73-2 覚醒のただしい使い方? ハーブの森のうさぎ王、インテリア作業を爆速化する!
片付けやらいろいろあってめっさ遅れました……
カナぴょんうちにも来て( ;∀;)
さて、予想外の乱入試合で時間が押してしまった。
おれの本来の予定は、寮の個室への家具入れだ。
イツカをその場に残し、本日の現場へと走っていけば、入れ違いとなるクラフターふたりと行き会った。
「おっ、カナぴょん! こっちは順調っスよ!」
「内装ぶじ終わりました! あとはよろしくです!」
明るいミキヤと、穏やかなザイン。
ふたりはともに、警備部とクラフト部を兼務している。これから、それぞれのバディとともに哨戒だ。
「了解ありがとう!」
手を振りあって、右と左へ。
現場につけば、建築専従のクラフター二人がまちうけていた。
おれを見た途端、茶髪の少年がぴょんと飛び上がり、赤髪の少年がガクッとくずおれた。
「っしゃあ! 五分キッカリ! オレの勝ちィ!」
「くぅ~!! 負けたぁ~!!」
「ごめん、戦技指導乱入するハメになって……って予測してた?」
「うい!!」
しかしスパッと切り替えて親指を立てる。ほんとに仲がいい。
この二人は何かっていうとちょっとした賭けをして楽しんでいる。お金はかけない。純粋に、ゲームが好きなのだ。
「いやーしかし、恩人との待ち合わせをサカナに賭けができる日が来るなんてな~!」
「それなっ!」
「いや恩人て、おれはなんにも……」
「いーやっ!」
二人は仲良く声をそろえる。
「『うさねこ』がダブルクラフターバディでもやれるって示してくれたから今の俺たちがあるんで!!」
「そうそっ! あれがなかったら俺らいまでも『マーセナリーガーデンのその他大勢』でくすぶってたはずだし!」
「『うさねこ』結成はイツカとカナタあってのもの。つまり俺たちはカナタたちに人生を救われたんで!!」
赤髪のアッシュ、茶髪のトビーがかわるがわる熱弁をふるう。
ちょっとうれしいけど、照れ臭い。
「もうほんとはさん付けしたいくらいなんだぜ?」
「なんだとそれなら俺はさま付けでっ」
「はーいはいわかったわかったから!
その分こき使うってことで、ね?」
「はーいっ!!」
そして、きりがない。
やむなくウサプリスマイルで押し切り、作業開始である。
すでにきのう、基地の概形は完成している。
つくりかけだった居住施設についても、おれたちがあいさつ回りをしていた午前中に、寮室の内装まで終わり。きれいなうちに家具を置いてしまいたいという状態だ。
「よし、それじゃはじめよう!」
シーツとかカーテンとかはもう届いている。作ればいいのは、ベッドといす机、クローゼット。照明とエアコン。後者ふたつはもちろん、魔道具だ。
おれが一人ですべて錬成することもまあ、不可能ではない。しかし、それをしたら多分途中でぶっ倒れる。それではいけないのだ。
アッシュがマジックランプと椅子を。トビーがクローゼットと机を。おれが、エアコンとベッドを。そんな感じで分担して、一部屋ずつに備え付けていった。
一部屋分ごとにポーションのみのみ、錬成錬成。
10部屋も終わったころ、おれたちはでっかいため息とともにつぶやいた。
「おなかがざぶざぶする……。」
もちろんマジックポーションは即座に吸収、ポイント変換されている。つまりほんとにおなかにたまってるわけではないから、これはあくまで気分の問題だ。けれど。
「どうする……あと半分明日にするか?」
「いやそれも悪いだろ……総務のやつらもあとつかえちまうし」
「やっぱ一日でやる! とかいったのは無茶だったかな……」
「TPBP回復……別の方法で出来れば……そうだ!」
そのとき、おれはひらめいた。
「あのさ。申し訳ないんだけど、エアコンかベッド、どっちかでいいから受け持ってくれない?
ほら、おれの『卯王の薬園』で、回復と補助のハーブ生やして支援すれば」
「それだあああ!!」
そこからはもうあっという間。
絶好調の二人はエアコンもベッドも受け持ちながら、むしろ倍近いペースで作業終了。
時間があまったおれたちは、総務のみんながカーテンを付けたり、シーツやタオルなんかを備え付けたりするのを手伝って、最後は一緒にお茶までできたのであった。
ミーたん分に飢えている皆様お待たせしました! 次回はミライが出る予定です!
それしか決まってないわけではちょっとある。どうぞ、お楽しみに!!




