71-1 星降園の極秘作戦会議!
所用で遅れました……!!m(__)m
2021.11.23
誤字修正いたしました……!!
月萌町→星降町
なっとく→納得
小さい子たちはいつも『先に帰ってて』というと『やだー』という。
なのに今日は、素直にもどってお昼寝していた。
それは、これが理由である。
『はいはーい。それじゃー極秘作戦会議、はじめるよーん!
ルールは、『だれかがあくびをしたら、もしくは寝落ちをしたら解散』『叫ぶの禁止、バトルはあとで』でーす!』
子供だけ、夜中の作戦会議が、ライカを議長にいま、はじまった。
* * * * *
ショッピングにプール、お買い物にお弁当作り。
たのしいことばかりぎゅっとつめこんだ、カラフルなお弁当箱のような一日の仕上げは、ミライとミズキもお泊り参加のひみつ集会である。
これの実態は、作戦会議だ。
おれたちが遊んでいるその間、大人たちが動いてくれていることは感づいていた。
だからといって、おれたちだって、だまって守られているばかりじゃない。
あとはもう寝るばかりの時間。『母さん』とカナン先生にはないしょで――もちろん、ばれているのだろうけれど――おれたちの部屋にみんながあつまった。
まず、ライカが現状を教えてくれた。
おれたちが遊びに行っている間、やはりおとなたちは、こっそり集会をしていた。
ライカに体を借りた、ノゾミお兄さんの呼び掛けで。
みんな、おれたちを差し出すなんてことはしたくないと言ってくれている。
けれど、高天原――ひいてはときの政府と対立することへの不安もまた大きい。
というのも、星降町で使う一部の電機は、高天原内の発電施設からきている。
もしもここからの送電を止められると、町の暮らしに影響が出るのだ。
上下水道などの処理施設は星降町の中にあるから、そのあたりは大丈夫だが、それを動かすにも電気はいる。
今はまだいいが、事態が長引き、冬ともなれば、暖房のために電力需要が増加。町は電力不足に陥るだろう。
政府側も、それを主力のカードとしてくるはずだ。
さらに。
ミソラさんの予測では、ハートチャイルドたちが入院していたホスピタル、ならびに、スターシードの入居施設や、学習施設。これへの助成が、非常事態という名目で遅延、もしくは差し止めとされるだろうということ。
もちろんこんなの、レモンさんたちが黙っていない。それでも、何人かの大臣や閣僚の首をイケニエにしてでも、世を動揺させ、おれたちへの敵視を誘導する策がとられないとも限らないのだ。
おれたちは今、驚くほどのお金を隠し持っている。けれどそれは、あくまで個人としてはすごい額、であって、全国の施設を支えることなんかは到底無理だ。
「それでもさ、」
コウジがおれたちを見てきっぱりと言う。
「なにがあったって、俺たちはお前たちを差し出すなんて絶対反対だ。
いざとなったら、俺たち子供だけで一緒に逃げようぜ!
俺たちなら、『大神意』でおかしくなんかならないし。
居住区の端っこでさ、どっかで自給自足でもして……それがだめでもまあ、何とかする!」
対して、自称『星降園いちのリアリスト』ルネさんが言う。
「自給自足って……そんな甘いものじゃないと思うけど。
シュナちゃんだって退院したばっかなのよ。それに無理させる気?」
「ルネ姉、あたしならダイジョブだって!
むしろ一番心配なのはコユキだよ。いっつも、みんなのためにって無理するからな。
ぶっちゃけ、ヒトミとコユキは、ルネ姉ハル姉と、年少組と一緒に残ってもらいたいってあたしは思ってる。
ソナタはもうずいぶん体力ついてきてるし、ダイジョブな気もするからさ」
とうのシュナちゃんは元気いっぱい。今日だってむしろおれより元気な位だった。
対して、コユキちゃんは小さくうつむく。
「そうですね……わたしはまだ、そんなに長く、走ったり泳いだりも難しいみたいだから……体力的に足手まといになっちゃうかもしれません。
ティアブラの中なら、魔法を使ってお手伝いもできるけど……。」
「リアルにはクラフトもないもんね。あたしも残ったほうがいいかも!」
ヒトミちゃんはというとわりとあっけらかん。励ますようにコユキちゃんの背中をぽんぽんした。
「ええっ?! オレはぜんぜんいけるしっ!」
「そうよ、年少組だからって体力ないとは限らないんだからー!」
しかし、おさまらないのが年少組だ。
たしかにかれらもスターシード、ふつうのこどもなど比にならないくらいの体力がある、けれど。
ミズキが柔らかなしぐさで立ち上がった。
「あのね、みんな聞いて。
これから、季節は冬にむかってく。
冬の一番怖いところは、ただそこにいるだけで、どんどん体温を、体力を奪われていくことなんだ。
体が小さければ、その分冷えていくのも早い。これは、どれだけ丈夫に鍛えても、絶対にかわることがないところだよ。
イツカは小二の時、ここを脱走してるよね。そのとき、季節は夏だった。夏だったのは、もっと言えば夏を待っていたのは、そうじゃないと生きられないとわかっていたから。
イツカでさえ、そうなんだ。
イツカ以上に体力がある、と断言できる子以外は、いま施設を離れるべきじゃない。
むしろここに残って、町のみんなとの懸け橋になり続けていてほしい。……そんなふうに、俺はおもうよ」
あくまでやさしく、わかりやすく説く『戦場の聖母』のことばに、みんながうなずいた。
「そうだな。よし、俺はここに残るっ!」
「兄貴説得されすぎ!」
納得したはいいが、あざやかすぎる手のひら返しのコウジ。
シュナちゃんがつっこんだ。
次回、ソリステラス編。
語り合うあの人たち。
どうぞ、お楽しみに!




