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<ウサうさネコかみ>もふけも装備のおれたちは妹たちを助けるためにVR学園闘技場で成り上がります!~ティアブラ・オンライン~  作者: 日向 るきあ
Stage_81 魔王軍のなくなった日~新規開店は来週です~

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Bonus Track_81-4 タカラモノ、ミツケタネ~『ユーさん』の場合~

「はあ……やっと生き返った気持ちです」

「ははは。わたしも同意見ですよ。

 我々のような、清く正しき若輩者には少々、あの場所の空気は刺激が強すぎました」


 いつものお茶をひとくちすすると、やっとハジメ君がため息をつく。

 あの『祝勝会』は、とくに彼にはひたすらしんどかったはずだ。

 彼の心は、『大真意』を克服している。それも、消し去るのでなく、その働きを圧殺せぬまま、寄り添い共存しているのだ――それは『すごい』としかいいようのないものだが、だからこそ、イツカ君とカナタ君への心配が直接に心をついばんでくる。どこからか上がる彼らへの嘲笑が心に突き刺さる。


 清くもなく、正しくもない薄情者のわたしでも、そのつらさはわからないわけではなかった。

 だから、設けておいたのだ。この、有志だけの二次会の席を。

 表向きは、若者だけの茶会きばらし。裏向きには、親魔王派の掌握。その実は、『魔王』たちの敗退で喜びの美酒を飲めぬ者たちの小さな息抜きだ。

 もっとも『魔王たちによこした武具を通じ、戦闘データを取っていた悪党』は、それなりに酒杯を重ねてこねばならなかったので、客人の出迎えはユウミとメイリン――わが右腕と最愛の妹――に頼んだ。


 ちなみに一番の心配の対象は、わたしを心配して無理に残ろうとしていたので、酔って拉致るふりをして一緒に脱出。

 なぜか彼に向けて『食われるんじゃないぞ!』なんて声をかけた奴の顔はとりあえず覚えてきた。

 

「ユーさん、ほんとうに大丈夫ですか? もししんどかったらお部屋までお送りしますから、休んでくださいね?」


 でも、当の本人はそんなこと気にもとめず、わたしの心配をしてくれる。

 その目にはひとかけらのうそも、打算もない。

 ほんとうに、貴重な、真の意味で尊い人物。

 わたしはこうはなれないけれど、この清々しさはきっと守る。

 そんな殊勝な決意をしつつも、この口から飛び出すのは軽口だ。


「なんのこれしき。というかあれ、演技ですから。

 本当に酔ったら脱ぎ始めますんで、そのときになったら止めてくださいね☆彡」

「わ、わかりました! まかせてください!!」


 あくまでマジメな彼の後ろで、彼の同志の女子二人とメイリンが『その時になったらハジメさんをすこしだけひきとめましょうっ!』『そうね、そうしましょ!』『うちの兄貴なんて大したものじゃないですよ? がっかりしないでくださいね?』なんてささやきかわしている。微笑ましいものである。


 かと思うと向こうではレイン君がライカ君にヘッドロックをかけられながら幸せそうに「いっいやみないみたりしないよわたしがすきなのはあくまでびしょうね(以下自粛)」なんて言っている。


『魔王たち』を憎からず思うものは実のところすくなくない。そのため茶房の庭は、幾多の談笑にあふれていたが、それを契機にひろがるカオス。いやはや面白い。


「ええと、……これって??」


 そのとき、新たな客人がとまどった声をかけてきた。

 わが党の重鎮の一人。となりに、一名のメイドアンドロイド――可憐な容姿だが、あれで古株のエージェントだ――を連れている。

 だが二人の間の雰囲気は柔らかく、暖かなものに変わっていた。

 まるで家族、もしくはそれ以上のように。

 微笑ましい。笑顔は自然に出てきた。


「宝物をみつけた人々の集い、ですよ。

 さっ、どうぞ。今日はともにもふもふについて語りあいましょう☆」

「えっと、あの、はい」


 まだちょっとキョドってるあるじの背中を、そばに控える彼女は、優しくたたく。

 すこし前に彼女に遭ったとき、その表情に温度はなかった――『サイレントシルバー』というコードネームが、寂しく似合うようなエージェントだった。

 けれど今では『銀ちゃん』『銀子ちゃん』と呼ばれては笑顔を返す、明るい女性になっていた。


 ここには宝物をみつけたひとびとがあふれていた。

 ずっと追いかけていた愛するひと。いちどは見失った、たいせつなひと。

 そして、命を懸けても守りたい、かけがえのないひと。


『緑の大地』のファン ィユハンは、清くもなく正しくもないが、そんなことにはこだわらない。

 だからときには『変わり者のユーさん』として、こんな席を設けたっていいのだ。

 もちろん、我が好敵手が重き荷を下ろした時にも、かならず一席を設けるつもりだ――彼が来てくれるかどうかはまた別として。


 きらきらと青い空の下、のんびりとした宴の空気を味わいながら、わたしは大きく伸びをした。

 いつの日も、風のように自由に。

 わが家名にこめられた理想を追い求め、わたしは今日も明るく笑うのである。


昨日久々にちょっとマイクラやったらえっらい船酔いしました。ボートの操作性なんとかならんの……おかげでベッドなくしました。くそう。

なお、リアルでも寝違えたらしく、首から肩にかけてめたくそ痛いです。頭も痛いorz

それでも執筆順調です。なによりそれがうれしいです。


次回、ひっっさびさの掲示板回!

フィーバーする魔王の味方たちにイベント感を強める一般の皆さんです。

どうぞ、お楽しみに!

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