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<ウサうさネコかみ>もふけも装備のおれたちは妹たちを助けるためにVR学園闘技場で成り上がります!~ティアブラ・オンライン~  作者: 日向 るきあ
Stage_77 新たな仲間と新たな敵と? VS『ダンサーズ』な第三陣!

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Bonus Track_77-4 そして留まる者たちは〜ミズキの場合〜

 ルーとマユがいまだに空軍基地に留め置かれているのは、俺も知っていた。

 二人は機密ももらしていなければ、魔王軍の密偵を働くつもりもないと、俺でも断言できる。

 ふたりともそんな人物ではないし、そもそも入隊一年もたっていないルーキーなのだ――『最悪、捨て石』として派遣されてしまう扱いの。

 それなのに。


 もどかしい事態を打開してくれたのは、二人の気持ちを受け止めた上官さんと、その声を聞いて動いてくれたトウヤさんだった。

 特別の許可を得て、連絡をくれた二人の姿を声を、携帯用端末ポタプレごしとはいえ確認すれば、肩に乗ったものがまたひとつ、ふっととけて消えるのを感じた。


 もちろんその日の首脳茶会で、アキトとセナにも報告した。

 うさねこ首脳になりたての二人は、マーセナリーガーデンとの関わりもあり、俺やミライより忙しい。それでも、笑顔で喜んでくれた。


「でもトウヤさんの指導かー……うらやましいような、おっかないような……」

「そこはだいじょうぶだろ、バトルじゃないんだし」


 アキトが明るくまぜっかえすと、セナが微笑んでフォローする。

 そう、トウヤさんはその筋では有名なのだ。『手加減というスイッチを装備して生まれてこなかった男』として。

 それでもミライがニコニコと太鼓判をおせば、俺たちは全員、一発で納得した。


「うん、そこはだいじょぶだよ!

 トウヤお兄ちゃんね、教えるのじょうずなの。おれもお兄ちゃんちにいるとき、ときどきけいこつけてもらったもの!」

「あ、じゃあ大丈夫だ」

「だな!」


 いまここにあるミライの笑みがあったかく、素直なものであるのが何よりの証拠だ。

 もっとも、ミライはだれより強い子でもある。困難にあってもけっして曲がることのない、そんなつよさをもっていることも、おれたちはみんなよく知っている。


 明るくかわした声が、ふと静かなものに変わる。

 アキトが言った。


「二人も、そっち行くつもりなんだろ。

 ミズキは在籍も長いし御三家の生まれだし、覚醒したらきっとそのまま卒業資格まで授与されるはずだし」

「その可能性は正直、あるね。

 でも、ミライにはまだ、すこしの期間でも四ツ星講習受講の実績が必要だから。

 それまではまだ、俺もいっしょにここにいるよ。バディだもの」



 そう、あれは月曜日のこと。

 俺は騎士団のみんなに、胸の内を打ち明けたのだ。


 自力で覚醒を成し遂げるか。それとも、『シエル・フローラ・アーク』を完成させたカルテットの覚醒用ウィッカーワークス回路を作ってもらって覚醒することになるか。

 いずれにせよ、俺のここでの日々は、そこでひとつの区切りを迎える。

 けれど、俺はもっとここにとどまりたいという気持ちを抱いてしまっていた。 

 ここを離れられぬみんなを、家族を、愛する人をまもるために。


 それでも、すっかり団結したみんなの様子を見て、すなおに思ったのだ。そろそろ、後を託すことを考えてもいいのではないかと。

 ニノが言うには。


『……うん、まずな?

 ミーたんが本当に、四ツ星講習完全ブッチしうるのか。まずそれ確認することをオススメするぜ』


 もともと俺の担任だったシルヴァン先生、ミライの担任のノゾミ先生に確認をとってみたところ、こたえはやはりの。


『結論から言いますと、ミライ君が五ツ星資格を得るには、四ツ星講習を受ける必要があります。

 状況が変わらない限りは、現状通り一か月と三週間。

 事情によりさらなる短縮もあり得ますが、それが基本の形です』

『確かに、ミライはすでに何もかも知ってるし、口も堅いが、それでも全く『なし』というわけにはいかない。

 もしかりにイズミとニノの場合のように、ミズキの覚醒にミライが不可欠のものとなったとしても、その場合はミズキにここでミライを待ってもらうことになる』


 だから今は焦らず、できることをすればいい。ふたりとも、そう口をそろえて言ってくれた。


 ニノはお父さんのような行政書士になることを夢見て、ご実家で研鑽を積んでいただけあり、こうしたときの判断は冷静的確だ。

 やはり、みんなに相談してみてよかった。ひとりで抱え込まないで、ほんとうによかった。

 まだまだ、俺も未熟である。

 けれど、その顛末を聞いたブルーベリーさんには、こっそり優しく抱きしめてもらえたのだから、これはこれでよかったのである。



「おっ? なんだなんだミズキ、なーんかいいことあったんだな?」

「もしかして、ブルーベリーさんとのこと?」


 アキトとセナは鋭い。思い出してほんわかしていたら、すぐにつっこまれた。

 ないしょ、と笑うとひとしきり冷やかされたけれど、そのあと、こう言ってくれた。


「でもさ。ホントいうと、心強い。

 俺たち、まだ引き継ぎしたばっかだったしさ」

「もちろん、甘えるつもりはないけど。

 二人が旅立つときが来たら、その背中を押せるよう、頑張ってくから」


 アキトとセナは、うさねこを支え、守るものとして、まだここにとどまってほしいと頼まれているそうだ。

 それゆえ、招集されず、志願もしていない――二人は、その状況を受け入れてすでに腹を据えている。

 心強い、と思ってしまうのは、むしろ俺のほうだ。

 素直にそれを伝え、手を取り合うと、またすこし、肩が軽くなるのを感じたのであった。

スマホのカメラが近くにピント合わない!

半泣きで色々試す羽目に……


しかし嬉しいこともありました。

ブクマといいね(≧∇≦)bを頂いていました……ありがとうございます! 神はいた!!



次回、久々に? アイドルとして活動するイツカナと、送られる挑戦状……の予定です。

どうぞ、お楽しみに!

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