74-4 留学生たちの圧巻バトル、荒ぶるにゃんこと戻れぬきつね?!
けっして、ほかの仲間たちを軽く見るわけじゃない。
けれどやっぱり、ソリステラスからの留学生たちの戦いぶりは別格だった。
タクマとエルマーのバディ『グランドラゴンズ!』は高天原学園・定例闘技会のトリを圧巻で締めた。
大胆に前に出て剣をふるい、二頭のアイスドラゴンをひきつけ、張り合うタクマ。
エルマーはアイテムと補助魔法で、後方からタクマに強化を積んでいく。
アイスドラゴンのうち一頭が『ブリザード・ブレス』を吐けば、タクマがブレスごと『地烈斬』でたたき斬る。
その間にもう一頭がエルマーに向かったものの、巨大な地神竜としての一端をみせたエルマーに恐れをなして降参。
圧巻の戦いぶりに投げ銭額は、今週の学園闘技場の最高額をマーク。
それでも二人は、『これは学ばせてくれた学園のみんなに!』と寄付を宣言した。
エルメスさんは土曜に行われたカレッジの闘技会で、開幕エキシビを。
臨時のバディを組んだシーナさんという優しそうな女性とともに、息の合った戦いぶりを披露。
二人ともに補助と白兵戦をこなす柔軟な戦いぶりで、多種のモンスター混成軍を鮮やかにさばききる。
最後に群れのボスをエルメスさんのレイピアが貫いた時には、満場の拍手がおきた。
タクマとエルマーはステラ、ソリス領それぞれの『最強の六人』。月萌で言うなら、エクセリオンだ。
エルメスさんも、ステラの王族。優れた血筋と鍛錬で、国内最高クラスの強さを誇る。
それを鑑みれば当然の強さなのだが、やはりこうしてみると抜きんでている。
週明けの次回、その次週の次々回はさすがにないだろうけれど、その次、第四陣には『実習の仕上げ』として、三人が加わることだろう。
そのときに、後れを取らないようにしなければならない。この観戦はそのための、貴重な研究機会なのだ。この動画はのちほどもう一度、検証しながら見ないとならない。
身が引き締まる思いのおれだったが……
「はー。やっぱあいつら、こないだよりまた強くなってるー!
三人でかかってこられたらさすがにやべえかもー!」
イツカのやつめはもうウハウハだ。『やべえ』が『楽しみすぎてやべえ』にしか聞こえない。
「このあとさっ! みんなバトろうぜっ! あーもうむずむずしてきたー!」
陽気な呼びかけに、会場のそこここからおーうっ! という声が上がる。
うん、これがばんごはんの時だったらみんななかなか寝なくて面倒なことになるとこだった。上映会はやっぱり昼間にかぎる。
そんなふうに、おれたち『めんどー見る側の人間』は確信したのだった。
実を言えば、『めんどー見る側』はいま半数以下になってしまっている。
今日の晩ご飯、明日の朝ご飯はミライたちの残してくれた作り置き料理が活躍する予定だ。
つまり、それをのこしてくれた仲間たちは、ほとんどがいま高天原にもどっている。
覚醒もまだだし、『騎士団』のみんなもほっとけないから、ごめんね、といったん学園に戻ったミライとミズキ。
ふたりを心配して志願でやってきた、ロアンとミキヤももちろん一緒だ。
『マーセナリーガーデン』チカさんのご指名でやってきたイツキとザインも、ここでつかんだことを生かして覚醒するため、いま学園にいる。
すでに働いていて、高天原に生活の拠点があるルシードとマユリさん、トビーとアッシュも戻っていった。
トビーたちは転勤ということなので身辺の整理がつき次第すぐ戻ってこれるけれど、軍務についているルシードたちは、すこし時間がかかるだろう。
そして、やっぱり、と思ったのがニノだ。
ニノは、ここに戻ってこれなかった。
みんなの動向整理するのに時間かかりますた(__)
ぶっちゃけエクセルとか使えないと資料整備と確認ができず、執筆が進まぬレベルでした(それもどうかと)
ようやくいくばくかのネタの洗い出しまで進んだので、ちょっとだけ(気持ちが)楽になり申した\(^o^)/
次回、戻れないニノ。
どうぞ、お楽しみに!




