Bonus Track_76-4 戦乙女の祈り~ルリ・ツヤマの場合~
実は昨日、間違ってこちらを投稿してしまいました……
すぐに直したのですが、もしこちらを昨日読んじゃったよ! という方は、お手数ですが前話(とくに伏線とかはない、緩い日常回です)をお読みくださるとありがたいですm(__)m
申し訳ございませんでした! 再発防止、がんばります!
ライカ分体によるダブルスパイ疑惑が晴れた今なお、アスカ・タカシロとその周辺は、叛意を疑われつづけている。
わたしは残念なことに、疑っている側に飼われる人間だ。
次の作戦の切り札を担う『カルテット』のもとに盗聴器を仕込み、その尻尾をつかめと命じられた。
盗聴器を仕込んで落としたストラップは、何の収穫もなく手元に戻ってきた。
やはり、だ。かなうわけなんかないのだ。
相手は高天原の闇を向こうに回し、戦ってきた天才少年。いまやわれらの指揮を執るまでに至った人物だ。
彼らに比べたらわたしたちなど、その存在を横目に、家の庇護をうけぬくぬくと育ってきた甘ちゃんにすぎない。
けれど、それでいいと思った。
いまや『大女神』の代理人として、ふたたび姿を現した『御大』と、彼の肝いりの恩赦を受け、特別顧問として返り咲いた『御前』。
高天原の闇を担うものとして、子供たちを犠牲にしてきた彼らの政策が、成就してほしいなんてわたしには思えなかったのだ。
愛する人の幸せのためにがんばってきた少年たちを、世界の敵として利用する。
たとえ彼らがどれほど強くても、本人たちがいいといったとしても、そんなのはしていいことと思えない。
レベル上げ目的でレイドボスに挑む、ただのゲームとしての戦い。などと言われたって、納得なんかできるものか。
ここまでソリステラスとの闘いを重ねてきた我々でも恐怖を覚える大爆発。その中をまっすぐ駆け抜けてきた黒猫の『魔王』は、物語の勇者のようだった。
わたしたちが無理を言って動員した少女たちの前に降り立ち、二人を救う、守ると手を差し伸べたうさぎの『魔王』は、天使にしか見えなかった。
一方で、意気が上がっている者たちもいた――ふたりに意趣返しをしてやりたくてうずうずしている、赤竜管理派やそれに連なるものたちだ。
奴らのもとに乗り込んだなら、そして奴らをとらえたならば、ああしよう、こうしよう。
ときおり『度が過ぎる』と上官に叱責されているが、今日から十日も過ぎればそれもなくなっていくのだろう。
再来週の第四陣。月萌軍は改造覚醒技『シエル・フローラ・アーク』を切り札とし、ソリステラスからの留学生への接待戦を展開したうえで、『魔王城』を陥落。魔王たちをとらえる予定なのだから。
私も月萌軍の一員として、全力を尽くさねばならない。そして成し遂げねばならない。
けれど、心のどこかで願ってしまうのだ。
心優しい『魔王』たちに、悲しい境遇に落ちてほしくない。
そのくらいならいっそ、わたしたちをうち破り――
この月萌ごと、優しい翼の下に置いてしまってほしいと。
一応隣接するファイルに「ここまで投稿したよ!」というのを作っているのですが、それでも間違えてしまいました(昨日)。直前まで見直していたほうをコピペってしまったというミスです。
ファイルそのものに何か工夫が必要なのか……うむむ。
次回、月萌視点。第三陣参戦を見据え、意地を見せたいトラオくんです。
ここまでスポットの当たっていなかった、イツキ君&ザイン君にもスポットが当たります。
どうぞ、お楽しみに!




