66-2 かなえたい、三つのこと
確認会と言いますか、説明回のようになってしまいました……!!m(__)mスマヌ
医師会長アラタ・クゼノイン氏のことばは、今も心に残っている。
『我々もずっと苦しみとともにありました。
『世界』に呪われた子供たちがいること。この手には目の前の子供を救ってやれる技があるのに、それを使ってやることができないということ。
もちろんこの葛藤が完全になくなるわけではありません。けれど、プログラム廃止がなされれば、すくなくともひとつはそれが減るわけです。
子供たちのためにどうか、お願いいたします』
そして今日この場でも、彼はそれにかわりはないと力強く言い切ってくれた。
そう、『ハートチャイルドプログラム』の廃止については、反対がなかったのだ。
せっかく学んだことを生かせなくなり、医療報酬も減少してしまう医師たちからすら、示されたのはもろ手を挙げての賛成だった。
もちろん、内心面白くない人もいたことだろう。けれど反対のできる性質のものではなかった、というのが実際じゃないかとおれは思っている。
だから、おれはこう言うのだ。
この決定により、不利益を被る人も必ずどこかにいるはず。何らかの形で、それが埋め合わされるよう。それが難しくとも、ああ、結局はこうしてよかったと思えるように、これからともにがんばっていきたいと。
そして、もし『ハートチャイルドプログラム』の廃止がかなったなら、これまでに自己負担で手術を行い、ハートチケットなどによる還付が受けられていない人たちも、還付が受けられるよう、新制度が作られることを確認した。
グランドマザーとの謁見で求めたいことは三つ。
まずはこの、『ハートチャイルドプログラム』の廃止。
そして、世界に戦争を求めるミッション『エインヘリアル』の廃止もしくは変形。
さいごは――これはソリステラスでも両論あったのだが――Ω制の廃止だ。
ソリステラスにおいても、債務返済や、服役のために人がΩの身分になることがいまもある。
しかしそのとき、生命力、魔力を同意なしに供出させられることがあった、とのことだ――月萌御三家・タカシロに迎えられたソロイ・T・イングラムがそうされたように。
これについては、廃止は確認できていない。
非人道的な、行われるべきでない行為である、との見解は一致しているけれど。
つまり、今もって行われているか、行われる可能性があることなのだ。
内政干渉ではないかと言われる可能性は、大いにある。
それでも、これについて何もしないのは、おれたちのアイデンティティが揺らぐ。さらには良心がとがめるところのことである。
『グランドマザー』との謁見の時に、これは俎上に載せたい。このことは、ソリステラスでも言ってきた。
当然、月萌の議会においてもおれたちは、それを繰り返したのであった。
『かつてあった非人道的な扱い、それが復活する可能性を断つために』、グランドマザーにそれを問う、と。
そんなこんなで、正味小一時間。
ほぼ確認の場となった御前会議は、大きな波乱とてなく終了したのであった。
言い訳させていただきますと腰が……腰が痛いのでやんす……!!
次回、くぐつの体のイツカナと、ミライたちとの『再会』。
モフ回の予感しかしないのは気のせいか(爆)
どうぞ、お楽しみに!




