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<ウサうさネコかみ>もふけも装備のおれたちは妹たちを助けるためにVR学園闘技場で成り上がります!~ティアブラ・オンライン~  作者: 日向 るきあ
Stage_72 開戦、ラグナロク!

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Bonus Track_72-1 真の魔王も、おしごとします!~アスカの場合~

『学園軍』は実に八割が『魔王の虜囚』となった。

 倒されて。もしくはバディを倒され投降して。

 僕の初陣は、作戦通りうまくいったのだ。

 どういうことだ! と青筋を立てたものもいたが、『万一』が発動してしまいました、と返せば黙り込んだ。

 そう、最初から負けて捕虜になる可能性を考え、『最弱の』兵しか出させなかったのは彼らなのだ。

 戦力の逐次投入は愚策。それを学んでなかったわけでもなかろうに。

『大神意』による憎しみが、彼らの目を曇らせてしまったのだ。とりあえずそう、善意の解釈をしておくことにする。


「まあ、いいんじゃないですか?

 もしあれで二人を倒せちまったら、世界最強の座は『学園軍』のもの。

 そしたら、『これだけ人数いるならちょっとは分けろ』と、あっち(ソリステラス)も強気に出てきたでしょうよ。

 そうならないで済むように、我らはあえて彼らにギリギリ『勝たない』。

 彼らのシンパとなるだろう者たちを捕虜として進呈し、彼らの勢力を育てつつ、徐々に対戦者のレベルを上げていく。そうして月萌だけ先行してレベルアップし、そのあとにソリステラスを引き込んで共倒れにさせ、このゲームに一人勝ちする。

 そのためのワンステップです、何の問題もありません。

 ああ、ぜーんぶミソラさんの受け売りですよ、もちろん」


 軽薄そうに笑ってこううそぶけば、ちょっと引かれた。


「お前は本当に18か……?」

「さあ。

 トータル年上かもですね。何度も皆さんの腹に入ってるみたいですし」


 そう答えると何人もがうぐっという顔に。なかには真っ青になったものもいる。

 後ろでハヤトがちいさく「おい」と言っている。さすがにやり過ぎたか。「モンスターとしてですよ」とフォローしておいた。


「まーご心配なく。おれもゆえあって高天原(ここ)を離れられませんからね。『魔王軍』に異動になるのは、最終局面ですよ。

 それまではどうかよろしくお願いいたします、先達の皆さん」


 慇懃に頭を下げ、ハヤトを従え席を立つ。

 今日の敗戦は、『作戦通り』。である以上、僕に責められるべき落ち度はない。

 それを明かしてしまえばもう、話すこともないのだ(実際、止める者はいなかった)。


 かれらも僕がいては、話すことも話せない。さっさと会議室を出た。

 大丈夫、あとはライカ分体が変装したシティメイドたちが見ていてくれるから。

 とはいえそこに、結局収穫はなかった。

 むしろそれは、その後の廊下でやってきた。

 二人そろってやってきたのは、見おぼえのありまくるお仕着せのケイジとユキテルだった。


「おー、ふたりとも。その様子だと採用決まったんだ?」

「ああ。

 イツカとカナタを裏切るみたいで申し訳なかったけど、ゆっきーの恩人を袖にすることはどうしてもできなかったんだ。ごめんな、アスカとハヤトも」

「俺からもごめん。ただ、ケイは俺に付き合ってくれただけだから。どうか悪く思わないでやってくれ」


 僕たちをみると二人は、開口一番頭を下げてきた。

 これは、ちょうどいい。僕はニコニコと笑い返す。


「なーにをおっしゃるわんこさんたち!

 おれらだってこっちに残ってる時点でお察しっしょ?」

「いや、……なんで?」


 予測通り、すなおに問いかけてきた二人に、僕は頭かきかきこう述べた。


「んー。ぶっちゃけね、ライカをレインから引き離せなかったのさ。

 そんなくらいなら、そのへんどーにかなるまでは残ろうなって。

 つまり似たような事情ってわけよ。よろしくね、ふたりとも」


 あっけらかんと、言い放つ。

 通りすがりや、それを装った者たちが、聞き耳を立てていることを承知で。


「そっか。心強いよ。

 よろしくな、ふたりとも」

「あらためて就職おめでと。

 変な気は使わないで、今まで通りしてくれっとうれしいよ」

「……おめでとう」

「ありがとう!」

「ありがとうな、ほんとうに」


 僕たちは互いに握手を交わす。

 よし、これでミッションコンプ、僕に対する疑惑は晴れた――ライカ分体を両軍にはいりこませ、あちらで支援を、こちらでスパイ活動をしているんじゃないかという。


 こちらでは至る所でうろうろしているライカ分体の姿が、どの映像を見ても『魔王軍』陣営にはない。が、それだけでは証拠として弱い。

 だからこうして、同じ陣営の友人に対し、一部の真実を個人的に伝えてみせたというわけだ。


 もう、主を失ったゼロブラ館にライカ分体たちが出入りし、掃除やら手伝いやらしたところで疑われはしない。

 彼らが『魔王軍』メンバーに体を貸して、その施設を利用し研究をしているかもしれないなんぞとは。


 さて、すっきり片付いたところできもちよく次だ。

 今回こっちに残ってくれたみんなの、お見舞いに行かなければ。

 みんなからのリクエストのスイーツはとりまとめてもらってあるので、それを受け取って病院へGOだ。

 次回の作戦では、かれらも高天原を離れることになる。そうしたら、しばらくここのスイーツともお別れとなるのだから。

魔王といえばうさみみの時代が来たようです(勝手認定)。


次回、星降町でごはんをいただく魔王軍ズを描く予定です!

どうぞ、お楽しみに!

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