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<ウサうさネコかみ>もふけも装備のおれたちは妹たちを助けるためにVR学園闘技場で成り上がります!~ティアブラ・オンライン~  作者: 日向 るきあ
Stage_72 開戦、ラグナロク!

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72-1 世界に向けての宣戦布告! カナタ、たれみみ大魔王になる!

 そして、月曜日。

 おれたちは郊外に建てられた一軒のあずまやで、高天原からの使者と向かい合っていた。

 ここまでおれたちを導き助け、もっともともに戦ってくれた――味方としては最高の、敵となれば最悪の。

 精神的なショックも狙って任命されたのだろう。そのふたりは、かたやいつもの不敵な笑み、かたやいつもの仏頂面で、おれたちの前に座っていた。


「それで高天原としては、おれたちにどうしてほしいっていうのかな?」

「ちょっとばかりね、カンタンなおしごとをしてほしいんだよ。

 すなわち即時投降し、高天原の管理下でバトルをしてほしい。

 もちろん、月萌国民には健康で文化的な最低限度の生活が約束されているからね。そのへんは問題がない。

 ソナタちゃんたち、関係者たちにも塁が及ぶことはないよ」

「なるほど。人として扱ってはもらえると。

 けれど、身分と自由の保証はない、と」

「残念ながら。

 ただ、Ω制は廃止に向かってる。たとえばΩの身分となったとしても、一年たたないうちに身分は回復される。そうである以上、奴隷のように扱われることもない。

 月萌の民のために、きみたちが勝ち取ったことだよ。それには疑いもないだろう?」

「月萌の国民とΩ制の現状についてはよく理解したよ。

 それで、すでに国民としてみなされていない、経験値稼ぎ用の人型テイムモンスターの身分は何になるのかな?」


 おれは携帯用端末ポタプレをとりだし彼に示した。

 まずは、ステータス画面。

 名前のところをタッチして、詳細情報画面。

 そこに記されている、国籍と市民ランクの欄は、いずれもすでに真っ白だ。

 皮肉に笑う彼の口元に刻まれた笑みには、深い愉悦がにじんでいた。

 確信した。この二人は――アスカは、そしてハヤトは、やはり完全に正気だと。

 ということは、つまり。


「いやになっちゃうね、どうしていま、そういうところに頭が回るんだか」

「在学中にきみから教わったことだよ。

 善意の解釈すれば、高天原の生徒と同等の扱いは受けられるということだね。

 けれど、かれらにしても、少し前までは『ラビットハント』の犠牲とされていた。

『15歳以下のβには見せられない』と、運営側自ら認めるような扱いだ」


 アスカは笑顔のまま、おれの言葉を待っている。

 よしよし、正解と。

 心強く思いつつ、おれはことばを継いだ。


「『市民ランク空白。善意の解釈すれば、無限の可能性がある』ってことだよね。

 おそらく、おれたちの正確な所属は、グランドマザーの直属ってとこだろう――それすら与えられていなければおれたちは、『世界の敵』など務めることができない、ただのイエネコとアナウサギにすぎないからね。

 そんな『すっごいレイドボス』が、わざわざ一国の家畜に成り下がる必要性は?」

「モフモフにまけた、ってんじゃ~だめかな?」


 アスカはウインクとともにうさみみぴこり。あざとい。

 うしろに控えたハヤトのふさ耳が「おい」という角度になる。かわいい。

 後でふたりともブラッシングさせてもらおうと決意しつつ、おれは切り札を切った。


「ああ、それはありかもね!

 それじゃあふたりのモフモフに免じて、一つ平和的な提案があるんだ。

 戦争ごっこ(ウォーゲーム)をしよう」

「ほうほう。具体的には?」

「まず互いに拠点を作る。戦場と条件を指定する。そうしてバトルをする。

 ただし、場所はすべてヴァルハラフィールド内。β居住区でも、高天原でもない、その双方に影響を及ぼさない場所だ。

 戦いや、拠点内の様子は、ネット上で公開する。動画配信、ブログ。いろいろやり方はあるよね。

 そして視聴者から投げ銭をもらい、これを運営資金とする。

 これならどうかな?

 どちらも、戻るべき場所を壊されずに済む。戦う力を持たない人でも、投げ銭で参加できる。それのできない人も投稿や、視聴による再生数アップで力になれる。

 ただ殴り合うだけじゃない。世界中の人のチカラをあつめた、総力戦だ。

 すでにβ居住区からの応諾はもらってる。どうかな。

 ――おれたちが『世界の敵』、全人類でもって倒すべき悪であるというならば、全ての力を集めてかかってくるといい」


 無敵の黒猫騎士の肩に手を置くと、どんと構えて言い放つ。おとっときのうさプリスマイルで。

 このときのおれは、まさしく人類に挑戦状をたたきつける大魔王そのものだったと、あとでみんなに言われたものだ。

 月萌軍が任じた全権委任大使、うさみみ生やした世紀の天才少年は、とってもいい笑顔でこういった。


「面白いじゃん。いいね、やろう!

 おれらも思ってたんだよね。ふつーにやったらどっちに転んでも不公平すぎだし、月萌のペットにしたりしたらぜったい月萌滅びるしってさ!

 ってなわけでそのへん丸投げされてきたんだけど、いや~さすがはカナぴょんだ。

 で。最初の陣地はどの辺にしようね?」


 上位世界の危機を救うため、まるでゲームのように始められた、このセカイの戦争。

 三女神率いる国どうしの対峙からはじまったそれは、一瞬の世界平和ののち、『魔王軍対世界』による、新時代型の戦いへと姿を変えた。

 代表者たちがVR空間でその力を使って戦い、ネット上で公開・支援を受けて、決着へと進むウォーゲームへと。


 魔王軍と世界の代表交渉、その実どっちも魔王による会談は、いっそ楽しく進むのだった。

ここまでわりとゆっくり展開だったので、ぴょんといきました。

ラグナロク、開始です!


次回、進む作戦。

『実力行使』によって軍備と戦力を得たたれみみ魔王軍は、戦いの基盤を整えます。その予定。

どうぞ、お楽しみに!

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