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<ウサうさネコかみ>もふけも装備のおれたちは妹たちを助けるためにVR学園闘技場で成り上がります!~ティアブラ・オンライン~  作者: 日向 るきあ
Stage_69 始動、『プロジェクト・モンスターサーガ』!

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69-6 『月送り』の日に、もしくは、月萌の闇を担う理由(わけ)

 毎回そうなのだが、昇格したけれどショーバトルはやらない、と言った者が何人かいた。

 そのなかの一人が、レンだ。

『だってその……オレとチアキはバディだかんな!』と、照れながらそっぽ向いて言っていた彼だが、せっかくテラフレアボムを使うのだからということで出演を打診したところ、快くOKをもらえた。


 何をしてもらったかというと。


「よく見ろおめーら、タネもしかけもねーから、なっ!!」と、最新型テラフレアボムをぶっ放してもらったのだ。

 試合を終えたフィールドには何もない。だれもいない。ただひとり、レン以外は。

 覚醒衣装のレンは『爆神のお気に召すまま!』で身を守りつつ、フィールド全体を火の玉に変えた。

 もちろん、その影響はフィールドの外には及ばない。試合中のフィールドと、観客席を隔てる『絶対隔壁アルテマリジェクター』のためだ。

 あらゆる覚醒技、ボムにも耐えるその隔壁を、これからイツカが破ってみせるのだ。


「っりゃああ!『0-G(エクストラ)!!』」


 VIP席からイツカがとびこんでいく。

 抜刀し、黄金の闘気をまとった『空跳び猫』は、何のためらいもなくフィールドに突撃。その手にした切っ先は、ガラスでも割るように『絶対隔壁アルテマリジェクター』をぶち破った。


 もちろんその中は、いまだ紅蓮の炎が渦巻く地獄。

 でも、心配はない。そのためにおれがいる。


「『卯王の幻想園(ラビットファンタジア)』!」


 イツカにつづいたおれは、即座に第三覚醒発動。

 荒れ狂う炎をすべて、火の幻想植物と変えて身にまとう。

 氷や水、風をも従えたいまとなっては、難しいことではない。

 ゆらゆらゆらめく、ドレスのようにはなやかなツリーアーマー『ウルカーン』でフィールドに降り立てば、万雷の拍手が体を揺らした。



 しかしこの映像が翌日、『月送り』の会場で流された時には、内心『うわあああっ?!』という気持ちになった。

 きいてない、きいてないよセレネさん!!

 イツカも隣でフリーズしている。

 しかし『そなたたち先達の遺した努力が、これなる『祈願者』を、そして『超越者』を生み出した。どうか誇りを胸に、しあわせな転生を』と説いて祈る彼女の姿を見てしまえば、もはや納得するしかなかったりする。


 動揺しつつもおれたちもスピーチを。そのとき、おれたちをじっと見つめるそいつに気が付いた。

 グレーを基調とした、お仕着せのスーツ。黒にも見える、暗い銀色の髪。そして、きらめくデマントイド・ガーネットの緑瞳の、優美な印象の少年。

 はたして式典が終わると、彼はおれたちの前で「どうぞ、こちらへ」と一礼してきた。

 予定通り、あとをもう一人のおれたちに任せ、おれとイツカ、アスカとハヤトはルクの待つ部屋へと向かったのである。



 月晶宮の一角にある、小さいけれど上質の応接。

 そこに、彼はいた。

 光差し込む窓辺に立ち、外の庭園を眺める姿は、銀髪のアスカといったらいいのか。

『お連れいたしました』と緑の瞳の『ルク』が一礼すれば、彼はゆっくりと振り向いた。

 優美な面差しの中、きらめく瞳は貴き宝玉の赤紫。

 浮かぶ笑みには、なんともいえない影がまじる。


「ああ、来たね。

 お茶を入れよう。四人とも、かけてくつろいでくれたまえ」


 感受性の強い人物なら、一発で取り込まれてしまうことだろう。

 そっと真珠のうさ耳飾りに触れて深呼吸。


「本日はありがとうございます。

 ……お招きにあずかり、光栄です」


 イツカとともに一礼。用意されていた席に着いた。



 お仕着せのルクが運んできたのは、甘い香りにとろりとした口当たりの岩茶。

『インペリアルオーダー』と呼ばれるランクの品であることはすぐに分かった。

 添えられた茶菓は、絶妙な蒸しあがりの、あのももまん。

 つまりこれは、かつてユーさんの茶房でいただいたメニューのアップグレードバージョン。さりげない示威行為だ。


 ルク・タカシロ氏はしかし、それ以上の圧をかけてはこないようす。

 それどころか、おれたちに向き直り、ありがとうと頭を下げてきた。


「セレナのこと。ありがとう。

 ようやくこれであの子も、この闇から解放された。

 あの子を無理にでも突き放さなかったのは、失敗だった。今でもそう、思っているよ。

 真の闇を背負うものなど、何人もいらない。そうじゃないか?

 泣いていただろう、セレナは。

 もともとは、優しい娘なのだ。

 だからこそこちらがわに来てしまったとも、言えるのだけれど」


 お茶でのどを潤し、彼はまっすぐにおれたちをみた。


「『目標数で縛られることのなき世を』。それを願うことができない者たちもいる。

 わたしは彼らの、星となると決めた。

 この世界の魂が、すべて約束の地に旅立つ日まで。

 はっきりといおう。われらはミッション『エインヘリアル』を早期に終わらせたい。世界平和をあきらめてくれ。戦争と、戦場での死を容認してくれ。

 そうすれば、弱きものまでが今の、かりそめの平和を乱されることもない。

 もちろん君たちの名折れとならないように、できる限りをすると約束しよう」


昨日布団を干さねばならなくて奮闘した→案の定全身痛いです。

まだやることはあるんや……ケーキ食べたいなあ(現実逃避)


次回、ハロウィンイベント!

しろくろレモンのさいきょータッグがオンステージ!

自称音痴のアスカは、無事に歌えるのか?

どうぞ、お楽しみに!

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