82-1 決意は水着とともに! 準備開始の新生魔王軍!
「おー、もどってきた!」
「どうだった、そっちは?」
ログアウトすれば、白リボンの二人はもう待っていた。
ふたりとも笑顔。ミルドの街でのあいさつ回りは順調だったらしい。
「トラオが俺たちにプライベート露天風呂つくってくれるってー! 水着着なくっていーやつ!」
「マジ――?!」
キラッキラしながらイツカがまっさき言ったのは露天風呂のことだった。おい。
白イツカは歓声を上げるとのたまわる。
「っていうか水着って何?」
「おまえもか!」
どうやらそっちも『露天風呂は公開につき水着着用』を把握してなかったらしい。
とりあえずそこはこっちのイツカに任せておき、おれはもうひとりのおれと情報交換をすることにした。
「報告は三つあるよ。まず大きいやつから。
シャスタ様が島の守護神になってくれたよ。条件はシャスタ様と一緒に、島にアクアリゾートを作ること。
ただこれは海上警備施設や波力エネルギー生産施設、小規模だけど漁業施設も含むから、今後の島の防衛・運営にとっても大きなプラスになる話だ。
ルーレア様とクレイズ様にも、シャスタ様から声をかけてくれるって、……あっ来た」
ナイスタイミング。携帯用端末に通知。
ティアブラのアバターメールボックスには、『ルーレアとクレイズもOK』というタイトル見た瞬間に内容了解のメールが届いていた。
「すごいね、ティアブラ最強四女神のうち三人が協力してくれるとか!」
「エアリーさんも手伝ってくれるよ。
農場回りのこと協力してくれるって。
レオナさんたちはとりあえず女子たちのオーダーメイド水着やりながら、できるとこ手伝ってくれるって」
「うわー……なんかこの時点ですでに怖いものないね……
ってそうだ、ニノから魔王軍男子用水着のドラフトあがってるよ。おれ的にはいいと思うけどどう?」
「えー…………マジ四タイプきてるの?! いやどれもかっこいいけどさ!!」
魔王軍ネット、ニノ部のページにはもう、3Dモデルが上げられていた。
ボクサー、ショート、サーフ、競泳用の四タイプある。
色はマットな黒一色で、右腰にキラリと銀の魔王軍エンブレムが光る。シンプルでシックな逸品だ。
すでに女子数名から『女子用もないですかっ?!』とレスがついている。というか、女子用も黒にするかそれともむしろ白かで激論が始まっている。なおエンブレムは左胸で決まっている流れなのが面白い。
と、白リボンのおれが「ちょっとごめん」と断ってぽちぽち書き込みをした。
『こんにちわ、白カナタです。
おれとしてはですが、ゆくゆくおれたちはルカとルナを迎えに行きます。
そのときにはふたりにもおれたちとこれを着てもらいたいので、白と黒両方のモデルがほしいと思いました』
『りょうかいっス! 男女とも白黒両方選択可能ってことで!
でもって女子用ドラフトどぞ!
※カラーふくめたカスタムはレオたちが担当してくれるってんでそちらでオナシャスm(__)m』
そのとき秒でレスがとんできた。
そして上げられたのは、ビキニ、セパレート、ワンピースタイプの白と黒。つづいて、白の男子用。
ちなみに魔王軍エンブレムは、白バージョンだと金になる。
いける。これはおしゃれだ。
ライムだったらどれだろう。全部似合いそうだ。
これは一刻も早く、高天原を陥落しなければ!
決意とともに顔を上げると、イツカがニヤニヤとおれをつついてきた。
「で、おまえはセレネさんにどれ着てもらいたいの?」
「ニャー!!」
反撃するとやつは、真っ赤になって逃げていったのだった。
どうしてこうなった。
次回、ノゾミ先生視点です。
どうぞ、お楽しみに!




