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<ウサうさネコかみ>もふけも装備のおれたちは妹たちを助けるためにVR学園闘技場で成り上がります!~ティアブラ・オンライン~  作者: 日向 るきあ
Stage_80 『魔王軍』消滅? 激闘の第四陣!

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80-5 勇者一行がやってくる! ソレプロ事務室前の丁々発止!

『……で。お前たち。そこで何をしている?』

『あっ、ノゾミせんせい!』

『えーっと……クラフトのじしゅれんです☆彡』

『ほう?』

『……………………』

『……………………

 にげろ――!!』


 あれから、トビーとアッシュが『勇者一行』の行く手にこっそり壁を錬成することで、ぐるぐると回り道をさせ続けてくれていた。

 しかし、ついにノゾミお兄さんにバレ、逃げ出した。

 ノゾミお兄さんなら二人を捕まえることも斬ることもできただろう。けれど、それはしないでもらえた。ほっと胸をなでおろす。


 実はさっきまでおれの口からはタメ息がダダモレだったのだ。なにやってんのむこうのおれとイツカ。

 いや、エルマーの無邪気なかわいさにはおれもぐらっときたし、あの居合勝負の負荷がすさまじいものであることは、いまここにいるおれだってわかるんだけど。


 それはおいとき画面の向こうでは、刻々と事態が動いていた。

 壁トラップゾーンを脱した『勇者一行』はいま、ソレイユ・プロダクションエリアまえでムネツグ&オウマの警備員コンビと対峙していた。


『このさきはソレイユ・プロダクションの事務室があります。お入りはご遠慮願えませんか』

『恩師相手に悪いが、仕事なんでな』


 あくまで腰の低いムネツグと対照的に、恩師や異国の皇女のいるパーティー相手と思えないほど不敵なオウマ。

 対するのはユキテル、ケイジだ。


『あーうん。おれたちも今回、しごとでさ?』

『この先にイツカとカナタがいないというなら、そう言ってくれ。そうでないならすまないが、押しとおる』


 すると、ムネツグたちの後ろに背の高い女性がすっと出てきた。

 柔らかなベージュのスーツをまとった、アイラさんだ。

 彼女は丁寧に一礼すると、花咲く笑顔と大先輩ならではのオーラを全開にお断りを申し上げた。


『初めまして。わたくしはソレイユ・プロダクション星降町支部代表、アイラ・ストゥルルソン・ツキヨノと申します。

 お二人は、プロダクション所属のアイドルです。お引き渡しは致しかねますわ。

 それはたとえ、名高い先輩『青嵐公』、そして皇女エルメス殿下の仰せでも』


 こうなるとケイジ、ユキテルでは分が悪い。ノゾミお兄さんが前に出た。

 こちらも一礼すると、即座に先輩としてタメ語に切り替える。


『初めましてツキヨノ代表。高天原学園教諭ノゾミ・アリサカと申します。

 ……っで。堅苦しいのは苦手なんでここからはタメで行かせてもらう。

 引き渡せ、とはいっていない。会いに行くだけだ。

 俺はふたりの『兄貴』だ。そしてこいつらは全員俺の舎弟。わかったら通してくれ、『マーナガルム』』

『平和的なご用件とあらば、どうぞ武装の解除を。

 もしも武をもって当たるおつもりならば、われらマネージャーが全力でお相手をいたします』

『応じよう』


 対してアイラさんは慇懃に毅然とすっぱりと、武装解除を要求する。

 エルメスさんが手を上げた。


『危急の暁故、簡潔に語らせていただく。

 このさきには、わが義姉上もいらっしゃるはず。ならば、武器は必要ない。

 そうですね、白き狼よ』


 なんという豪胆な。たしかにナナさん――正確には『未来の』義姉だが――とエルメスさんの仲は良好だが。


『我らは皆ひと。ひとには言の葉がある。

 貴殿の守る王が真のひとの王ならば、我々はそれのみをもって明日を決することができるはず。

 なれど王のもとへの道中、危険が皆無とは言い切れぬはず(ちょうどこの時ドーンと轟音が鳴った)。身を守る鎧を帯びることはどうぞお許し願いたい』


 堂々たる言いっぷり。これは、おれたちが言わざるを得ないだろう。

 携帯用端末ポタプレのマイクをオン。すぐそばのスピーカーに回線をつなぎ、落ち着いてゆっくりと、話し始めた。


「さすがは皇女の座におわす方。その胆力、敬服いたします。

 かように強く、気高き客人に対しては、こちらもそのようにお迎えをしなければなりませんね。

 どうぞ遠慮なくお入りを、殿下、そしてハルキ殿。

 もちろんハルオミ殿も、いらしてナナさんに会ってあげてください。

 ただ、この室内にはいま我ら二人だけ。安全と言いきることはできません。

 身を守る武器は、どうぞお持ちを。我らもそのようにさせていただいておりますので」


 アイラさんの求めた武装解除。これは、断らせる前提でのものだった。

 これにハイと応じられてしまうのは、正直なところまずいのだ。なぜってこちらも同じことを要求されることとなる。そこへ未必の故意を有した奴らがなだれ込んでくれば、そのままアウト。

 よって『武器は持ったままでいい』と軌道修正した。


 だが、こっちも二人しかいないのだから、そっちも『殿下、そしてハルキ殿』だけでお入りください。『強く、気高き客人に対しては、こちらもそのようにお迎えをいたします』。


 うさプリスマイルでやんわりきっぱり、そう伝えた。


 もしもこれでゴネたりすれば、むしろ皇女に恥をかかせることになる。

『青嵐公』がそれはしないだろうけれど、どう出てくるか。

 青のキュウビは、慌てる様子もなく眼鏡をなおし、静かにこう返してきた。


『今の俺たちは世界のため、武をもって当たるもやむなしとして、ここにいる。

 お前たちがよりよき結末のために殿下と交渉するというならば、もちろん待とう。

 だが決裂の暁には、作戦は再開される。

 それがいつになるのか、どのようなカタチとなるのかは、お前たちの気高さが決めることになるだろう。くれぐれも、無礼のないように』

「肝に銘じます。先生」


 ちょっときくと挑戦的な物言いだが、これはノゾミお兄さんからのアドバイスだった。

 つまりやりようによっては、おれたちは先生たちと戦わず、エルメスさんたちと逃げおおせることも可能だということだ。

 逆に交渉の過程でうるさがたの琴線にかかるようなことがあれば、即座にここに突入があるだろう、気を付けてこなせと。


 ソーヤが投げた『あれ』のおかげで、月萌軍後続陸戦部隊はボロボロだし、なんなら途中の地面もめちゃくちゃだ。

 くるとしたら、航空隊。

 そして、大深度地下にひそむ別動隊だ。


 一番考えられるのが、地下別動隊が乱入してきてエルメスさんを始末。『おれたちがだまし討ちにした』と濡れ衣を着せたら、弔い合戦と称した航空隊がこの基地を跡形もなくブッこわし、おれたちの息の根を止める、という作戦だ。

 

 そのあとがどうなるのかは交渉次第。

 月萌とソリステラスでの泥沼の全面戦争。もしくは、『卑劣な魔王軍の残党を手を取り合って根絶しよう』とのたまって、邪魔者を抹殺していく偽りの平和社会。

 いずれにせよ、全力で却下だ。


 そのためにこれからおれたちがすることは、エルメスさんとハルキ君を丁重にここに迎えること。

 そして、突入部隊がやってくるまでしばし待つこと。

 もしも、来ないならよし。来たなら、これ見よがしについている警備カメラを適当に壊させ、馬脚を現してから、倒させてもらう。

 大丈夫。ここの様子は、有能なハッカーにより全世界に公開される手筈となっている。



 外の戦いは最終局面に入ろうとしていた。

『ゴーちゃん』がなぞの無双状態のあとドーンと倒れたことで、基地の外壁に特大の穴が開いた。

 それをにらみつつ、月萌後続陸戦隊が編成を整えなおす。

 アスカとハヤトがそちらに向け退く。

 二人と戦っていたアオバとミクさん、ターラさんも撤退。フユキとコトハさんの支援を受けつつ、壁の穴からなかへ。

 なお穴はかけつけたトビーとアッシュがふさいだものの、あくまで応急手当。防御結界を抜かれれば、すぐにまた穴が開けられてしまうことだろうが、いまはこれでいい。


『ゴーちゃん』と戦っていたスゥさん、ソラ、ミツルも撤退。矢面に立っていたスゥさんはダメージが大きく送還となり、飛べる二人は屋上から、シャシャさんの支援で基地内へ。

 

『アーク』着艦妨害の任務を終えたルゥさんは、はるか上空で旋回している。航空隊がインしてくるのを警戒しているのだ。

 ひたすら基地上でにらみを利かせていたシャシャさんも、のそりと動き出す。

 そして白リボンの俺たちが、再びフィールドに立った。

今回なぜか書いても書いてもなかなか終わりませんでした。ほわい。


次回、不気味なつぶやき……の予定です!!

どうぞ、お楽しみに!!

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