69-1 始動、『プロジェクト・モンスターサーガ』!
2021.10.24
誤字修正いたしました。
(ヒラヒラッドドレス)→(=ヒラヒラヘッドドレス)
「レモンはこれで全世界的なアイドルだ。
それが、現在展開中の『心あるモンスター』へのコラボ楽曲を発表するならば……」
「『これで』ってどういう意味さ、いいんちょ?」
「おお、あげてくか?」
ノゾミお兄さんとレモンさんが、笑って軽口をたたきあう。
ライムが微笑みながら的確につっこむ。
「おふたりとも。
ふたりだけで通じ合っていないでくださいませ?」
「え、別に通じ合ってなんて」
「うんうん、このことは後でゆ~っくり話そうねノゾミ?」
「おっおいちょっ」
あわてる二人にいい笑顔を向け、ミソラさんが後を引き継ぐ。
「ちょうどさ、ハロウィンが近いんだよ。
そこで、みんな大好きレモン・ソレイユが、ロマンチックなモンスター転生物語をコラボで歌う。
加えて、けも装備は前世を反映してるんじゃないかとの研究結果も発表。
もちろんアカネとエルカは、とびっきりのモンスターファッションを競作。
そうだね、アレもやろうか、WBF。
イツカとカナタ、ルカとルナでリベンジマッチというのが理想だけど、第二覚醒と第三覚醒ってハンデあるから、ここは『おこんがー!』VS『クラレパ』あたりがいいのかな。そこは本人たちに聞いてみないとね」
WBF。イツカが執事服+頭だけメイド服(=ヒラヒラヘッドドレス)でレモンさんの『夏色アドベンチャー』完コピを披露することになったのがなつかしい。
そのときに競作の一端を担ったアカネさんがおめめキラッキラで立ち上がった。
「イツカがミニスカメイド服着てくれるならあたし全力出すー!」
「いやだあああ!!」
「イツにゃんは似合うと思うよ!」
「そういう問題じゃねえって自分が言ってたよなアスカ?」
「着るのと着せるのは別腹!!」
「…………たしかに」
「おいソラお前がそれ言うか?!」
ソラは一時期とはいえ、セレナ・タカシロの屋敷でメイド服で働かされていたらしい。本人の記憶はないに等しいけれど、そのせいで大きな屋敷やメイド服が苦手だった、はずだけど。
なんとソラは晴れ晴れ言った。
「ライムさん見てたらメイド服は大丈夫になった! いまじゃむしろ好きだから!」
「まっまあっ」
うん、その気持ちはよくわかる。わかるけどあげないよ? と言おうとしたら、イツカのあほうが立ち上がった。
「ほほーうだったらお前らも一蓮托生だなっ?
俺が着ることになったらお前らもミニスカメイド服! いーんだな?!」
「わあああおねーさんがんばっちゃう――!!」
アカネさんはもうウッキウキ。けれどアスカとソラは慌てていう。
「ハーちゃんがいいっていったら!!」
「うっえっあっその、ミツルに相談してからっ!」
「ええええ……カナタ~……」
イコール、NOだ。
見事にはしごを外されたやつめはなんとおれを巻き添えにしようとしてきた。
よしよし、ならばおれにも考えがある。
「それ、ソナタにみせられる?」
「うぐっ!」
けがれをしらないおれたちの天使に、兄貴の女装姿を見せることができる。
そう断言できる外道は、さすがにこの場にいなかった。
「はいはい。それじゃあ話を元に戻そうねー。
楽曲の内容は、アスカとハヤトのエピソードをモデルにさせてほしいんだ。
ロマンスとも友情物ともとれる描写に抑え、推測が飛び交うようにしながら、レモンの表現力を最大限に生かしてロマンチックな転生物語へのあこがれを掻き立てる。
そこのところは、わたしにまかせて!」
歴史的大人気吟遊詩人でもあるミソラさんは、頼もしく微笑む。
「問題は、それに当てはまらないαたちだよ。
高天原の住人や、学園卒業者ではなく、議員当選でのみαになったひとたち。
かれらには、βとしての感受性が残ってる。
それでいて、フワフワと憧れに流されるには、ものを知りすぎている。
彼らのきもちを支えるには――イツカ、カナタ。
ここまでの実績で彼らの心をがっちりつかんだ、ふたりのチカラが必要だ。
やってくれるね?」
「はい!」
「もちろん!」
こんどこそおれたちも、声を合わせた。
かくして『プロジェクト・モンスターサーガ』が動き出すのであった。
ついに運命のワクチン二回目が明日に迫ってまいりました……!!
そのため、明日の投稿は時間が前後する可能性がございます。
明後日については念のため、お休みをいただこうかと思います。
大変申し訳ありませんが、よろしくお願いいたしますm(__)m
次回、すすむ動き。
そのなか現れた、謎の男の正体は……?
どうぞ、お楽しみに!




