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<ウサうさネコかみ>もふけも装備のおれたちは妹たちを助けるためにVR学園闘技場で成り上がります!~ティアブラ・オンライン~  作者: 日向 るきあ
Stage_74 アフター第一陣! 高天原のあれやこれ!

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優しすぎるうさぎ王子様と、剣の妖精〜たれみみ聖者さまのおはなし〜(2)

俺たちのクリスマスはこれからだ!←

クリスマス特別回、今回で完結です!

「王子さまが剣をふるう必要はないよ。

 かわりに、僕が戦うから。

 王子さまには、ほかにもっともっといいところがあるんだ。

 頭がよくって、誰より優しい。

 それを生かせばいいじゃない。

 大丈夫、僕は王子さまのともだちとして、いつでも王子さまと一緒にいるから!」


 胸を張って堂々と言い切る騎士さまはすらっとかっこよくて、おかおはとてもきれいなのに、なんだかとっても強そうです。

 いえ、実際とっても強くて、怒って斬りかかってきたものたちも、全部あっさり転がしてしまいました。

 王さまは驚いたようすで問いかけます。


「だれだね、お前は」

「王さま、僕です。

 あなたが王子さまにプレゼントした、かっこいい剣です。

 王子さまはお父さまのきもちがうれしくて、僕をだいじに、だいじにしてくれました。

 名前を付けて、どこにでも一緒に連れてってくれました。

 毎日丁寧に磨いて、優しく話しかけてくれました。

 うれしいことも悲しいことも、みんなみんな分け合ってくれました。

 だいじに、だいじにしてくれました。

 だから僕には、こころがめばえたのです。

 そうして、この姿を得たのです」


 自らを剣の化身と名乗った騎士さまは、丁寧にお辞儀をして言いました。

 その姿の優雅なこと。みんな、ほれぼれとしてしまいます。

 それは、剣のもちぬしである、王子さまもです。


「ああ、なんてこと!

 君が僕を『ともだち』とよんでくれるなんて。

 それもこんなにきれいな声で。

 ありがとう、僕の最高のともだち。

 これからもずっといっしょだよ!」


 きれいなおめめをうるうる、かわいいおみみをふるふるして、その手を取ります。

 剣の化身の騎士さまも、ぎゅっとその手を握り返します。


「うん、王子さま。

 これからももっと、よろしくね!」


 みんなはとても喜びました。

 聖者さまにくってかかった騎士たちや、王子さまをいじめたお姉さまたち、こっそり陰口を言った者たちもみんなごめんなさいして(もちろん王子さまはみんな許してあげました)、うさぎの王子さまの国は、ふたたび平和な、楽しい国にもどったのです。




 しかし、どうしてこうなったのでしょう。

 実は、王さまがプレゼントした『かっこいい剣』は、そもそもただの剣ではなかったのです。


 王子さまの優しすぎるほどのお心に気づいた王さまたちは、子供のころからなかよしの、老賢者さまに相談しました。


『息子は優しすぎ、誰かに向けて剣をふるうことがどうしてもできないんだ。

 このままでは、そのうちみんなに馬鹿にされてしまう。

 小さな花にも心を寄せて、水をあげ、いつくしむ言葉をかけてあげるような優しい子なんだ。

 それにとても聡明で、あの子が王になれば、きっとこの国はしあわせの国になる。

 なんとかそれを、生かしてあげられないだろうか』

『そうだな、それなら、この剣を上げたらどうだろう。

 ただの剣じゃないぞ。精霊の宿った、まほうの剣だ。

 大切に扱い、優しいことばをかけてあげれば、いずれ人の姿を取り、よき友として王子さまを守ってくれるようになる。

 もともと、僕の相棒のために作った剣なのだけれど……

 相棒ももう、すっかりいい年でね。

 新しい主人を探してあげなきゃと思っていたところだよ。

 花を愛する王子さまならちょうどいい。

 もしも困ったことがあったら、我が弟子を頼るといい。

 いまは隣の国で、王子妃をやっている。

 実際に来るのは、彼女の『双子の弟』だけれどね。

 とても腕のいい、そして頭のいい、私の自慢の弟子だよ』


 白いおみみのうさぎ賢者さまは、ぱちんと片目をつぶって言いました。

 そうしてやってきたたれみみ聖者さまは、王子さまと丁寧に話してなかよくなり、まほうの剣のようすをたしかめると、みんなを集めて、そっと言いました。


『王子さまの剣は、もう、じきに目覚めるでしょう。

 けれど、ただぽんとでてきたところで、信用を得るのは大変です。

 それは、いままで弱虫扱いされがちだった王子さまもです。

 そこで、皆さんにはちょっとしたお芝居に協力していただきたいのです』


 数日後、たれみみ聖者さまは、みんなの集まるまえであえて、王さまにご報告します。

『自分にはなにもできない』と。

 騎士さまたちが怒ったふりで、聖者さまに詰め寄って見せれば、王子さまは聖者さまをかばい、そこで、剣がひとがたをとる。

 騎士さまたちはそこで、剣の化身と戦う。

 勝っても負けても、いい試合となるはずなので、全力で(じっさいにはめちゃくちゃつよくて、あっというまにころん、だったのてすが)。

 そこでみんなごめんなさいして、王子さまにごめんなさいして、めでたしめでたしとなる。

 そんな筋書きを、聖者さまは示してくれました。



 そしてそれは大成功。いまや国中がおまつりさわぎです。

 そんなななか、聖者さまはもう、旅姿に身を包み、国と国を結ぶ街道を歩いておりました。


「でもさ、」聖者さまの首にまきついた黒いモフモフ――いえ、無二の相棒であるちいさな黒猫が、ぱちりとルビーの目を見開きました。

「なんか、心配だな。

 何十年か後になれば、王子もすっかりおじいさんだ。もしかしたら、天に召されてるかもしれない。

 そうしたら、剣はまた、相棒をなくしちゃうだろ?

 そのときにはたぶんおれたちも、とっくに天国に行ってるだろうし……」

「そうだね。それは、とても寂しいことだよね。

 でも、きっとだいじょうぶ。

 あの優しい王子さまのことだもの。これからきっと、いい人に囲まれて。そのなかから、あたらしく剣の相棒になってくれる人も見つかるはずだよ。

 それに、師匠は言ってた。もし、剣と王子が本当に望むなら、無二の伴侶として命をつなげ、ともに生きともに死すこともできるのだって」

「そんなことできるのかよ!

 でもじゃあ、剣のもともとの主人は……

 ま、いっか。

 人生、いろいろあるもんだよな」

「そう。

 長い人生、いろいろとあるものさ。

 王さまも、王子さまも。

 師匠も、相棒さんも。

 そして、おれとお前も。

 これから新しく会う、だれかさんにもね」

「だな!」


 明るい声ではなしながら、空色のたれみみうさぎと、その首もとに巻き付いたちいさな黒猫は、のんびりと街道をたどっていきます。

 二人の上には、よく晴れた空。

 聖者さまのおみみの青にも負けない、青い青いおそらは、どこまでもどこまでも続いていくように見えたのでした。


 おしまい


キャストは

王子さま&お姉さんたち……レイン&レインのお姉さんたち

まほうの剣……ライカ

王さま……リュウジ・タカシロ

老賢者さま&その相棒……アスカ&ハヤト

たれみみ聖者さま&黒にゃんこ……カナタ&イツカ

でお送りしました!


本編とほぼほぼ関係ないです^^


次回からは本編に戻ります。

覚醒&卒業をきめて意気揚々のアイドルたちとイツカナ……の予定です。

どうぞ、お楽しみに!

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