表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<ウサうさネコかみ>もふけも装備のおれたちは妹たちを助けるためにVR学園闘技場で成り上がります!~ティアブラ・オンライン~  作者: 日向 るきあ
Stage_73 できたて魔王軍はおおいそがし!

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

834/1358

Bonus Track_73-5 ごめんねと、ありがとう~ルシードの場合~

 イツカ・カナタと一定以上の関わりがあり、卒業から一年経過してない新卒。

 俺たちに白羽の矢が立ったのは、そんな理由でだった。


 ふいに吹き込まれた敵意。狩りたいという気持ち。

 戸惑いまみれのそれへの、短絡的な出口を与えられた俺とマユリは、それでも喜ぶ気にはなれず。

 先輩たちからの激励に言葉少なに頭を下げ、少ない荷物をまとめた。


 作戦は単純。パワーと手数で押しつぶすというものだ。

 あの二人相手では、ほかに取れる手はない。

 そしてそれでも、俺たちに勝ちはなかった。

 巧みに釣り込まれてからの、魅了。そして裏返された必殺の切り札により、いっそ気持ちいいほどさっぱりと壊滅したのだった。



 そうして俺は、ここにいる。

 青の月を抱いた月萌空軍のエンブレムのかわりに、黒い月を抱いた『魔王軍』のあかしを。

 鎧と剣のかわりに、愛用の割烹着と三角巾とマスクを装備して、みんなで楽しくお料理タイムだ。


 なぜか意外と言われるが、俺は家事一般が大好きだ。

 平時は各種お手伝いが本業となるプリーストは、家事嫌いではやっていかれない。

 プリーストとハンターのふたつの修練を積む聖騎士においても、そこのところはかわらない。


「なつかしいね、ルー。こうして一緒に、お料理するの」

「もう二年ぐらい前だっけかな、ミーと最後に当番一緒したのさ」


 一緒にじゃがいもむきむき、ミズキとそんな会話をしていると、なんだか時が戻った気がした。


「そうだね。

 ……なんかもっと前みたいな気がするけど」

「だな。

 教会ではしょっちゅうこうやって一緒に料理してたのにな……

 まさか学園はいって道が分かれるとか。思ってもなかった」


 ミズキは御三家の出身。俺とマユリは、それに連なる名家の出。

 だから知っていた。月萌がソリステラスと戦争していること。

 誰かが守らなきゃいけない、戦わなきゃいけないこと。

 そのために早く、少しでも早くαにならなきゃならないこと。


 俺は、それを貫いた。

 ミズキは、たとえ回り道となってでも、目の前の仲間を助ける道を選んだ。

 どんな強い敵も、難しいクエストも、一緒に乗り越えてきたのだ。

 それが道を分かつなんて、思ってもいなかった。


「ほんとに。

 ルーとマユにも、迷惑かけちゃったね」

「いや。

 お前だけおいてくようなカタチになっちまったこと。

 俺たちのほうこそ、……悪かった」

「俺は一度も後悔したことない。ほんとだよ。

 だから、もう謝らないで。

 俺もほんとなら、いまごろはふたりと月萌軍にいたはず。

 むしろ、俺ができなかったことを代わりにやってくれたこと。ありがとうって言わせて」

「……ミー」


 ミズキは柔らかく微笑んだ。

 誰もが心癒されるような、清らかで優しい笑み。

 まさしく、本物の聖者といっていいような……


「こーらー?

 そろそろ時間よルー! パトロール!」


 後頭部への軽い衝撃で我に返った。マユリだ。迎えに来てくれたのだ。


「ごめんねーハンパで入ったり出たりね! やらせてくれてありがとね!」

「助かってるよ。こちらこそありがとう」


 かるく挨拶を交わし、俺たちはできたての厨房を出た。

 マユリが歩きながら、俺に問う。


「言えた?」

「ああ」

「なんて言ってた?」

「俺は一度も後悔したことないから、もう謝らないでって」

「でしょ?

 ん、でも……

 あたしの分も、謝ってくれたのよね。ありがと、ルー」

「どういたしまして」


 さっぱりしているけれど優しい、俺の最愛の人。

 その可愛い笑顔を見ると、思わず抱き寄せたくなった。

 もちろん真昼間の廊下でそれをやったらひやかされまくりである。俺はぐっとこらえて、昇降口へと足を進めるのであった。


……せ、聖騎士もハンターはいってるから(滝汗)


なぜこうなったかというと直前まで、ルシードを警備のチーフにするつもりだったのですが、よく考えたらすでに空軍で働いとる→あからさまにこれしたらあとあと立場がやばくね? というので一般警備隊に格下げ→そやったミズキとのエピソードがあったっけ、それを軽く入れて……ということになったのです。


次回こそ、警備組のハンターたちメインの話になる予定です。

どうぞ、お楽しみに!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ