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<ウサうさネコかみ>もふけも装備のおれたちは妹たちを助けるためにVR学園闘技場で成り上がります!~ティアブラ・オンライン~  作者: 日向 るきあ
Stage_78 『魔王軍』最後の一週間? 第四陣に向けて!!

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78-3 月萌国議会の『突撃わんこ』! イワさん、『魔王城』に突撃する!

サブタイ間違えとりました……

Bonus Track_を削除いたしました。申し訳ございません!!

「たのもー!」


 その声が聞こえてきた瞬間、おれとイツカは立ち上がった。

 聞き覚えのある、ありすぎる声。

 来ると思った。予想より早い。

 はたして『魔王城』の前に立っていたのは、白基調の和装に黒の柴犬装備もりりしい、イワさんことイワオ・ゴジョウ国会議員。

 おれたちの先達にして友人。そして、孫娘のサクラさんをだれより愛するおじいちゃんだった。



 イワオさんは敵意を見せることなく、大きく広げた両手を笑顔で振っていた。

 だからおれたちも、友好的にお出迎えする。

 迎賓館の応接に丁重にお通しして、お茶とお菓子を差し上げる。

 もちろんサクラさん、リンカさんは同席だ。

 よい香りの日本茶をすすって、開口一番は……


「あたしは帰らないわよ、おじいちゃん」


 サクラさんの先制攻撃だった。



「あたしはイツカとカナタをほっとけない。だってそうでしょ、いきなり『世界の敵』なんて言って着の身着のまま追い出されて。あたしたち学生だけならまだしも、現役の軍人まで何人もきて。

 それも悪いことしたからじゃない、戦争なくしてみんなを守ろうとしたのが気に食わないってそんな理由で。

 女神の意志だか何だかしらないけど、そんなので友達狙わせるような高天原にはあたし帰らない。ぜったいぜったい、ぜったいだから!」


 すぱすぱズバズバ言い切るサクラさん。歯に衣着せぬとはこのことだ。

 だがそこはおじいちゃん、イワさんはあくまで穏やかに説得に入る。


「それはおじいちゃんも、もろ手を挙げて賛成はできない。けれど、そうしなければならない理由はあるんだ。

 サクラももう、知っているだろう。

 もしも『アースガルド』が滅びれば、この世界もまた滅びてしまう。

 そのためには、この世界に集まった魂をすこしでもはやく育て、『アースガルド』に転生させなければならない」

「そのためにみんなでイツカとカナタをいじめるの? そんなのおかしい、ぜったいおかしい。

 高天原だって、あたしたちが捕虜ってカタチでふたりの味方になるの容認してる。

 なのになんであたしだけ帰んなきゃいけないの?」

「もちろんリンカ君にも一緒に戻ってもらいたい。そのために今日はきたんだ。

 ……心配なんだ。お父さんもお母さんも、……おばあちゃんも」


 イワさんはつねに肌身離さぬ雪白の手甲を、いつくしむように優しく撫でる。

 その名を『残雪』。今は亡きイワさんの奥様――ユキナさんが遺した、一品物のインテリジェントアームだ。


 サクラさんはうーんとうなって、こんなことを言い出した。


「しかたないわね~……そうだ!

 イツにゃん、カナぴょん。おじいちゃんも捕虜にしてあげて!

 そうすればここで一緒にいられて、心配もなくなるでしょ?」

「その手があったか!」


 満面の笑顔で目を輝かせるイワさん。腰の後ろで黒いしっぽがパタパタしてる。いやちょっと待って。


「まってふたりとも。現役国会議員を捕虜にって、それは」

「敵対はもうとっくにされてるでしょ? っていうか、来週で決戦なつもり満々なんだし!

 サイアク考えてレインちゃんとかに引き継ぎもしてんでしょ。だったらもうここにいればいいじゃない。来週あたしたちが、完膚なきまでに勝ったげるから!!」


 勇ましすぎるサクラさんに軌道修正をかけるのは、リンカさんだ。


「悪くないアイデアだけれど、ちょっと待って、サクラ。

 かりに、イワオさんがサクラを無理やり連れ帰ろうとしたという理由で捕虜にしたとするわ。そうなると、心配するおじいちゃんに、イツカくんとカナタくんが意地悪をしたかのように見られてしまって、よくないと思うの。

 ここは、もうすこしちがった名目のほうがいいわ。たとえば――『人道監視団』。

『魔王軍』が人道に反する行いをしていないことを証明してもらうの。

 イワオさんは相手を陥れるための嘘をつくことなどない、清廉な政治家として知られているわ。

 そのイワオさんのお墨付きをもらえれば、イツカくんとカナタくんのこれからも盤石となる……いかがかしら?」

「なるほど、考えたなリンカ君。さすがはクルーガー家のご令嬢というべきか。

 確かにそのほうがずっといいとワシも思う」

「さっすがお姉さま! あたしもさんせー!」

「俺もいいと思うぜ!」

「そうですね、おれも賛成です。

 あ、もちろん第四陣のさいには退避していてください。そのときには……」

「おお、戦えない者たちはワシが連れていき、責任もって保護するとも!」

「きまりですね!」


 かくしておれたちは握手を交わし、『魔王城』にはイワさんが入りびたることになったのだった。

 同日中に、助手としてライカ分体が『やってきた』。

 本当のことを言えば、とっくにライカ分体はいっぱいいて、カメラに映らないような形でうろうろしまくっていたのだが、これでなんの小細工も気兼ねもなしにいてもらえることになり、ありがたいことこの上ないというわけである。


 ありがたいといえば、イワオさん。

 時間の許すときに、イツカたちの相手をしてくれたのだ。


「なーに、これはあくまでワシの腕を磨くためだ! お前たちを鍛えてるんじゃないぞー! さーどんどんかかってこい!」


 なんて言いつつ、陽気に楽し気に。


 対月萌軍、第四陣。一週間後に迫ったそれでは、月萌軍は全力で来る。

 留学の仕上げとして加わるソリステラスの三人――エルメスさん、タクマ、エルマーを加えても、恥ずかしくないように。国際親善をになう三人に、確実に勝ちを飾ってもらうために。


 それに対峙するため。全員生きて、先に進むためには、おれたちも仕上げていかなきゃならない。

 イツカたち、ハンターは鍛え。おれたち、クラフターは創り。

 プリーストたちは、守りを整える。


 緊張感をはらんで、『最後の』一週間が始まった。


一行まとめ:イワさん「来ちゃった☆」

……何かが違う。


次回、月萌側の陰謀?

どうぞ、お楽しみに!


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