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<ウサうさネコかみ>もふけも装備のおれたちは妹たちを助けるためにVR学園闘技場で成り上がります!~ティアブラ・オンライン~  作者: 日向 るきあ
Stage_78 『魔王軍』最後の一週間? 第四陣に向けて!!

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Bonus Track_78-3 ありがとう、のはずだけど!~ハナナの場合~

『おねーちゃん』としていっしょに遊ぶだけならともかく、『せんせい』として子供たちの相手をするには、それなりの責任と負担が伴う。

 だから新米アルバイトであるわたしたちの勤務はまだ、半日単位。

 もちろんその日学んだことの復習や、身の回りのいろいろをすればほとんどの時間はつぶれる。

 けれど、頑張ればゆけるのだ――日の入り前、放課後のお茶会くらいには。


 今日の午後わたしたちは、恩人で同窓生で、よき友人でもある男の子たちとの、お茶会にゆく。

 けれどそれを、みんなに言いふらしたりなんかはしない。

 そのはずなんだけど……


「いってらっしゃーい!」

「ふぁいとぉー☆」

「ばんばえー!!」


 退勤時にはみんなニッコニコ。いつにもましていい笑顔で、そろってお見送りされていた。

 子供たちや先輩せんせいたち、さらには園のご近所さん方にまで。


「いいっ、遠慮なんかしちゃダメよ! なにをさしおいてでも、一番いい子を選ぶのよ!」

「だからちがうんですってばあああ!!」


 グッ! とこぶしを握って念押ししてくる園長先生にツッコミを返し、わたしとルイは『高天原町立第二幼稚園』の門をそそくさとくぐったのだった。




 ことのはじまりは、二週間前にさかのぼる。

 学園軍第一陣に加わり、『奇跡的に生還』したわたしたちは、本来予定になかった第二陣への参加を命じられた。

 わたしたちの覚醒技『セント・フローラ・アーク』の防御力を見込まれたためだ。

 それは名誉なことかもしれないけれど、わたしたちにとってはショックなことだった。


 わたしたちには、夢があった。

 わたしたちを育ててくれた地元の幼稚園で、今度はわたしたちが子供たちを守り、育てることだ。

 そのための第一歩をくじかれた。

 悪いことに、いつまでそうして動員され続けるかもわからなかった。

 せっかく、幼稚園でのアルバイトも決まったというのに。カレッジの受験勉強も、始めたばかりだったのに。

 落ち込んだ。前途を悲観さえした。


 けれど、みんなが助けてくれた。


 幼いころからの付き合いである、オフィリアとマルヤムは一緒に出陣してくれた。

 マルヤムの恋人のケイジ君と、そのバディのユキテル君も。

 お見舞いに来てくれたツヤマさんをはじめ、軍の人たちも何かと気遣ってくれた。


 何よりすごかったのが、高天原の後輩――『騎士団創始者カルテット』と呼ばれる四人。

 わたしたち本人がむりに戦場に行かなくてもよくなるようにと、彼らの発明で『セント・フローラ・アーク』を再現してくれたのだ。


 戦い終えてから知ったのだけれど、イツカ君とカナタ君も、わたしたちを救うためにと、危険をおかしての突撃をしてくれた。

 アスカ君もこの件では二人に協力して、わたしたちをたすけてくれた。


 わたしたちは、しあわせものだね。いっぱい、愛をもらっているよね。

 ぜったい、そのご恩返しをしたいよね。

 そう何度も、ルイと話した。


 だから、OKしたのだ。アスカ君からのお願いに。



 そうして昨日、第三陣。

 遅番だったわたしたちは、ライブで中継を見ていた。

 わたしたちの目は、いつしか『カルテット』に吸い寄せられていた。


 まるでキュウビのしっぽのように、たくさんの装置をつなげ、『術者』としてがんばるシロウ君。

 シロウ君の様子をつねに見て、こまやかな調整を続けるコウ君。

 戦況全体を見て、カルテットの司令塔をはたすタマキ君。

 そして三人をがっちりガードするダイト君。

 みんなみんな輝いて見えた。


 だからコウくんのあげた叫びに、わたしたちは思わずがんばれ! の祈りを送っていた。

 アスカ君からもらった、かわいいミサンガに手を触れて。

 すると、消えかけていた『アーク』に輝きが、コウ君たちの顔に元気がもどった。


 わたしたちの祈りが届いたんだ! と思えばうれしかった。

 けれどもちろん、現実は違うだろう。

 きっとあれは、アスカ君が向こうの装置につけたバックアップ機能が働いたんだよね。

 ルイとふたり、出勤前のランチタイム。そんな風にしゃべっていたら、携帯用端末ポタプレにアスカ君からの連絡があった。


『おっまたせ~。

 カルテット、明日放課後がいいってさ。

 今日のお礼があるから、期待してちょってさー!』

「え……お礼?」

「お礼って待って、これあたしたちがカルテットにお礼のお茶をって話だったよね?」

『ふたりさ、応援してくれたじゃん。がんばれーって。そのキモチ、ばっちり届いてたんだよ。

 ほら中盤ピカーなったじゃん? あれがもうめっちゃうれしかったって、四人ともすんごい感激してるんだな~。

 だからお礼いわれたげて!』

「ええっ、ほんと?」

「えー……そんなんいわれたらうれしくなっちゃうー」

『ほんじゃあした放課後『スイシャン』ね! おれの名前で予約とってあるから損くらいの時間にね!』

「りょーかい! ありがとアスカ君」

『どったま~♪』



 そんなわけでわたしとルイは、全速力でうちへと走った。

 時間にはまだ余裕があるのだけれど。

 今日のために選んだおしゃれ着とバッグ、そして、アスカ君のくれたふしぎなミサンガを身に着けて……

 かるくメイクして、髪をセットしなおしても、余裕でカルテットより先に『スイーツ・シャングリラ』に入れるだろう。

 

 よし。がんばろう。

 わたしとルイは気合を入れあうと、右と左へ分かれたのだった。


若いっていいよね!

そういうお前は何歳だといわれれば、永遠の十六歳ですと答えるのです( ー`дー´)キリッ

なお、精神年齢は六十歳って言われます。


次回、ストーリー進行の都合ですっかりすっとばされていた、イツカナ週末ライブについてです。

ちゃんとやってたんです、ほんとです(必死)

どうぞ、お楽しみに!!

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