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<ウサうさネコかみ>もふけも装備のおれたちは妹たちを助けるためにVR学園闘技場で成り上がります!~ティアブラ・オンライン~  作者: 日向 るきあ
Stage_77 新たな仲間と新たな敵と? VS『ダンサーズ』な第三陣!

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Extra Stage 梅の迷路の、うさぎ姫――『デート』だなんて、いえなくて~ソナタの場合~

・本編は次の部分で続いてます! だいじょうぶです!

・……ごめんなさい、またしても予告ミスりました。わかっていたのにorz

・というわけでここは本編とゆるーく関係のある900話記念エクストラです!

・ゆるゆるあまあま、砂糖吐き警報発令中でございます!

『ティアブラ』のなかにも、梅の名所があるんだって。

 時間が取れたら、そこに梅見に行きたいね。

 みんなが話しているのを聞いたわたしは、さっそく下見に行くことにしました。


 これまでは、そういうことはできませんでした。

 なぜって、わたしたちはハートチャイルド。

 心臓がわるくて、長い時間のプレーはできなかったから。

 だから、こういうことは、他のみんなにお願いするしかなかったのです。


 でも、いまはもう、そんなことはないのです。

 だれよりやさしくて、がんばりやのお兄ちゃんたちのおかげで、わたしたちはすっかり元気になりました。

 今までよりもっとずっと自由に、行きたいところに行けるのです。

 それはリアルでも、『ティアブラ』のなかでも。


 だから、パーティーのみんなを誘ったんだけれど……


「あちゃー、ちょっと兄貴と討伐いくから」

「あたしもおねーちゃんと採取があって!」

「ごめんなさい、わたし、お姉ちゃんと修行の約束が……」


 シュナちゃんにも、ヒトミちゃんにも、コユキちゃんにもごめんねされてしまいました。

 うん、それはそうなるか。

 やっと、きょうだいいっしょに心おきなく、プレーできるようになったんだものね。

 納得しつつもちょっとだけしょんぼりしていたら、ミライお兄ちゃんが声をかけてくれました。


「あ、あの! あのね!

 おれ、ティアブラに梅の名所があるってきいて、……

 下見に行こうかとおもってたんだけど! イツカもカナタも、用事あるからって!!

 ソナタちゃん、おれとでよければ……いっしょに行ってくれる?」


 ミライお兄ちゃんナイスタイミングです!

 わたしはうんっとお返事をして、翌日ふたりで、梅の名所に行くことになりました。

 ミライお兄ちゃんがお茶とお弁当がかり。わたしは、お菓子がかりです。

 それぞれで、一日かけて用意をして、翌朝。

 わたしたちはバスケットを手にして、調べておいた馬車のりばで待ちあわせました。

 梅の名所は、この馬車の終点です。お昼前にはつけるでしょう。

 たのしみだねと言いあいながら、ふたりで乗り合い馬車に乗りました。



 今日はとってもいい天気です。日ざしがあったかくて、風もやさしくて、今日が梅見でもいいくらい。

 なのに、馬車はすいてて、ほとんどガラガラ。

 大きな荷物を持ったおばあちゃんが下りて行ったあとは、ミライお兄ちゃんとわたしのふたりきりになってしまいました。

 なんでかな。ふしぎに緊張しちゃいます。

 ミライお兄ちゃんといると楽しいんだけど、ここのとこふたりになるとふしぎと、緊張しちゃうのです。

 わたし、なにしゃべったらいいんだっけ。

 きゅうにそんなふうになってしまって、えーとえーとと話題を探しました。

 ふっとまどの外を見れば、すぐそこの木の枝に、ちいさな白と黒の小鳥さんが止まって、かわいくおしゃべりしています。


「あの!」

「あの!」


 ちょうどいいや、そのことを話そう、とふりかえったら、ミライお兄ちゃんもこっちを向いていて、思わずふたりでうつむいちゃいました。


「こ、小鳥さん……か、かわ、かわいいね……」

「う、う、うん……」


 ちょっと、わたしたちみたいかも、なんて言おうとしたのも、出てこなくなっちゃいました。

 そのとき終点を知らせるベルが鳴って、わたしたちはいそいで馬車を降りました。



 梅のあまーい香りの中、教えてもらった通りにちょっと歩けば、そこはもう梅林の入り口でした。

 赤、白、ピンク。黄色や淡い緑の花も咲いてます。


「うわあ、きれーい……!」


 わたしもミライお兄ちゃんも、もう夢中です。

 さっきのことなんか忘れちゃって、ここがいいかな、あそこにしようと歩き回りました。

 やわらかい色の空をバックに、あざやかに咲くお花をずっと見ていると、なんだか花の迷路に迷い込んじゃったみたい。

 どんどん進んでうちに、ちょっぴりくらくらしてきました。

 すると、ふわっと支えてくれるあったかい手。

 ふりむくとミライお兄ちゃんが、わたしの肩を支えてくれてます。

 お兄ちゃんはそして、優しくいってくれました。


「ソナタちゃん、ちょっと休もうよ。

 ちょうどきれいなところだし、すわってお弁当にしよう!」


 もちろん賛成です。

 ミライお兄ちゃんがぱっとレジャーシートをしいてくれたそこは、かたい石もないし、へんにかたむいてもないし、ちょうどいい場所でした。

 なのにミライお兄ちゃんは、おおきなバスケットからかわいいクッションと、あったかいひざかけ毛布を出して、わたしをすわらせてくれました。


「ソナタちゃんはすわってて。

 きょうはソナタちゃんは、おひめさまだから! ね?」


 ミライお兄ちゃんのかわいいえがおで、そんなふうに言ってもらうと、ふわぁっとうれしくなっちゃって、「うん!」しかいえなくなっちゃいました。

 はっと気がついて、ありがとうっていった時にはもう、ミライお兄ちゃんとくせいの、カラフル幕の内弁当がわたしを待ってました。


 ミズキお兄ちゃんやみんなから、いろいろ教わったんだ、というごはんやおかずは、みんなみんなおいしくて、いつまでだって食べてたいくらい。

 あったかいお茶も、とってもいいかおり。

 しあわせランチをふたりできれいに食べてしまうと、今度はわたしのお菓子のばん。

 ちょびっとだけはずかしいなあ、よろこんでもらえるかなあ、と思いながらおすすめしたお花の形のクッキーを、ミライお兄ちゃんはすっごくほめてくれました。


「すごーい! きれい! それにサックサクでおいしーい!

 ソナタちゃん、クッキーの天才だよ!

 おれ、毎日でもこれたべたいくらい!」


 ミライお兄ちゃんはとってもやさしくて、たとえ失敗作でもいいところを見つけて、おいしいよってたべてくれます。

 でも、さくさく、さくさく食べてくれてるようすを見ると、ほんとにおいしいみたいです。わたしの声も、はずみます。


「ほんと? うれしーい!

 それじゃ、また、つくるね!」

「うんっ!

 そのときはさ。また、……その、こうやって。

 えっと……まちあわせ。して。お茶……したいかなって……」


 ミライお兄ちゃんの声が、ちょっぴりちっちゃくなります。

 そうしてほっぺたが、赤くなりました。

 そんなようすを見てると、わたしの声も、ちっちゃくなっちゃいます。


「そ、……そうだね……

 まちあわせ、して……お茶、しようね……!」


 きっと、わたしのほっぺたも、赤くなってるのでしょう。

 顔がほわっと熱くって。でもそれは、ぜんぜんいやなかんじじゃなくって。

 ずっとずっと、こうしてたいな。

 そんなふうに思った、わたしでした。



 もちろん、ほんとにずーっとここにいるわけにはいかないのです。

 気がつけば、日が傾いて、風が冷たくなってきました。

 ふたりでいそいでおかたづけ。ごみや忘れ物がないことを確認して、馬車ののり場に戻りました。

 するとそこには、なぜかしってるひとがいっぱいでした。

 カナタお兄ちゃんとイツカお兄ちゃんをはじめとして、星降園のみんなや、ミライおにいちゃんの学校のおともだち。ティアブラでなかよくなったひとたちもいます。


「えっ、みんなどうしたの?」

「いやー、兄貴と受けた討伐依頼、この近所でさ……」

「おねーちゃんと採取してたらこっちにきちゃった。きぐうだね!」

「あの、この山の奥で、修行をしてて……」


 あやしい。なんとなーくあやしいです!

 わたしはカナタお兄ちゃんとイツカお兄ちゃんにむきなおりました。


「ねえ、お兄ちゃんたち? いそがしいはずのお兄ちゃんたちまで何でここにいるの?」

「おれは全国うさぎ男会議に参加した帰りだよ。イツカはモフモフ要員ね」

「ニャー!!」


 お兄ちゃんがニコニコそう言って、イツカお兄ちゃんが不服そうに一声鳴くと、なんだか笑えてきちゃいました。

 でも、おとなしくだまっちゃったら、うさぎ娘の『こけんにかかわり』ます。

 ここはもちろん、はんげきです!


「もう……

 ともかく、場所決まったからねっ。

 その日はちゃんと、ライムちゃんたちもつれてくること! いいわねっ?」

「……え、あ、はい」


 すると、お兄ちゃんたちはちょっとぽかんとして、みんながお兄ちゃんたちをひやかしたのでした。

 ちょっぴりすっとしながら、それでもわたしは、ほんとうにそうなってほしい、そのためならわたしはもっとがんばるからねと、心の中でエールをおくりました。


 気合をこめて、ぎゅっとこぶしをにぎったら、みぎのこぶしがふわっとあったかくなりました。

 そうっとみてみたら、ミライお兄ちゃんの手が、わたしの手をやさしく包んでくれていて。

 わたしはとてもとても、とってもうれしくなったのでした。


ほんとうはブラッシングシーンが書きたかったけれど、そこまでは進展しなかったご様子です。


次部分で本編続きです。えー……はい。

お詫びの続きはそちらでっ!(爆)

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