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<ウサうさネコかみ>もふけも装備のおれたちは妹たちを助けるためにVR学園闘技場で成り上がります!~ティアブラ・オンライン~  作者: 日向 るきあ
Stage_67 ただいま月萌! 謁見までの一週間!(2)

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67-1 がんばれアオバ! 本番前のご恩送り!

「うん、おれ、いまだにしんじらんない……

 今日、俺も、出るんだよね??」

「ほんとごめん、父さんたちが。

 きっとそう何回もないと思うから、大目に見てやって」


 楽屋の鏡のまえ。緑の衣装のアオバが、半笑いで自分の顔をつねってる。

 かすかにブルーな白のミツルがだまってその肩を包んでやって、クリーム色のソラは、優しくごめんと謝ってる。


 今回の『あそべる森のコンサート』。ゆくさきは、ソラの故郷である町だった。

 なんと、ソラのお父さんたちが町内会を巻き込んで、ゲストに『アオゾラミッツ』――アオバ、ソラ、ミツルのアカペラユニットを! と熱くリクエストしたために、今回はレモンさんのほかに、この三人が来ているのだ。


「いや、ほんと、俺きちゃってよかったのかな?

 あんまこんなこというと、うざいってわかってるけどさ」


 対して、ミツルとソラは全力で『いい!』と連発。


「アオバは、可愛いから、いい。」

「そうそう! むしろアオバが一番可愛いからいいんだって!

 つか俺たち、しゃべんのヘタだし……」

「アオバがいないと、インタビューとかも……困る……」


 すらっと背の高いふたりの間で、アオバは物理的上目遣い。

 大きなキラキラの青葉色の瞳、ちょっと倒れ気味でもっふもふのやまねこみみ、とまどって揺れるもふしっぽと相まって、とんでもなくあざとかわいい。

 イツカの奴に至っては、あきらかにもえもえしている――ちょっぴりばかりむかついたので、軽くうさみみパンチをくらわしておいた。



 アオバは今日もかわいかっこよくて、『絶世のイケメン』系のふたりの間にいたって、全然見劣りなんかしていない。

 けれども、おれ的にアオバのきもちは、我がこととしてわかってしまうのも事実だ。

 だって、ミライは超かわいいし、イツカはくやしいがカッコイイ。

 その間にいるおれは、正直言って地味だと、いつも思っていた。


 でも今そのコンプレックスは、あきらかに軽くなっている気がする。

 たぶんだが。実に複雑な気持ちではあるが。

 どっかの狼男が、戦いの場で『美しい』なんぞと断言してくれやがったためだろう。


 彼にとって、おれは敵だった。しかも、野郎。褒める必要なんかひとつもない相手だ。

 さらには、そのときの状況。あの屋内闘技場の様子は、デモをあおるために流されていた。そこで見た目イマイチの野郎を褒めたりしたら、デモ参加者たちのやる気がそがれることだろう――あのリーダー、頭は大丈夫かと。

 そんな状況で『美しい』と口にしたからには、あの時のおれは、世の大多数が文句なくそうと認めるほどに、美しく見えていた、のだろう。


 まあ言葉にすると正直くそ恥ずかしいのだけれど、心を縛る悩み事が減るのは大歓迎だ。もっともっと、前向きなことに力を使っていける。

 そういう意味では、おれは彼に感謝すべきなのだろう。

 ……もちろんくそ恥ずかしすぎて、言えたものではないけれど。



 だから、おれはアオバにこう言った。


「ほんとに魅力的じゃなかったら、わざわざ呼ばれないよ。

 ソラのおじさん的には、ソラとお師匠のレモンさんっていう組み合わせで呼んでもいいわけじゃん?

 ご町内のみなさんも思ったんだよ。ソラと、ミツルと、アオバ。三人そろうと一番かっこいいって。

 だからリクエストしてくれたんだ。もっと自信もっていいんだって!」

「そ、……そっかな?

 そう……か……」


 アオバは、ゆっくりとだけれど納得してくれたよう。

 ほんわか、うれしそうに口元が緩んで、最後にはスパッと吹っ切れたキラキラ笑顔に。


「ようっし! やろうぜ!

 せっかく呼んでもらったんだもんな。サイコーのステージ魅せようぜっ!!」


 そうして元気にこぶしを突き上げれば、ソラもミツルも。もちろんおれたちも、『おうっ!』とそれにならう。

 するとイエローの衣装もまぶしいレモンさんもどこからかニコニコやってきて、明るく声をかけてくれた。


「よっ、青春してるねっ!

 ……その様子なら大丈夫かな。

 みんな落ち着いて、練習通りいけばいいからね!」

「はいっ!」



 もちろん、その日のステージは、大盛況の大成功。

 みんなのまえに出た瞬間もうクライマックスなノリで、主賓であるホスピタルの子供たちはもちろん、地域の子供やおとなたちまで、手作りグッズを手に大盛り上がり。

 癒しのハーブの森を出現させると、子供たちはさっそく駆け込む。

 大きなお友達の皆さんもうらやましそうなので、思い切って森を拡張。どうぞと招けば、『し、しかたないのうっ』とか『こんなの断れるわけないじゃない、ばかぁっ』とか『あくまで見守りのためなんだからねっ! けっして(ry』とか言いながら明らかに早足+どうしようもなく笑顔で入っていくツンデレムーブを見せてくれた。


 みんなでいっぱい遊んだら、森のステージでのコンサート。

 レモンさんのたくみな語りに盛り上がり、アカペラの美声に聞きほれて。

 息が整ったところで、みんなで声を合わせたのしく歌う。

 最後はもう完全に、アイドルコンサートと参加型子供向け番組ライブをごっちゃまぜにしたようなわちゃわちゃぶり。

 よきお兄ちゃんであるアオバ、お姉ちゃんであるレモンさんが実力を大発揮してくれて、おれたちまですっかり楽しんでいたのである。


 けれど、一番力をもらったのは、子供たちのけなげなやさしさ。


「ハートチャイルドぷろぐらむ、はいししたら、いつでもこうやってあそべるんだよね!」

「本当に元気になるには、リハビリもいるよ?」

「がんばるもん!」

「プログラム廃止。やってくれたらうれしいけど。難しいかも、しれないから……」

「おふたりとも、ご無理なさらないでくださいね!」

「頑張ってくれてるのは、わかってるもんね!」


 まだ口の回らないような子たちまでが、けなげに気遣い、はげましてくれるのだ。

 おれたちのやる気は、いやがうえにも上がってしまうのであった。


なかなかコメントを残せずにおります……

割烹も作品も、ちょこちょこと拝読させていただいております^^


次回、日曜茶会前の、カナタへのルカの恋心。

どうぞ、お楽しみに!

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