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<ウサうさネコかみ>もふけも装備のおれたちは妹たちを助けるためにVR学園闘技場で成り上がります!~ティアブラ・オンライン~  作者: 日向 るきあ
Stage_9 決闘、黒猫VS銀狼!

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Bonus Track_9_1 野良猫に憧れた番犬のおはなし〜ハヤトの場合〜

 子供のころ、ミッドガルドで『実物』を見たことがあった。

 周囲から『突撃にゃんこ』と呼ばれる、黒猫装備の少年を。

 その戦いぶりは奔放で、躍動感にあふれ……

 当時一介の下っぱ衛兵だった俺にはうらやましいほどだった。

 絶対にこいつは強くなると思った。

 手順を踏んで、ちゃんと鍛えさえすれば。

 けれど奴はひたすら我流の突撃ばかり。

 こんな無茶を続けていれば、プレイヤー生命も長くはないのではないか。そんなことすら思わされる破天荒ぶりだった。

 相棒と思しき兎耳の少年の説得にも耳を貸さず、周囲もほとんどあきらめていた。


 一方で俺は、衛兵として勤めつつ剣の腕を磨き、ランクを上げていった。

 奴がFランクのうち、俺はDランクに。

 奴のランクがようやくDに達したころには、Cランクに昇格。

 このままこの町で、騎士になってはとの誘いを辞し、冒険者フリーランスとなった。


 しかしその後も、奴と接点を持つ機会には恵まれず……

 やがて俺はアスカとともに、護衛任務でその町を後にした。



 それから数年後。

 当時のことすら忘れかけた頃、俺は奴に『再会』した。

 アスカが突然バトル動画を見せてきたのだ。

 新進気鋭のパーティー『ミライツカナタ』。その一員である凄腕ハンター『空跳ぶ黒猫』の。

 ひとめでわかった。これこそ、かつての『突撃にゃんこ』だと。

 無駄のないしっかりとした体つき、自由闊達な戦いぶり、粗削りながら鋭い太刀筋。

 幾千の実戦で鍛え抜かれたそれは、野生の美しさにあふれていた。


 俺は思った。今のこいつの強さなら、何ひとつも不安はない。

 こいつと全力の剣を交わせたら、どんなにか楽しいことだろう。

 会いたい。会って一度、剣を交わしたい。

 俺は奴に挑むため、準備を始めた。

 しかし運命はまたしても邪魔をしてきた。

 突如として俺たちの身に降り掛かった災難の名前は、『竜の呪いとエンジェルティア』といった。



 アスカの知識と機転でそれを乗り越えた俺たちは、二ツ星待遇で高天原入学となった。

 しかしその後も、当局は俺たちを折ろうとし続けた。

 やたらと部屋に押し掛けてくる女たち。

 闘技者パスをとってすぐに仕掛けられた、バディ同士でのラビットハント。

 それらを乗り越えれば今度は、ほかのウサギたちへのラビットハントが激化し、アスカに、そして俺にプレッシャーが加えられた。


 それらを払いのけたところに飛び込んできたのが、奴の高天原入り内定のニュース。

 喜んだのもつかの間。奴の仲間のミライが、不自然な列聖を受けたことが判明した。

 すなわちそれは、奴は俺と同じ『世紀末の赤い竜』と……

 ミライはアスカと同様に『竜の枷』と見なされた、ということに他ならなかった。


 翌日俺たちは理事会からの打診を受けた。

 この学園に、新たな『ドラゴン』が入学することとなった。

 俺がそいつの『キーパー』となるならば――すなわち、奴が『枷』の身請け契約書にサインするまで、その四ツ星昇格を阻む番人となる、というのであれば――俺とアスカが優先的に四ツ星となれるよう取り計らう、と。

 ふざけるな、そう叫びかけた俺を制し、アスカはそれを応諾した。

 部屋に戻り、どうしてと問う俺にアスカは言った。


『四ツ星はα昇格内定者。名も知れ渡り、もはや潰すことのできない存在だ。

 つまり、それになってしまえばこちらの勝ち。

 イツカちゃんのことは、それから引っぱり上げてやればいい。

 大丈夫、ハーちゃんのあこがれの『跳び猫』は、そんなの程度じゃ折れないよ。

 むしろ、これなら彼と思い切り剣を交わせるじゃないか。

 やっと来たこのチャンス、骨までしゃぶらせてもらうに限るよ』と。


 そうして俺は、有形無形の優遇を受けながら、奴との対戦のためにと牙を砥いできた。

 けれど、やっとやっと二人だけで剣を交わしたときには、奴は余計なイベントで体力気力を削られていた。

 わかっている。奴には奴の夢がある。助けたいひとがいる。

 奴は今や俺の友で、奴の夢は俺たちの夢でもあった。

 だからこらえた。一度、二度。

 しかし、その末にむかえた闘技場での勝負は、俺を勝たせるための出来レース。

 前二戦で疲労していた奴は、これまでで一番無様な負け方をさらした。


 気づけば俺は、挑戦状をたたきつけていた。

ぶ、ぶっくまーくが……いただけました……

ありがとうございます!(拝)

あいかわらずストックやばいですががんばれそうです!

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