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<ウサうさネコかみ>もふけも装備のおれたちは妹たちを助けるためにVR学園闘技場で成り上がります!~ティアブラ・オンライン~  作者: 日向 るきあ
Stage_81 魔王軍のなくなった日~新規開店は来週です~

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Bonus Track_81-7 ステラの意地と、むちゃぶりと!!~タクマの場合~

『魔王城』が爆発してからはちょっとせわしなかった。

 エルメスがセレネ様に、エルマーがソレア様に、オレがステラ様に連絡を取り、オレたちの生存を報告。小一時間後に動画を発表したのち、いったん里帰りをしたいので、と国家間転移の許可をもらった。

 その後二組のイツカナが隠し部屋に戻ってきたら、みんなで『魔王島』へ転移。

 身なりを整えて、公開動画でイツカナたちと握手して、白のイツカの『0-GX』でステラに跳んだ。


 出現場所は、人払いをしたステラマリス離宮の庭。万が一がないように、そこにいるのはスターシードの近衛兵と、スバルとロイヤルファミリーだけにしてもらってあった。

 はたして庭に下り立つと、さっそくスバルが突撃してくる。


「もう、……もう、もうっ!

 ほんとに爆発に巻き込まれてたらと思ったら生きた心地がしなかったよー!!」


 かわいいこぶしでぽかぽか殴りかかってきてからの、ぎゅー。

 ぶっちゃけ、可愛すぎる。

 オレもスバルをしっかり抱きしめて、小さな頭をポンポンした。


「ごめんな、スバル。心配かけてほんとごめん」

「ほんとだよ~……」


 ほっとしたようすでもたれかかってくるスバルは、いつものようにあったかい。

 ああ、帰ってきたのだ。

 しばし感慨にひたっていたら、シューさん――シュトラール殿下の声が聞こえてきた。


「イツカ様、カナタ様。それではどうぞ、こちらへ。

 わが子らを無事送り届けてくださったことへの感謝のひとひら、お受けください」


 そう、ステラのロイヤルファミリーは意地を見せた。

『世界の敵』に、お礼のお茶をふるまうといったのだ。

 イツカナが『愛すべき、旧国の英雄』でも、『大神意』は容赦なく憎しみを吹き込んでくる。それに屈する危険もあるからと、マリーさんはオレやスバルを宰相ごいけんばんに任じた位だ。

 というのに、それを克服して、お礼のお茶会をと誘った。

 イツカナも最初は負担をかけてしまうと遠慮していたが、最後は『そこまで言っていただけるなら』と首を縦に振り、ここにいるというわけだ。

 ステラのロイヤルファミリーたちの無茶ぶりっぷりにはいつも驚かされるが、イザとなると自分たちもそれ以上の無茶をこなしてみせる。

 ぶっちゃけ、すごいとしかいいようがない。


 シューさんとマリーさんに導かれ、白リボンのイツカナがティーテーブルへ。

 つづいて、スバルにつれられ、帰還組のエルメスとオレ。

 さいごにステラ様が満を持して現れると、全員立ち上がって一礼。

 ルイ姉とリアがお茶とお菓子をふるまってくれた。

 イツカとカナタは、マリーさんが口をつけて見せるまでもなく、何も疑うことなく『いただきます』。

 そして、おいしいと笑顔を見せてくれた。

 うん、こっちの肝の座りっぷりもまたとんでもない。

 オレはつくづく、普通の男だと思うのである。


「ではまず、ステラ様にこちらを」


 エルメスが、かわいらしいラッピングの包みを取り出す。中身は、魔王軍エンブレム。その実態は、『精神支配絶対防御』を初めとしたすごい機能がつめこまれた、お守りだ。なんとオンラインでアップグレードもできるらしい。

 ステラ様は包みを開けて、笑顔を見せた。


『まあ……!

 わたしも仲間に入れてもらっていいのね?

 助けてもらっておきながら、敵対するような真似をしてしまったのに……』


 きれいな目を潤ませるステラ様。カナタがやわらかく微笑むと、そのほっぺたはほわっと染まった。


「ステラ様は、領内での『大神意』の効果を和らげてくださっていたとお聞きしています。

 それがどれだけの負担を伴うものかも。

 それがなくても、ステラ様はおれたちの仲間、そう思ってます。

 ただ、今はまだ、『魔王の仲間』になってしまうことはできない、そのこともわかってます。

 だから今は、それのチカラだけを使ってください。

 ステラの人々が憎しみにとらわれず、安らかな心になれるよう。そして、的確な判断ができるように」


 そのあとを、イツカがニカッとわらって引き継いだ。


「そんで完全燃焼で戦って、スッキリサッパリしたならさ。

 またみんなでパーティーしようぜ!

 月萌もソリステラスもみんないっしょに。歌って踊って、飲んで食ってさ!」

『……もう。なんとお礼を言ってよいのか……。

 ステラ領にも、あなた方との戦いを、という者たちはおります。

『マザー・ステラ』には、それを止めることはできません。

 たとえばここにいる『現し身』たるわたしが、そう望んだとしても。

 どうか、戦って……そして、止めてください。

 かつてのような悲しみがこの地を包まぬように、わたしたちも力を尽くします!』


 ステラ様は軽く目元をぬぐって、切ない顔をしたけれど――

 最後には、力強く言い切った。


 しかし、さいごに特大の無茶ぶりをかましてきた。


『そのために、お願いがあるの。

 エルメス、タクマ。わたしの『祈願者インヴォーカー』になってください。

『ステラ杯』を開催するわ。ハルキ君をはじめとした仲間たちと力を合わせて勝ち抜き、わたしに講和を願ってほしいの。

 そうすればわたしは、そしてステラ領は、どうあってもそのために動き出さねばならなくなる。これからはじまる戦いを、短い期間で止めることがかなうわ』

「ちょ……ええええ?!」

ステラ杯……だって……((((;゜Д゜))))ガクガクブルブル


次回、つづきの予定!

どうぞ、お楽しみに!!

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