79-4 総仕上げ! 卒シビ・レッスン・第四覚醒?
そろそろ、トラオから連絡があるころか。
かるく、目を閉じて意識をこらせば、ナイスタイミング。たったいま申請があげられた。
『トーラス』――トラオ・サリイさんバディからの外泊届け。
ふたりの参加が必須の予定がないのを確認し、OKを出した。
月曜日、トラオとサリイさん、ナナさんとユキさん、クレハとチナツが相談してきた。
これから土曜まで、その日によって帰ったり帰らなかったりになるが、いいだろうか。
高天原でしか買えない、いろいろなものを仕入れておきたい。学園にいる仲間たちにできる限りのことをしてきてやりたい。もちろん、それを通じて自分たちも鍛えてくるからと。
今のおれたちには、気になっていてもできないことだ。ありがたく『お願いします』を言ったのだった。
この週末から、週明けにかけては、いろいろな意味で正念場だ。
まず、金曜には卒シビ――トラオたち有志による『みずおと』第二話予告編先行公開がある。
その準備のため、仲間たちの一部は学園に通っている。
放課後みんなで練習し、その後、帰れる者たちが帰ってくる。
あわただしい毎日にもかかわらず、笑顔を絶やず手も抜かぬ姿に、頭が下がる。
頭が下がるといえば、芸能部のマネージャーたち。
日曜の『マルチサイト歌合戦』に向け、たった四人で調整に走り回ってくれていた。
もちろんその間も、レッスンにつきそい、プレス取材や公開動画についても監修し。
『魔王軍』で一番忙しいのは、確実にこのひとたちだと確信持って言えるレベルだ。
それでも、白リボンのおれたちが『手伝う』といったのを、アイラさんは笑ってお断りしたという。
『大丈夫よ。ユッカとレナが頼れるし、土曜日からはニノ君たちも加わってくれるし。
いまはしっかりレッスンして、体調を整えて、日曜にサイコーのステージを見せてちょうだい。
そうすれば、全部報われる。
その瞬間のためにいま、頑張っているんだからね?』
それを伝え聞いて、おれたちもいっそう気合が入った。
おかげで、調子は上々。星降町のイシマル先生たちも太鼓判の仕上がりだ。
日曜は、きっといける。あとは、この調子を維持するだけだ。
とはいえ、さらに先もある。
『歌合戦』を終えたら、翌日はもう戦いが待っている。
それにむけての仕上げは、まだ満足できる水準でなかった。
第四陣でどれだけおれたちが頑張れるかが、その後にかかってくるのだ。
プロ建築クラフターのトビーとアッシュは『気にしなさんなって! この規模の基地だったら三回くらい建て直せるだけの準備はしてあるぜ!』なんて、もはや拝まずにいられないことを言ってくれたが、だからこそ、おれたちもそれにこたえたい。
できれば、第四覚醒を。おれたちはこつこつと、魔王軍のみんなや、イワオさんとの対戦を重ねつづけていた。
おかげでイツカは、闘気のリボンの操作をすっかりマスターした。
「ストラーダなあ……ストラーダ……う――ん……なんっかがたりない……」
「だよなー……」
だが、それでもその顔はまだすっきりしない。
さっきはイツカ同士で『0-G*』を連発して斬りあったりもしていたが、それでもまだ納得はいかないらしい。
かくいうおれも、ブレイクスルーがみえてこない状態だったりする。
おれとおれ二人でうなっていると、イツカどもがサラッと言ってきた。
「もうさ、ゴーちゃんアーマーでいーんじゃね?」
「そーそ! アレカッコよかったし!」
「………………」
おれと白リボンのおれは顔を見合わせた。
「言われてみれば、たしかにあれだけおかしいかも」
「おかしいよ。
音の幻想植物を編み合わせて超音波アーマーにするってのはまあ、わかんないでもない。
でも、ゴーちゃんのかけらに植物要素ってある?」
「だよ、ね……」
そう、あれはアダマンタイトだ。大地の産物としての属性はあるけれど、植物でも幻想植物でもない。
「もう一度、やってみよう!」
ふたりのおれたちは一斉に駆け出した。
キャラメルコーンうまうま。
次回、天使談義と気になることの予定です。
どうぞ、お楽しみに!




