77-6 第三陣開戦! 学園生ズ(+スケさん)、突撃です!!
『はいはーい、サービスタイムここまでねー。
今回ダンサーズには時給で来てもらってるからチャチャッといくよー!』
イエネコとカレドニアガラス、宿命のライバルの鳴きあいで一瞬ハチャメチャになりかけたが、そこはアスカ。さくさくと収拾をつけてくれた。
なんだか世知辛いネタな気がするが、ともあれ戦端は開かれた。
両陣営、強化の光に包まれながら、向かい合う距離は300mほど。
その間を飛び交う砲弾、ボムに必殺技。
月萌側から飛ぶそれの多くは、こちらの防壁ではなく、地面に向けられている。警戒しているのだ、埋伏する仕掛けの存在を。
もちろん月萌側もこのフィールドの監視を怠っていないはずだし、なによりかれらには強力極まる『目』がある――ルリ・ツヤマ女史のスキル『ホルスの目』だ。
『シュートザムーン』にくわえてこれ。できるなら、そうそうに退場願いたい御方だが、アスカやカルテットとならんで本陣最奥部で守られていてはそうもいかない。割り切って、できることに集中することにする。
おれのお相手となるべき『ダークソーサレス』の様子を見れば、特に『スケさん』への強化を行っている様子もない。がんばってくださいというように声をかけている。
ならば野暮はするまい。おれもイツカにかけるのは「がんばろうね」の言葉だけにしておく。
おりしも撃ち合いが終わった。
スケさんが一歩進み出て抜刀、高々と剣を掲げれば、イツカがイツカブレードで応じる。
チアキが小さな声でつぶやくのが聞こえた――『スケさん。僕、がんばるね』と。
そのときスケさんが、小さくうなずくのがわかった。
かつて教え導く剣を交わした、けれど今日は相対することのかなわぬだろうふたり。聞こえているわけもないけれど、きもちは伝わっているのだ。ちょっとほっこりしてしまう。ダークソーサレスのなかのひとも同じ心持になったようで、美貌に浮かぶ表情が優しい。
イツカはニッコリ笑って言う。
「なあスケさん! 都合ついたらこっちこいよ!
仲間たちもみんな一緒に! 無理ならむかえいくけど!!」
スケさんがちゃめっけのある敬礼を返す。
と、同時にイツカと彼は飛び出した。
一呼吸の間もなくして、二人の剣が交差する!
『これなるは、生死を超えし剣士のみのやりとり!
手出しはどうか、無用に願いますぞ!!』
ちょっと初々しさの残った口調で『ダークソーサレス』が宣言し、二人を包む結界を張る。もちろん、おれもそれに同調して結界を重ねる。
「賛成一票。っていうか、こうしとかないと危ないからね?
おれたちはふたりが満足するまで、ここでゆっくり待つことにしよう」
すると『ダークソーサレス』に、なぜか赤いほっぺたでにらまれた。
イツカとスケさんにつづけと、ダンサーズ+学園勢の一部が、ねらう相手へ先陣を切る。
左翼はじからはトラオとサリイさんの『トーラス』が。
対するはチアキとレンの『クラッシュクラフターズ』。
飛翔するサリイさんとレンがガンガンと炎と爆撃をぶつけ合う下で、トラオとチアキが抜刀して互いに迫る。
右翼からは、宙を切り裂く勢いでユキさんが飛んできた。
ナナさんの覚醒技『かぴばらんど』による支援を一身に受け、金色に輝く彼女が目指すは、リンカさん――を守るサクラさんだ。
「いくわよサクラ!!」
「のぞむところー!!」
「それじゃ、いっていいわね?」
対してリンカさんが杖を掲げ、はじまる変身シーン。
「サクラのために!」
「お姉さまのためにっ!」
「第一覚醒!!『サクレリンク』!!」
走りながら桜花の戦衣に身を包むサクラさん。サクラさんを見つめ、梨花の聖衣をまとうリンカさん。
対してユキさんも、はじめて見る羽飾りに手を触れて、その装いを変えた。
青と銀をまとった空飛ぶ戦乙女のキックと、桜色の格闘ヒロインのこぶしがいま、音を立てて交わった。
左翼中央寄りからは、二頭のドラゴンが飛び立つ。
銀色は、竜化したルシード。緑色は、フォレストドラゴンに進化した『フォルド』だとすぐに分かった。
ルシードの背には、コウモリ羽根をはためかすマユリさん。
『フォルド』の背には、そろいの黒衣のきつねとうさぎ。
ハイテンションのオレンジ狐が陽気に手を振る。
「おーい! アイドル軍団のみなさーん!
俺たちとおねがいしまーす! かわいい衣装作るからー!!」
「あ・ん・ま・り調子にのるなよ?」
「ひいいっ?!」
しかしやつは横目でにらむ相棒にぎくっと身を引いた。
ニノは金曜日に上演された『湖の乙女と七つの魔神』第一話の衣装を手掛けたらしい。おれたちは、なんだかんだまだ見れていないので楽しみだ。
しかしそれにまつわるエピソード――アスカから聞いた――は恐ろしいばかりのものだ。
覚醒も果たしたし、卒業までは好きにさせてやろうとしたら笑いながら三徹し、しまいには「わーいニノさん寝方忘れちゃったー」とかのたまったので、イズミが一撃くらわして寝かしつけたという。
この戦いで捕虜になれば、ニノはこんどこそ、魔王軍の専属デザイナーになってくれる。
けれどその取り扱いは厳重注意だ。おれはこころのメモちょうにでっかい字でメモしたのだった。
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くうう、疲れも癒えます! ありがとうございます!!!
それでもこの時間なのは……えーそのー、はい、ぷちダウンしてました(^^;
(今はもう大丈夫です)
寒いと疲れるのですね。もっと体力ほしいです!
次回、つづき!
戦車とかくるよ!(カッコよく書けるかどうかは未知数……)
ほねほね軍団もがんばる! 予定!!
どうか、おたのしみに!!




