Bonus Track_78-1-7 『湖の乙女と七つの魔神』第一話『湖の乙女と暴食の魔神』第四幕『燃えるほこらとみっつの魔神』(4)
観劇部分、これでラストです!
お疲れ様でございました――!!
続いて滑り込んでくるのは、ミクさんモモカさんのバディだ。
『おっ待たせー!!』
『それじゃあ早速の~、『もももももももももんがー!!』』
『え。何それって何コレぇぇ!!』
モモカさんの第一覚醒が発動。飛び交う大量の光のモモンガ。バニー、いい演技だ。初見の人は大体ああなる。おれもなった。イツカのやつは大はしゃぎで追っかけまわってたけど。
『分身できるのが自分だけと、思ったら大間違いってコトよ!
見せてあげる!『オコジョの群舞』!!』
ミクさんも不敵に笑って発動だ。
始まったのは、オコジョ装備の専用技『オコジョの剣舞』。
まるでミクさんが何人もいるかのような、激しい暴れぶりでの猛攻に驚くバニーだが、やがてふんと鼻を鳴らした。
『なによ。こんなのただの残像じゃない』
『本当に、そう思う?』
『何ですって……っ?!』
ただの残像のはずの、ミクさんの剣に、ドレスの袖を浅く切り裂かれ、バニーは息をのんだ。
そう、これがミクさんの覚醒技。分身技だ。
究極まで磨きあげれば一人での面制圧が可能となる、トンデモである。
ただ、今のところ、出せる分身は5体まで。できるのは、単純なバトルアクションだけ。
それでもミクさんはハッタリをかました。
『取りあえずは5人くらいでやめとくか。
さー、そこの四人もきりきり働く!』
『もうはたらいてますううう!!』
ソーヤたち四人組、シオンを支援役にすえて抗戦中。
一方で、レイジVSフユキ&ルーファスもいまだ勢い衰えず。
安全地帯に陣取ったアウレアさんから、見事なアイテム投げでの支援が飛ぶ。
しかし、アイテム投げには弱点がある。いずれアイテムが尽きるということだ。
『ル――!! 猫ちゃ――ん!! そろそろアイテムなくなる――!!
いちど錬成するから――!!』
『マジかー頼む――!!』
ルーファスはまじかああというが、ちょっと笑ってるようにも見える。
一方、ふたりの魔神は顔を見合わせる。フユキは『おい、大丈夫なのか?!』レイジは『ここでポーション錬成だ? どんだけ気が長ぇんだよ?!』と疑問を呈すが。
『まー見とけ見とけ、すげーから!』
ルーファスの勧めに、剣を合わせたままそっちを見てみる。
そこで始まったのが、アウレアさんの覚醒技だ。
『はいはーいみなさんお立合いー。
いまからこのわたくしアウレアが、世にも不思議なマジックをご覧に入れましょう。種も仕掛けもありますことをお許しくださいませー!
それでは3、2、1、ドン!『ゴールデンベアのハニーポット』――!』
アウレアさんの前に、金色にかがやく大釜、抱えるほどの大きさのものが現れる。
『ここに手を入れますと、あらふしぎー!
とろりとおいしい強化回復のハニーポーションが錬成されちゃいましたー!
ただしお味はハチミツ味一種類だけとなっておりまーす!! そーれっ!!』
そうしてアウレアさんがとりだしたのは、濃密な金色をたたえたボトル。
アウレアさんが景気よく投げまくり始めると、その場はこれまでと違った盛り上がりを帯び始めた。
『わあ、いいにおい~!』
『あまーいにおいがするー!!』
そう、あれが発動すると、あたりにほんのり甘い香りが満ちるのだ。
ただし、激しく動揺した者もいた。バニーだ。
『え、ちょ、ちょっといやああ! ドレスがベタベタになる――!!』
正確には、無数に増えたバニーたちのひとり。隅っこのほうにいるやつだけが扇子を傘代わりに『いやあああ』。
するとソーヤが『はいさシオさん!』かまくら型のもふもふバリアをドンと出現。
ついでシオンが『りょーかい、ソーやん!』その表面に『メギドフレア』の錬成陣をサクッと出現、超高出力の極太レーザーをドンとぶっぱなす。
直撃をもらった本体バニーが『おぼえてらっしゃいいいい!!』とコミカルに吹っ飛ばされていけば、無数の分身たちも掻き消える。
『いやそんなでいいの覚醒技の扱い――?!』
バニーと戦っていたみんなはポカーン。
そんななか、おれたちのきもちを代表するかのようにニノがメタ発言。イズミにうさみみパンチをいただいた。なぜかここでも『かわってくれええ!!』という声 (太)が飛んだ。解せない。
一方でレイジはでっかくため息をついた。
『あーあー。やってらんねえわー。
情報は半分ガセで、お嬢ちゃんは無実。情報提供者はとっとと高飛びとくらぁ。
俺も帰るかー。『暴食』の野郎をブッ倒してなァ!!』
そうして一声吼えると、その全身が紅蓮の炎に包まれた。
『手出ししてくんなよ人間ども。その程度のなまくら武器、レイジモードの俺様に当たったら一発でぶっ壊れっからな?
まあ、そのまえにこの炎でこんがりローストだろうがなあ!』
高笑いのレイジ。彼を包む炎は、背後で燃えるほこらの炎を吸収し、ますます大きく燃え盛る。
その焦熱は、戦場に広がり、そこにいる者たちをあぶり始めたようだ。
『うわ、あっつぅ!』
『だめだわ、退避しましょう!
いまこのまま戦い続けるのは無理です。
せめて村で、アイテム補充をしてこなければ……!』
王女や騎士隊はもちろん、ともに戦った仲間たちはほぼ全員が疲労困憊。
応急手当のヒーリングを施していたリンカさんが叫ぶ。
『わたし、……わたしは、……』
けれど、コトハさんは動けない。
むしろ、一歩を踏み出した。
震える足で。勇気を総動員して。
『もうやめてっ、レイジさん! なんで、なんで戦うの?!
わたしが、……わたしが斬られれば、それで止まってくれますか?!
わたし、悪い子ですから! ちいさな猫ちゃんに戦わせて、自分は何にもできない、悪い子ですからっ!!』
『おーそうかそうか。
ならばこいつを下してから、ゆっくりとお仕置きしてやろうな?
あんた、なかなか美人だし。楽しい時間になりそうだ』
にやりと悪い笑いを見せるレイジに、フユキはブチ切れ状態だ。
怒りの剣さばきで押していくが、決定打がきまらない。
その動きには、すでにはっきりと疲労が見えている。
コトハさんがその場に膝をついた。
『かみさま、……かみさま。お願い、猫ちゃんをたすけてください……
わたしのために怒ってくれました。守ろうと戦ってくれました。
とっても、とってもいい子なんです。おねがいですから、たすけてください……!!』
そうしてささげる必死の祈りに、天がこたえた。
発動、『スイート・ミルキィ・レイン』。
『暑さが和らいだぞ!』
『力が戻ってくる!』
『よし、これなら!』
フユキもほっと息をつく。
一度距離をとったルーファスが、再び剣を構えなおす。
イズミが声を上げる。
『みんな聞け!
一秒……いや、三秒だけ、おれのチカラであいつの動きを止める。
やれる奴は、その間に決めろ。
これをやったら、おれはもう動けなくなる。
だからいいか、チャンスは一度だけだ!』
この熱い展開に、まっさきに当のレイジがのった。
『面白れぇ! やってみろ!!
できなきゃお前ら全員俺のモンだァ!!
めっちゃこき使ってやっからカクゴすんだなァ!!』
響く高笑いのなか、まずはルーファスがパワーチャージ開始。
愛用のバスターソードの刀身が、みるみる黄金の輝きに満ちる。
『じょーだん! 来い、『天狼招雷』っ!!
はああああっ!!』
掲げた剣の切っ先に、天から降り注ぐ落雷!
長大ないかずちの刃を振りかぶり、ルーファスは走り出す!!
『よしゃ、たまには俺がいってくっかなっと』
ニノはあくまで軽い雰囲気で剣をおさめる。
ふらり、しっぽをふりながら、狐走りでレイジに向かう。
オレンジのしっぽにやどる明るい輝きがニノを包むと、ニノが一条の光になった。
『俺はすべてをすりぬけるっ! 『フリーフォックスフライング』!』
という声だけをあとに残して。
そうしてイズミが高く手を掲げれば、レイジの動きが止まる。
一秒め。いかずちの剣が炎の結界ごとレイジを直撃。
二秒め。光となったニノが炎の結界のなかへ。レイジのわきばらにぶちかましをかけて、そのまま駆け抜ける――もちろんニノはまったくの無傷だ。
そして三秒目。
『決める!!『すべて、愛する者のために』!!』
いっそうのブーストをかけたフユキの剣が、見事にトドメ。
かくして憤怒の魔神・レイジは討ち取られたのだった。
思ったより長かった!! でもなんとかおわったあああ!!
今回卒シビ者、全員覚醒技だしましたよおおお( ;∀;)
……あ、万一抜けてましたらそっと教えてやってくださいませ。
卒業エキシビでなければ、バニーの登場(王女サクラたちの無実判明)シーンは第二話となる予定でしたがこうなりました。
次回、カナタ視点に戻って、大団円に触れてランチ上映会シメ。の予定です。
どうぞ、お楽しみに!




