Bonus Track_66-7 少し切ない回想と、のほほんとした未来予想と~アスカの場合~
すみません、うまく投稿できず(後書きが何故か消えた、たぶんスマホ側の原因)再チャレンジです(_ _;)
あの女をセレナ・タカシロ本人だと本気で思っているものはいなかった。
セレナ・タカシロは記録上、23歳でこの世を去っている。死因は胸の病。
だから、それはただの、コードネーム。もしくは、夭折した天才政策アドバイザーの名を看板として使っているだけ。
そのはずだった。実際僕も、そう考えていた。
もちろん、『マザー』はことの真相を『知って』いる。
だが、それだけだ。
それ以上、踏み入ることはできない。
『セレネさん』にはそれ以上の制限がかかっている。
みずから突っ込んで『調べよう』とすれば、情報はなんなく集まる。逆に、『調べよう』と意識しなければ、そのことを知ることがないのだ。
そして両者とも、ひとの胸の内を知ることはできない。
もちろん、ただのすこしの伝聞で、僕は分かったなんぞとはとてもいえない。
けれど、想像は、させられた。
自分も、よわっちくって、ダメな子だと思ってた。リアルでも、ティアブラでも。
だから、明るくおどけた。情報を集め、適当なタイミングと分量でそれを教えて『体は弱いけど、とにかく明るいものしりアスカ』というポジションに収まった。
さいわい、僕にはクラフトの才が『あった』。
だから、情報とアイテムを売るようになった。
できることを探して、そちらに向けて進んでいったのだ。
そして彼女は、叔父であるルク・タカシロ――尊城竜空と出会い、僕は、おなじ水泳教室に通うハヤトと出会った。
「……なんだろな。
毒気、なんか、抜けちった。
ハヤトや仲間たちにメーワクかけたのは、うん、まだ許してないし、相応の落とし前はつけてもらわなきゃだ。
けど、僕自身に、彼女をそんなに憎む資格があるのかなって。
僕だって腹んなかは真っ黒だ。たぶん、この年のころのセレナよりずっと。
リュウジ伯父さんとかと確執なければ、出会ったのがハヤトじゃなくてルクだったなら、もしかしては充分、あったと思うんだ」
口からぽろぽろ零れると、ハヤトがあったかく僕の肩を抱きよせてくれた。
おっきな手で、頭をなでてくれた。
「それでもアスカは、俺の、相棒だ。
するべきことを、していこう。前を向いて。
俺たちには、まだ、救うべき人たちがいる」
「そう、だね」
ガキんちょのころからやすらぎの場所だった、頼もしい胸にもたれて、僕はほっと目を閉じた……がそのとき、なにやらあやしげなささやき声が聞こえてきた。
「……ここはふたりっきりにしてやろうぜ」
「……だね」
『……よしっ、そうっと移動するぞ』
「お前たちな。」
目を開けると、ティーカップとクッキーのおさらを持って、中腰でそそそと移動しようとしているイツカナとセレネさんがいた。
くそ、やらかした。
ちょっと顔を赤くしたハヤトがつっこむと、セレネさんはしれっと答えた。
『ああ、いや、遠慮せんでいいぞ。なんなら今日はここに泊まって』
「とまりませんから。」
彼女はいつも通りのポーカーフェースを心掛けているようだが、きれいなおめめはめっちゃキラキラしまくっている。
まったく、毒気もぬけてしまう。
だから、僕は笑いながら反撃に出た。
「おれたちのことはいいとして、そっちはどうするつもりなんです?
まとめるならば、イツにゃん! 正妻ちゃんは誰にするかきまったのかな?」
「なんで俺っ?!」
「だってそっちの三人まとめるならそーいうことになるもーん。
どーなの? セレにゃんルナたんカナぴょんライアンにゃん」
「いやなんでサラッとライアンさんまざってんだよっ?!」
「それ以前になんでおれがはいってるのかな??」
そんなふうにわいわいしながら、僕はどこかで思っていた。
こんな時間はこれからもこのままずっと、つづくものなんだって。
次回、新章突入。
出発前、ソナタちゃんから届いた手紙。
どうぞ、お楽しみに!!
副反応の具合によってはお休みをいただくかもしれません。
後ほど活動報告でご報告申し上げますm(__)m申し訳ありませぬ




