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<ウサうさネコかみ>もふけも装備のおれたちは妹たちを助けるためにVR学園闘技場で成り上がります!~ティアブラ・オンライン~  作者: 日向 るきあ
Stage_74 アフター第一陣! 高天原のあれやこれ!

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Bonus Track_74-4 荒療治?『クランレパード』覚醒チャレンジ!!(3)~ミツルの場合~

覚醒できましたあああ!!

「おーいイザヤ! 俺とやろうぜっ!」

「ん……っわっ!!」


 疑問の声を上げ、イザヤはアオバを見た。打ち掛かられて、あわててパリィ。

 そうして口にしたのは、混乱していることが明らかなこんなことば。


「それっ! アオバの『アオバード』だな?!

 なんでお前が持ってやがる。まさかアオバを……許さねえぞてめえ!!」

「え、ええと……あー、そうだぜ、俺がイツカだから!

 これはえっと、アオバから貸してもらったから!」


 じんとしてしまった。

 心配してくれている。怒ってくれている。イザヤも、ちゃんとアオバがすきなんだ。

 それはわかってたけど。こうして目の当たりにすると。申し訳ないけど。


 これはしかたないのだ。イツカブレードとアオバード――長剣とハルバードでは、形も大きさも使い方も違う。そこを無理に補正してしまえば、イザヤたちが戦えない。


 審判立ち位置でバニーはアオバに『ごめん』と目くばせ。アオバもうん、と目だけで返し、いつもよりすこし前に出る。

 そのかかとのぎりぎり後ろを、振動が通り過ぎる。

 ユウが土を操り、アオバの足を取ろうとしたのだ。

 二度、三度と試みるけど、アオバがガンガン押し込むせいで、うまくいかない。

 ついにユウはもどかし気に声を上げた。


「イザヤ! 間合いとって! さすがに近すぎ、っ、て、わっ」

『ちょ、わっ』

「やらせない!

 そうでなくとも、二人のほうが強い。シラタマも、いるから!」


 おれは愛用の杖を振り、ソニックブームを飛ばした。

 後退するユウ。そのユウをよけるかたちで、シラタマも後退。

 やってしまって気が付いた。今回俺は、シラタマの技を受けなきゃならない。そうしてあえて不利になり、覚醒をめざす。

 ごめんと視線で伝えれば、水晶色の瞳はOKと返してきた。

 そこへ、ユウの戸惑う声が飛んできた。


「いつ覚えたんだよカナタ、ソニックブームとか!

 まさかそれのチカラ?! ミツルの『ホワイトウィング』だよね、それ!」

「え。

 ……あっ、そうそう。ミツルから、貸してもらったから!」

「………… お前ホントにカナタ?」


 ユウはさすがにこういうところ鋭い。

 どうしようか。下手に答えたら、バレてしまう。そしたら、今回のセッティングは台無しだ。


『あーっもう! とりあえず当たれ!』


 フォローしてくれたのはシラタマだ。きれいな声を上げ、強引に『虚無』のチカラを投げてきた。

 水晶色のような、なんとも言えない色合いの光の球が飛んでくる。よし、当たろう。

 けれどみずからクリーンヒットをもらって、俺は後悔した。全身から力が抜ける。まともに当たりすぎた。飛べない。落ちる!


『ちょ、ええええ?!』


 シラタマは慌てている。ごめん。


「へ……っいや! サンキュシラタマ!!」


 ユウもあっけにとられたみたいだけど、そこはハンター。すぐに気を取り直して大鎌を構えた。

 序盤にかけた神聖強化ホーリーインフォースもかき消され、今唱えた神聖防壁ホーリーシェルも、たよりないシャボン玉のような防壁しか作り出せない。インパクトの直前に翼を広げてようやくすこしタイミングをずらしたけれど、それでも俺の体は吹っ飛んでしまう。


「ミツル――!!」


 悪いことに、それはしっかりアオバの視界に入っていた。

 アオバは俺の方に来ようとするけれど、イザヤが阻む。

 それでも、イザヤも戸惑いを隠せない。


「おいイツカ、なに言ってるんだ? ミツルがどこに」

「俺はイツカじゃないしそこにいるのもカナタじゃないから! 幻覚だから!

 これは覚醒のためにバニーの幻覚でそう見せてるだけだからっ!!」


 ぶっちゃけちゃうアオバ。俺にとどめをくれようとしていたユウも、ぽかっと口を開けてフリーズしてしまう。

 もちろんバニーもがくーっとうなだれてしまうし、シラタマも『オーマイガー……』と天を仰いでしまう。

 けれど、イザヤとユウは、言ってくれた。


「なるほど、そういうわけだったか……」

「なんだってイツカとカナタがとつぜんここきて俺たちと試合してんのか疑問だったけど、そういうことだね。

 でも」

「ああ。だったらやるこたひとつっきゃねえな!」


 顔を見合わせると、しっかりと得物を構えなおす。


「バニー、幻覚はもういいぜ!

 もうこいつら、どーやったってイツカナの皮かぶったふたりにしきゃ見えねえわ!」

「だいじょうぶ。ちゃんと戦える。

 ふたりの覚醒のためだから。

 真剣勝負以上の全力で行くから!」


 バニーとシラタマは一瞬きょとんとしていたけれど、すぐに笑顔になってくれた。

 そして幻覚を解き、弱体化の球を投げてきてくれる。


「はいはい。

 まったくもう、しょうがないモフモフさんたちだこと!」

「あとでまとめてモフモフね、とくにミツル!

 ほらアオバ、あんたのぶんの虚無! しっかり当たんなさい、ねっ!」

「ああ!」


 アオバが水晶色の光の球をぱくり。そして、がくんと膝をつく。

 けれどアオバは、ハルバードを杖にぐっと踏ん張る。

 もちろん、そんなの隙だらけの動きでしかない。イザヤが思い切りよくバトルピックを振り上げた。


「アオバ!!!!」


 やられる、いや、やらせない!

 俺は全霊のいのりをこめて『それ』を放った。

 愛用の杖『ホワイトウィング』を振りぬけば、白い鳥の形をした光の群れが、アオバの全身を洗って飛びぬけていく。

 一目でわかった。『虚無』のチカラが洗い流されている!

 アオバの体に力が戻る。

 左手にしっかり握ったハルバード、ルーレアさまからもらったアンクレット、そして、もっふりとしたやまねこしっぽがひときわ輝くと、アオバは光になった。


 次の瞬間、俺はフィールドの隅までさらわれていた。

 アオバの右腕に、しっかりとかかえられて。

 聞こえてきたふたつのシステムメッセージは、待望の覚醒をつげていた。


「ミツル――!! おめでと――!!」

「やったな、アオバ――!!」

「よくやったなふたりとも! これで卒業決定だぞ!!」

「カッコよかったよー!!」


 観客席にはいつの間にか先生たちもやってきていた。

 それどころか、急いで飛んできてくれたらしい、ソラも。

 みんなみんな大きな大きな拍手をくれた。


 イザヤに、ユウに。シラタマに、バニーに。

 かけつけてくれた、見守ってくれた、応援してくれた、みんなに。

 そして、アオバに。

 めいっぱいありがとうを告げれば、おなかの底からうれしい笑いがこみ上げてきたのだった。

やっとですよ……若干難産でした。

皮をかぶったといえばサメの皮をかぶった『サメにゃん』が可愛すぎます。いつまでも見てられます。尊し。


次回、クリスマス特別回の予定! ぶっちゃけ現在ノープランです!

どんなのきますか、お楽しみに!!

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