行させて、配置を調整。

 間にお昼をはさみ、お茶の時間がくるころには島の裏手、ルーファスとアウレアさんと、森の民の匠で防衛線が作られている崖のそばにも、海上防衛フロートを配置することができたのであった。


 夕食の席ではそれまでの進捗を報告しあい、うまうまと島カレーを頂いてひとやすみ。

 そうしていよいよ『みずおと』第二話――おれたち魔王ズ、エルメスさんとタクマ、エルマーもゲスト出演しての、魔王島こけら落とし公演の練習が始まった。

ほんとに1000話でこけら落としになる予感。

むしろそうしたほうがいいのだろうか。


次回、視点かわってダンサーズ。ゴーちゃんがやっと目を覚まします。

どうか、お楽しみに!


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