Bonus Track_77-2 カミナリのちホットコーヒー、のち、ちょーちょーカミナリ!~タクマの場合~
絶品のお茶とお菓子をごちそうになり、オレたちは学園に戻った。
バレることはないはずだ。これでもエルマーは六獣騎士の地神竜だし、わざわざ高天原の町並みに出てから潜行したのだ。まだ日も高い。何食わぬ顔をして戻ればいいのだ。
五ツ星用の昇降口に向かい、ロッカーのまえで靴を履き替える。よしよし、ミッションコンプリー……
「おい」
「わっ」
「うわああ?!」
その時、ぽん、と後ろから肩を叩かれた。
エルマーと二人、思わず叫びを上げてしまい、ドキドキ振り向けばそこにいたのは、いい笑顔のノゾミちゃん先生だった。
「あ、えっと、どうも!!」
「随分な驚きようだな、二人とも。なにか隠し事でもあるのか?」
「え、えええええとっ」
純粋なエルマーのやつは、目が泳ぎまくっている。仕方ないんでオレがフォローを入れる。
「お外で猫ちゃんと遊んできましたっ!!」
「なるほど。その猫というのは、首に白いリボンを付けた目が赤い黒猫か?」
「はいっ!!!」
つまりバレバレだったようである。なかばヤケクソで返事した。
「よしお前たち、手を洗ってうがいしてしばし説教されようか?」
結果。オレたちは生徒指導室にて20分ほど、事情聴取と説教と、あったかい飲み物をいただくことになったのだった。
指導室から廊下に出ると、そこには生徒たち(一部先生と学園メイドさんも)がいっぱい。ハイテンションで口々に言ってきた。
「タクマ、エルマー!」
「どうだったどうだった?」
「ずるいだろノゾミちゃんの説教!」
「ビシッと鋭くポイントついといてさ、あんなあったかい言葉と飲み物でシメられたら惚れちまうよなっ!」
「おいお前ら、廊下で盛り上がるな。話すんならラウンジでもいってこい」
「は~い!」
オレたちのうしろでノゾミちゃん先生が言えば、みんないい子の返事をする。
ソリステラスでも著名な『青嵐公』。剣を取らせれば無敵の男は、うわさに聞くよりもっといかした兄貴だった。
この人のもとについて学んでこられたやつらのことが、うらやましくなるくらいの。
もちろん、オレの師匠だって負けてないけど。
そんなことを思っていたら、サクサクとオレたちは学食ラウンジに拉致られていた。
「でさ」
「……でさ」
「どうだった、『魔王城』」
「つか、そのあるじ」
一通りノゾミちゃん先生の話で盛り上がったのち、ふいに空気が変わった。
何人かが、立ち上がる。何人かが、輪に加わる。
この学校で、イツカナはレジェンドだ。ほとんどのやつらが二人を好きで、けれど『大神意』により二人を敵と思ってしまう。
その葛藤に耐えられない者たちは静かにこの場を去り、それを超えて知りたいという者たちが輪を作る。
だからオレたちも、すこし声を小さくする。
「元気そうだったぜ。イツカのやつ、また強くなってた。シムモードで五分だけってから自己強化なしで打ち合って、新技ドーンでしめてさ!」
「五分だけってなんで?」
「や、なんかやべーやつ来た。とっつかまってたけど」
「マジかー」
「なに、襲撃かけてるやつとかいんの? 命知らずすぎだろ!」
「おう、なんか声のでけー黒いやつとあと……車! たぶんあとで画像でるかもだけど」
「お前らは? なんもなかったか?」
「おう。オレたちがはいってく外でブッたおされてたから。
で、おやつごっそになったぜ。な、エルマー」
オレだけしゃべりたおすのもなんなので、エルマーにふると、エルマーもいっしょうけんめい、でも可愛い笑顔で言う。
「うん。
おいしいお茶と、お菓子……ごちそうになった。おいしかった。
みんな、やさしくて、……元気そうだった、よ。」
「そっか……そっかぁ」
「よかった。うん、よかった」
するとエルマーの人徳だろう、その場はホワーンとあったかな雰囲気になった。
それからしばらくみんなでしゃべっていると、学園メイドのブルーベリーさんがやってきた。
なんだか、神妙な顔をして。
「タクマさまに、お客様ですわ。面談室にお通ししてございます」
「あ、はい」
思えばこの時、ホイホイとついていかず、テキトーに逃げ出すべきだったのかもしれない。
面談室で待っていたのは、笑顔で激おこのエルメスだったのだ。
あとは、推して知るべしである。
黒チェシャ「俺の扱いが雑な件」
ドンマイだ!!
自作クオリティに悩む今日この頃。
IEなのでいいねもブクマも見れませんが、見る勇気が出ません(´;ω;`)ウッ…
書ききることが一番大事ですね。ふぁいと、おー。
次回、こたえあわせの予定。
そしてもうひとつ、気になること。
どうぞ、お楽しみに!




