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<ウサうさネコかみ>もふけも装備のおれたちは妹たちを助けるためにVR学園闘技場で成り上がります!~ティアブラ・オンライン~  作者: 日向 るきあ
Stage_67 ただいま月萌! 謁見までの一週間!(2)

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Bonus Track_67-2B_2 仲間四人のハーモニー! 覚醒『ハーモニック・ブレード』!(2)~ダイトの場合~

 左腕の振動。俺用モデルが安定した先週から、何度か出てきた不具合だ。

 原因は、いまだ不明。

 おそらく、俺とシステムの相性――らしいのだが。


 だいたい、対戦相手を追い詰めかけた、かなりいいところで出てくる。

 ここまで、意識して平常心をたもったり、左腕の力を抜いたりして、なんとか抑えてきたのだけれど……


 見守る仲間たちも事態を察したようだ。左耳につけたピアス型通信機から、泣きそうなコウの声が聞こえた。


『ごめん、ごめんダイ! いまリブートかけるから!

 少しの間距離を取ってて!』

「……いや」


 そのとき、俺はなぜか、こう答えていた。

 不思議な確信とともに。


「このままいく。

 こいつは――俺のためのものだ!」


 振動する左腕で、しっかりと剣を握る。

 これだけガタガタしていれば取り落としてしまいそうなものだが、吸い付くようにしっくりなじむ。

 剣もまた、同じ周期で震えていたのだ。


 そうだ、これでいいんだ。

 左腕の紋様と、剣に描かれた紋様。不思議な振動と、俺の気持ちがつながると、振動は感知できないようなレベルにまで加速。刀身が白熱の光を帯び始める。

 ちょうどそこに振り下ろされてきた岩の腕に、直感のまま刃を当てれば、まるで豆腐でも割るかのようにストンと斬れた。


 聞こえてきたのは、やはりのシステムメッセージ。


『マリアージュ発生:プレイヤー・ダイトとけも装備『柴犬しっぽ』のエンゲージレベルが限界突破しました。

 スペシャルスキル『プロキオン・ハーモニック・ブレード』が解禁されました』


 そして、背後からのズガンという轟音。

 俺の後ろに吹っ飛んでいった岩の腕が、バトルフィールドを包む障壁に激突した音だった。


 そこからすべてが片付くまでに、一分とかからなかった。

 それでも、俺がそのことを知ることができたのは、医務室のベッドの上だった。


 * * * * *


 ふっと目を開けると、明らかに泣いた顔のコウ、コウの背をたたいてやりつつ心配そうなシロウ、そしてこちらを心配そうにのぞき込む、見たこともないような眼鏡美人が見えた。

 反射的に鼻をきかせて、驚愕した。


「、……タマッ?!」

「ふぁっ?!

 な、なんですか、起きてたんですかっ。だったらおはようの一言位かけてですねっ」


 上がった声は、やはりタマのもの。

 けれど眼鏡をなおす顔、飛び出す憎まれ口は、もういつも通りのタマだった。


「あの……えーと……おはよう……デス……」

「まったく心配したんですよ、コウなんかもう」

「ダイぃ――!!」


 始まったお説教をぶった切り、コウが飛びついてきた。


「しんぱいしたよすごかったよごめん――!!

 まさかアレが覚醒の前兆だなんて!! 気づかなくってごめんダイ――!!」


 受け止めてやればその後ろで、シロウとタマも謝ってくれた。


「あの現象が出たときに、覚醒の予兆と気づいていれば。このお披露目も、ダイの覚醒も、一週間早かったかもしれない。

 すまなかった、ダイ」

「まあ、いろいろと言いたいことはありますが……

 本番で未知の機能の使用決断をさせ。あまつさえオーバーヒートさせてしまうなんて、クラフターの名折れです。

 申し訳ありません、ほんとうに」


 タマはいつになくしおらしい。憎まれ口をたたき返す気にはならなかった。


「何言ってんだよ!

 それ言うなら本人の俺が真っ先気づかなきゃだろ?

 おあいこだって、おあいこ!」

「……あ、それもそうですね」

「マジか。」


 けれど、あっつーまスパッと立ち直りやがる現金ぶりに、もう笑わずにいられなかった。


 そうして四人で笑っていれば、医務室のドアがノックされた。

 どうぞと答えると、ミライさんが飛び込んできて天使のプリティースマイルを。つづいて静かに入ってきたミズキさんが神のステキスマイルをくださった。


「よかった、ダイくん気がついた!」

「お疲れさま。すごくかっこよかった。

 みんな、おめでとうって言ってるよ」

「は、は、はいっ!!」


 お二人の後ろには、ぎっしり詰まった仲間たちの笑顔が見えて……


「おつかれちゃんっ!」

「やりましたね先輩!」

「覚醒オメデトー!」

「すごかったぜダイト――!」


 いっぱいの祝福をもらったら、疲れなんかもう吹っ飛んだ。



 その日、俺は四ツ星への昇格を打診された。

 この覚醒を導いてくれた奇跡のアシストシステム、正式名称『Ciconian_Wickerworks<チコニアン_ウィッカーワークス>』を構築したコウ、シロウ、タマの三人も、その功績で同時に昇格。

 さらにはミズキさんとミライさんも、あわせて三ツ星昇格が決まったと聞いて、俺は二つ返事でそれを受けたのだった。

今回の覚醒技は『ハーモニック・スカルペル(超音波メス)』がヒントです。

スカルペルがいまだ覚えられません(爆)

Ciconian_Wickerworksは『シュバシコウの枝網細工』。ウイッカ(英: Wicca)やWitchcraftともかけたかったのですが、やりすぎるとくどいかな? と思い、そのまんまです。


次回、森コン(※星降町ではないです)! ゲストもいるよ!

どうぞ、お楽しみに!

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