Bonus Track_75-8 立ち上がる、イツカとカナタ~ノゾミの場合~
「なあ、お前たち。なにか、相談に乗ってほしいことはないか?」
「ありがとノゾミ兄ちゃん。でも大丈夫!」
「そうですね、今日の晩ごはん、なににしますか?」
こんな会話が、ここ数日の日課となっていた。
何があっても『大神意』の影響を受けないのは、『スターシード』だけ。
よって今の高天原で一番安全なのは、同じ『スターシード』の俺たちの家だ。
それでも、そのままの姿でいれば、窓越しに姿を見た者に攻撃される恐れもある。
くぐつの体のイツカとカナタは、外出の時はもちろん、日中の多くの時間姿を変えた状態で、俺の家に潜んでいた。
二人はかわいい弟分だ。それを家に置いておくことには、何の不満もない。
それどころか「お世話になってるから」と、掃除洗濯食事のしたく、さらにはミソラがやってきたときには家事教育までつけてもらって、むしろこちらが感謝しているくらいだ。
本当ならば、感謝よりもっと、しなければならないことがある。
二人は、すっかり元気をなくしていた。
二度目の謁見の日、金曜定例闘技会。
ライブステージのルカとルナは、プロとして立派に踊り、歌い上げた。
追放されたイツカとカナタにむけて『負けないんだからねっ! あなたたちも全力でがんばりなさいっ!!』なんて気丈なエールすら飛ばしていた。
けれど、その動画を見たこっちの二人は、むしろ痛々しそうな顔をしていた。
苦しくないはずがない。それでも、会いに行ってやれない。メールもコールもしてやれない――
『魔王軍』の行く末よりになにより、そのことが二人を苦しめていた。
もちろん、二人ともそれを隠そうとしていた。
大丈夫かと水を向けても、大丈夫と笑顔が返ってくるだけだった。
ミソラに話して、遊びに来てももらった。
『チコニアン_ウィッカーワークス』についての相談の際に、エルカにアドバイスを求めもした。
大好きなケーキをお土産に買っていったり、時間を見つけてブラッシングをしてやったり。
そんなある日のこと。
悩みながら家路につけば、レモンからメールが。
『これ、イツカとカナタに見せてあげて』と添付されたアドレスには、つくりかけの恋の歌。ルカがギターをとぎれとぎれに。ルナがピアノをぽろりぽろりとつま弾いて、逢いたいけど逢えない、でも逢いたいと歌っていた。
三回繰り返して聞いた二人は、すさまじい勢いで――変身も解かぬまま、携帯用端末をぽちぽち操りコメントを送った。
そして、うん、とうなずきあうと、まっすぐな目で俺を見た。
「ノゾミ兄ちゃん、頼みがあるんだ!」
「おれたちも、歌で気持ちを伝えたい。
だから、魔王軍基地に行こうと思います――イツカとカナタとして歌うために。
そのこと、ルカとルナに相談したいので、仲立ちをお願いしたいんです」
「ほんとはすぐ話しに行きたいけど、まんま行ったら、バトルになっちまうから。
だから、大神意よけのお守りと、手紙。二人に渡してくれないか?」
もちろん、俺に否はなかった。
絵面がもえもえです(ちっさい黒にゃんこと水色たれみみうさちゃん)(; ・`д・´)
今年は色々片付けなくちゃだったり片づけたいことが多いです。
というかマイクラ二週間くらい触ってません(号泣)
ネザーゲートの向こう側がネザーランドドワーフたちのもふもふうさうさ王国だったらとか妄想が始まりました。
落ち着こう。
次回、新章突入!
くぐつのイツカナが……おっと、誰か来たようだ。こんな時間に誰だ……
どうぞ、お楽しみに!




