72-5 魔王様、明日からコンサートの準備です! 星降町での歓迎会!
「それではー!『魔王軍』の皆さんを歓迎して!」
「かんぱーい!!」
ここは星降町のとあるレストラン。
さきの戦闘で『捕虜』になったみんなのために、町の人たちが歓迎会を開いてくれたのだ。
じつはこれ、サプライズだった。
外での戦闘で疲れてしまったみんなのために、まずはお風呂とお休みどころを作ってくつろいでもらい、さて次はと思ったところでご招待のメールが来たのだ。
会場についてさらに驚いた。新しい仲間たち全員に、ルーキー応援資金としてひとり三万クレセントのクーポンが進呈されたのだ。
これにはおどろいた。いくらなんでも太っ腹すぎだろう。
せめてはんぶん持たせてくださいとお願いしたが、なに言ってんだいと言われてしまった。
「イツカとカナタの仲間は、わたしたちにとっても仲間。みんなわが町の子供たちだからね!」
「そうそう!
ひきょうな大人の命令より、友達を選んでくれたりっぱな子たちだ!」
「友達のために着の身着のまま駆けつけてた子たちに何もしないなんて、おとなとしてはずかしいじゃないよ」
「バトルなんて何十年もしてないあたしたちにゃ、こんなことっきゃできないけれど……」
「とんでもないです!!」
優しすぎる、そして謙虚すぎる町の皆さんに、おれたちは声をそろえた。
ご飯にお宿、ひるがえってそのためのTP。ゲームのなかやそれ周りでとはいえ、年単位で苦労してきたおれたちには、その大切さありがたさはよーっくわかる。
さらにリアルでは、着るものまわりも無視できない。
おれたちは丁寧に頭を下げ、まずはありがたく食べに食べた。
「はああ! こんなのひさしぶりだぜ!」
「ほんとほんと!」
「イツカとカナタを思い出すたび不埒な気持ちになるとか、はーもーしんどすぎたわー!」
「えっ」
「……えっ?」
今回仲間に加わってくれたのは実に30人。おれとイツカ、ミライとミズキ、そしてライカ(一名換算)とタカヤさんを含めれば実に36名の大所帯ができあがった。
さすがにこれをどこか一か所で面倒見ることはできない。けれど、町全体でならなんとかなる。
このあと、もちろんもっと人数は増えるのだが、そのころには基地や資金繰りといった運営基盤も整っているから、星降町の負担が増すことにはならない――否、おれたちがさせない。
おれたちはこの町でコンサートをやり、ほかの町からお客さんを呼ぶ。
リアルサイトの収入は町のもの、ネット上の収入はおれたちのもの。双方に二倍以上の差があれば、差分の1/4を少ないほうへ譲渡する。そういう取り決めをした。
「明日からさっそく準備とレッスンか……マジ大変すぎねえ?」
「そのためにわたしたちがいるんでしょ♪」
「このへんのマネジメントなら任せてください、そのために今回志願したんですからね?」
そう、今回の『捕虜』には、なんとソレイユ・プロダクションでおれたちのマネジメントに当たってくれていたアイラさんとトトリさんがいる。
高天原の外でもコンサートをやる関係で、β居住区にもコネクションを持っていた二人の存在は、本当にありがたい。
高天原はすでに、強力な対抗キャンペーンを決めているのだ――世界的スリートップ『しろくろレモン』に、『にんげんになった、おおかみとうさぎのおはなし』で新境地を拓いたアスカとハヤトという無敵の布陣で。
これからしばらく、バトルに関しては水面下での出来レースが続くだろうが、こちらは完全にガチでいかねばならない。
大丈夫、きっと大丈夫。
こちらにだってスターはいる。大人気の『おこんがー!』に『アオゾラミッツ』、そして国民的アイドルグループの風格を帯び始めた『うさもふ三銃士+MIRAI』。
もちろんおれたち――『0-Gけもみみブラザーズ』だって、負ける気はない。
「がんばろうね、イツカ」
「おうっ!」
なんとなく、となりのイツカに声をかければ、やつはキラキラの笑顔を返してくれた。
まあそのキラキラの原因の半分くらいは、いまモグモグしているハンバーグにありそうだけど、それでもまあ、いいか。
なんだかちょっと癒されてしまったおれは、やつに自分のハンバーグを半分わけてやったのだった。
魔王1「(ハンバーグもぐもぐ^^)」
魔王2「おれのもはんぶんあげる!^^」
何かがおかしい気がするのはまとめ方のせいでしょうか。きっとそうに違いない。
そろそろ『魔王軍』の正式名称決めたい今日この頃です。
次回、高天原に留学生がやってくるのまき。
どうぞ、お楽しみに!




