Bonus Track_76-5-3 イエネコだって意地がある! 白猫王子、特訓する!(3)~トラオの場合~
案の定、めでたいシステムメッセージが聞こえてきた。
『マリアージュ発生:プレイヤー・ザインとけも装備『フリージアン・ホースのしっぽ』のエンゲージレベルが限界突破しました。
スペシャルスキル『夜馬襲歩』が解禁されました』
『マリアージュ発生:プレイヤー・イツキとけも装備『ダイサギの翼』のエンゲージレベルが限界突破しました。
スペシャルスキル『フラッシング・イーグレット』が解禁されました』
「うわあ……うそ、ほんと?! やったあ!! やったねいっちゃん!」
「うん、覚醒だね……覚醒だったね……うわー、やっときたー……!!」
ザインもイツキも感無量の様子。手を取って喜び合う。
だが、すぐに俺たちを気遣ってくれた。
「ありがと二人とも。だいじょぶだった?」
「おう、ほとんどノーダメだぜ」
「あたしは完全ノーダメよ」
「よかったー!」
まあ、それもこれも背後のちょうどいい場所で待ってたサリイが、ちょうどいい塩梅の『水壁』で俺を受け止めてくれたおかげなんだが。
「ほんと、ありがとうねふたりとも。
もし疲れてたら、一度ちょっと休む?」
「だいじょうぶなら、続けてもいいけど」
それでも本気でホッとした顔を見せ、気遣ってくるあたり、ふたりともいいやつらだ。
「サリイ、どうよ」
「あたしは大丈夫よ。トラは?」
「俺もいける。
サクッと掴んじまおうぜ!」
「りょーかーい!」
「それじゃ、なるべく二人が連携しづらいよう、細かめに攻撃かけるから。
何とか頑張って!」
「おう!」
一応ポーションをひとびんずつ飲んで、俺たち四人は再びスタートラインに。
誰からともなく、戦い始める。
俺はイツキよりはパワーがある。けれど、なにぶんイツキは素早く、刺突は鋭い。
連携阻止を目的に突きかかってこられれば、くやしいがきりきり舞いだ。
下手に距離を取ろうと踏み出せば、ザインのトラップが炸裂する。
くそ。いったい、どうすれば!
「トラオ!」
と、イツキが呼び掛けてきた。
「トラオは、パワーも防御も、俺たちよりある!
そこに、サリイさんのパワーがくわわったら!」
「つまり、もう強引に、来いってか?」
「そういうこと!」
「なるほどね!」
サリイも納得の様子。よし、と思ったらとんでもない声が飛んできた。
「トラ、一発耐えて! 『スプリンクル・フレア』ッ!!」
「うあぢゃああ?!」
なんとサリイは、俺ごと爆撃してきやがった。
けれど効果はてきめん。イツキは後退した。
直感した。チャンスだ!
地を蹴ると同時に、サリイが勢いよく背中にぶつかってきた。
いつものようにサリイの柔らかい腕が、そして俺には熱くない炎が全身を包む。
そうだ、もう助走なんざいらねえ。このまま、この勢いで――
「っしゃああ!『コメット・ブラスト』ォォォ!!」
――ぶちかます!!
果たして俺たちは、まずタックルの要領でイツキに。
そして、剣を構えなおした俺の一撃で、ザインに。
次々と覚醒必殺技を見舞うことができたのだった。
「よっしゃあ! できたねっ!」
「おめでと、ふたりともー!!」
気のいい二人はブッ転げながらも、笑顔で親指を立ててくれた。
俺たちはもちろん、二人に走り寄った。
フリージアン・ホース。とんでもなく美しいです。
アハルテケ馬と並んでおられたら「ははーっ」と拝んでしまいますね^^
次回、依頼をがんばるソナタちやんたちと、それを見守るイツカナのおはなしの予定です。
どうぞ、お楽しみに!




