76-4 おにいちゃんのおしごと~うさぎ兄はかわいい妹たちを見守りたい!
ぶっちゃけ言えば、おれたちは忙しい。
基地は出来上がったし、助けてくれる仲間たちも増えたけど、日々のトレーニングやレッスン、お客様を迎えインタビューを受けたりのメディア対応はそれ以上に増えた。
それでも、今いちばんぜったい欠かせないと思っているのがこれ――ソナタたちの見守りである。
ソナタは星降スタディサテライトに通学し、授業を受けている。
そして放課後、宿題や用事を済ませてからログイン。
お手伝いや年下の子のお世話もしているので、ゆっくりインできるのは小さい子たちが寝てから、ソナタたちが寝る前の一、二時間が多い。
おれたちもそのくらいの時間には外での予定を終えているので、そっとミッドガルドに降り立つ。そして、可能な限りでソナタたちを見守るのだ。
決して甘やかしているわけじゃない。ソナタはいまや次世代アイドルバトラー候補筆頭、というかいまでもちょっとしたアイドルだ。
拠点としているマリノス以外では、しょっちゅう声をかけられる。たまにちょっとしつこい輩もでる。そういう時はさりげなく肩をポンして追い払う。
おれたちがミッドガルドにそのまま行くと目立ちすぎるので、姿とステータスは偽っているが、あえて実際より筋力高めのものが表示されるようにしてあるおかげで、効果はてきめんだ。
採取依頼に出かければ、当然モンスターにも出会う。というか普通よりエンカウント率が高い。理由は簡単。みんなソナタの必殺『ふわふわ・うさダンキック』を食らいたいのだ。
その気持ちはよくわかる。かわいいソナタのかわいいキックはエフェクトもかわいい。しかも優しいソナタは『痛み軽減』の特性をつけているので、蹴られ心地はもふっと優しい。
しかし、度が過ぎるのはよくない。そんなときにはこっそりと裏で交通整理を行うのだ。
いや、なにも暴力的なことはしていない。ニッコリ笑顔でお願いするだけだ。『ナカノヒト』がいるモンスターの場合は大体これで何とかなる。
ごくまれに、道に迷うこともある。そういう時はうさ化して、道案内をしてあげる。怪しまれる心配はない。うさぎ装備がモブのうさぎに助けられるのは普通の仕様だ。もちろんステータスと毛色は偽装してある。
さすがにダンジョンの中で出ていくと首狩りウサギかと警戒させてしまうので、そういう時は猫イツカの出番だ。大丈夫、ステータスは偽装してあるし目立つように白く塗っている。
無事に採取を終えて帰ってくれば、さりげなくギルドに先回りする。
そして、なにくわぬ笑顔で出迎えてあげるのだ。
『ホシフリ・ハートシスターズ』の四人全員に、おつかれさまのお茶をごちそうして、かわいい武勇伝を聞いて、相談事にも乗ってあげるのだ。
現役時代には、これができなかった。クエストの関係などで、遠く離れた場所にいることも、時間が合わないことも多かった。
高天原に入ったころは、そもそもミッドガルドへの頻繁なイン自体が(TP的な問題で)難しかった。
けれど今では、それができる。
ずっとしてあげたかったこと。したくてもできなかったこと。
ソナタたちも、もしかしたらもう気付いているかもしれない。
けれど――
「そういえばね、」ソナタがティーカップを置いて、おれに微笑みかけた。
「ソナタたちが道に迷ったりすると、なんでかいつもうさぎさんとか、ねこさんとか、いぬさんたちが助けに来てくれるの。
ほかの子たちに聞いても、そんなのほんと、ときどきしかないよって。
どうしてなのかな?」
「うーん、どうしてだろうね。そういえばおれたちも、いつもうさぎに助けられてるし」
「そうなんだ! ふしぎね!」
「ふしぎだね!」
嘘は言ってない。おれは日々、『うさぎ男同盟』をはじめとするうさぎたちにたすけてもらってるのだから。
ソナタたちは気付いているのだろうか。それはわからない。
けれど願わくば、こうしてずっと、ソナタたちの『おたすけうさぎ』でいられたらいい。
それはいずれミライが、いつもソナタの隣にいるようになったとしても。
お兄ちゃんたちは本編でも見守りします^^
ここまで月曜だったとか恐ろしい((((;゜Д゜))))ガクガクブルブル
この章で第三陣まで行けるのか……無理な気しかしない!!
ともあれ次回! アスカたちの約束のお茶会。そこでそっと告げられる『お願い』。
どうぞ、お楽しみに!




