Extra Stage_優しすぎるうさぎ王子様と、剣の妖精〜たれみみ聖者さまのおはなし〜(1)
クリスマス回はたれみみ聖者さまのおはなし、逆輸入です^^
二回に分けます!(←おい)
むかしむかし、あるところに、ひとりの王子さまがおりました。
ぴんとはねた、晴れやかな白のおみみと、青い瞳をもった、たいそう美しく、優しいうさぎの子です。
道ばたに咲く小さな花にも心を寄せる、心優しい王子さまを、みんな大好きでした。
王子さまは、とてもよくできたお子でした。
勉強も運動もよくできて、ダンスも得意。
むずかしいお作法も、すぐに覚えてしまいます。
でも、剣術だけはからっきし。
「誰かをたたくなんて、かわいそうなこと、できないよ!」
そう言って逃げ出してしまうのですから、みんな困ってしまいました。
お父さまである王さま、お母さまである王妃さまは、それならと一計を案じました。
お誕生日のおくりものに、とてもきれいでかっこいい剣を作らせて、王子さまにプレゼントしたのです。
「わあい、おとうさま、おかあさま、ありがとう!
ぼく、この剣を宝物にします!」
王子さまはとてもよろこんで、その剣をいちばんの宝物にしました。
どこに行くときも腰に下げ、夜寝るときもいっしょです。
毎日きれいにお手入れをして、ときには優しく話しかけます。
それでも、王子さまは、剣をふるうことができませんでした。
それは、王さまや先生から、どれだけ厳しくいわれてもです。
王子さまのお姉さまたちは、王子さまを馬鹿にしてか、下働きの女の子の服を着せたりするようになってしまいました。
あの腰の、立派な剣はお飾りか。陰口をたたく者もあらわれます。
このままではいけません。王さまたちは集まって、どうしようかと相談しました。
「どうしよう、どうしよう」
「これでは、この国そのものも馬鹿にされてしまいます」
「こうなったら、お隣の国の、たれみみ聖者さまにお願いしてみてはどうでしょう?」
この国と、お隣の国は、仲良しです。
さっそく王さまがお手紙を書いて、聖者さまに来ていただけることになりました。
さて、たれみみ聖者さまとは、どういった方なのでしょう。
この方は、となりの国の王子妃さまです。
大恋愛のすえに、森ねこの王子さまと結ばれるまでは、得意の発明であちこちの動物たちを助けていた、美しく優しいたれみみうさぎです。
空色の毛並みに、アメジストのひとみ。首には黒いマフマフという、うわさどおりの姿の聖者さまは、王さまや王子さまやお城の人としばらく話をしていました。
しかし最後に聖者さまは、こういいました。
「わたしがしてあげられることは、もう何もありません。
あともう、ほんの少しでいいのです。王子さまをそっと、見守ってあげてください」
これをきいて、血気盛んな騎士さまたちは、おこってしまいます。
「なんだ! 聖者さまというから、期待していたのに!」
「結局、なにもしてくれないのか。帰ってしまえ!」
「まって、まって!」
王子さまは、あわてて飛び出します。
「聖者さまを、悪く言わないであげて!
聖者さまは、僕のおはなしを、ちゃんと聞いてくれました。
そのうえで、そうすることを、選んでくれたのです。
どうか、お願いします。怒るなら僕を、怒ってください!」
すると、王子さまのお姉さまたちがいいだします。
「ならば言うわ。あなたもあなたよ、王子」
「未来の王さまならば、いざというときには剣を取り、弱き者たちを守らなきゃならないのよ」
「それができないというならば、あなたは王子にふさわしくない。
いますぐ、この城を出て行ってしまいなさい!」
そのときです。王子さまの腰で、宝物の剣が輝きます。
まばゆい光が引くとそこには、王子さまにどこか似た、かっこいい騎士さまが一人立っていました。
さて、キャストはだれが誰でしょう?
次回、大団円とキャスト明かしです。
どうぞ、お楽しみに!




